平成23年度活動記録

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開 催 回開 催 日会  場内  容
第105回H24年3月7日(水)福井県済生会病院会員発表「注腸検査のルーチン」
症例提示
第104回H23年12月7日(水)福井県立病院医師講演「消化管透視に活用できる病理の知識」
メーカー講演「最近の3Dビューアーについて~CTコロノグラフィーを中心に~」
第103回H23年10月5日(水)福井県済生会病院学術講演「症例検討と用語説明〈陥凹性病変編〉」
会員発表「胃がん検診専門技師制度と認定試験について」
第102回H23年8月3日(水)福井県立病院会員発表「平成22年度 胃がん個別検診精度管理(画像評価)
会員発表「画像の検討」
第101回H23年6月1日(水)福井県済生会病院ビギナーズセミナーⅠ
平成23年度総会

第105回研究会

会員発表  「注腸検査のルーチンおよび症例提示」

福井県済生会病院  坪内 啓正 さん

福井県立病院    寺本 光義 さん

福井総合病院    倉中 博之 さん

 

今回は各施設の注腸検査のルーチン紹介と症例発表ということで、3施設から発表していただいた。
まずは、済生会病院の発表からである。注腸検査の使用機器や前処置、撮影体位についての紹介があった。済生会病院の特徴は、バリウムを洗浄用(前技師長清水氏考案)と撮影用の2種類を用意し、前処置不良例に対し低濃度の洗浄用バリウムを、必要なら深部大腸まで注入して洗浄し、洗浄後のバリウム便を体位変換により直腸まで戻して抜去する。  その後、撮影用のバリウムを用いて通常の撮影を行うことである。これにより前処置が悪くても、ある程度改善されるとのことで、洗浄に必要な時間は早ければ5分、走行が複雑で時間がかかりそうな場合は行わない場合もあるとのことであった。しかし胃の精密検査もそうであるが、いかに前処置が大事であるか肝に銘じておくべきであると思っている。
撮影体位は、直腸からS状結腸、下行結腸、脾湾曲部、横行結腸、肝湾曲部、上行結腸、回盲部・回盲末端部へと奥に進みながら順に撮影していき、特に回盲部・回盲末端部は圧迫も行い、患者さんによっては追加撮影も行っているそうだ。
ざっと、ルーチン方法についての説明の後に、見逃しについての検討報告があった。
過去の文献を比較し、見逃しの原因やその部位、また見逃し症例の腫瘍径についての報告がされた。大きなものでは8㎝のものが見逃されているとの報告もあった。
これらの検討の結果、見逃しを避けるための留意点を6つの項目にまとめてあったが、これらを頭に入れながら検査することが大切であるとの結論であった。
見逃しやすい症例ということで、ハウストラの上に隆起性病変がある症例が紹介されたが、二重造影における線部分の観察が大切であり、接線像やハウストラの形態、輪郭を丁寧に観察することの重要さがよくわかる症例であった。

福井県済生会病院 坪内さん 福井県立病院 寺本さん

その後、6月に超音波検査学会にて発表を予定している演題の発表があった。
主訴は便秘と血便で、TCFの結果、下行結腸に隆起性病変を認めた症例であるが、腫瘍基部の周囲粘膜は発赤し腸重積状態であった。
内視鏡的に整復を行ったが解除されず、状態把握のため腹部骨盤造影CTを行った結果、重積と自然整復を繰り返す症例であることが判明した。
その後、注腸にて整復の依頼があり、未経験であったため、検査前に超音波検査を行ったところ、横断像、長軸像共に全周性の壁肥厚は認めたが、腸重積に特徴的な所見は認められず、この時点では重積は解除していることが確認されて、その後の注腸をスムーズに行うことができ、リアルタイムに重積状態を確認しながら検査をおこなうことで、合併症などのリスク低減に役立ったとの報告であった。

 

続いて症例提示があった。19歳の男性で症状はなし、現病歴は多発痔瘻であるが、まずこれだけの情報で病名を推測できるかどうか、会場への問いかけがあった。
結果はクローン病であったが、会場からリンパ濾胞とクローン病との鑑別を念頭に写真を撮ることが必要であり、そのためには小腸造影で確認することが必要である。今回、提示された写真(回盲部〜回腸)は、大変きれいに撮れており、しっかり所見が写し出されているとの賞賛の声があがり、さすがであった。
通常、クローン病の画像所見としては、敷石状外観、進展不良、腸管狭小、縦走潰瘍などが挙げられるそうである。

 
fuukei105.jpg

続いて県立病院の発表に移った。
装置は天板のフルローリングが可能なジャイロを使用しているので、被検者は体を固定されており、意外に負担が少ないそうである。
術者の訓練は検査マニュアルにて、解剖や大腸癌取扱い規約を理解し、模擬ファントームにて二重造影を意識した練習を行っているそうである。
前処置は準高張液を使用しているが、最近はCF後の検査が増えているとのことであった。
撮影体位は、直腸、S状結腸、下行結腸 脾湾曲部 横行結腸へ、回盲部は圧迫を含めて丁寧に撮影し戻ってくるときに肝湾曲部と再び横行結腸と下行結腸、直腸・肛門部を撮影という往復する感じである。直腸、肛門部に所見がある場合はバルーンを抜いて撮影するとのことであった。
会場からは、最後の直腸はルーチンワークでもバルーンを抜いて撮影した方が良いのではないかとの意見があり、それに対しては、最近はCF後の検査が多く、所見がわかった上での撮影が多いので抜くことが少ないが、ルーチンではバルーンを抜くべきだろうとの返答であった。ただ、最近は受診者も超高齢化しており、バルーンを抜くことが難しい例も増えているようである。
また、検査前の排便の状況についてはどのように把握しているのかとの質問があり、口頭での確認にとどまっているとの回答であった。
その後症例提示があった。
1例目は、偶然、済生会病院の症例と同じクローン病であった。
患者さんは20才台前半で主訴は腹痛と下痢。内視鏡ではバウヒン弁周囲に多発性潰瘍があり炎症を起こしていた。
2例目は回盲部のバウヒン弁対側に中心に深い潰瘍を伴う2型の病変であった。
サイズは1.3×1.2と小さいがseまで浸潤しリンパ節転移もあった。
二重造影では見つけにくく見逃しやすいが、薄くバリウムを溜めた圧迫で腫瘍の形がはっきり見えていた。

 
福井総合病院 倉中さん

最後は福井総合病院の発表であった。
使用機器は昨年の12月より稼動のCアーム型のFPDである。
造影剤、前処置、検査前の説明等について話があった。
検査の方法は、まず、透視にて腹部の確認をおこなった後に、横行結腸の中程までバリウムを入れて、直腸のバリウムを抜いた後に、空気を入れて回盲部が進展したことを確認する。その後は、直腸、S状結腸、下行結腸 脾湾曲部 横行結腸へと進み、回盲部はバリウムを少し溜めて圧迫を行うなど丁寧に撮影した後、戻ってくる時に肝湾曲部、再び横行結腸、下行結腸を撮影し、最後はバルーンを抜いて直腸肛門部を撮影するとのことであった。
検査前後の説明も非常に丁寧に行っているが、最近は患者さんの高齢化が進んでおり、中で介助しながらすることも多く、不安、苦痛の軽減のために検査中もなるべく声かけを行いながら撮影を行っているそうです。
会場から、側臥位の撮影時はCアームを動かして撮影しているのかとの質問があったが、注腸に関しては、空気とバリウムのコントロールが必要なので、特には使ってないが、体が動かせないような方には使うことも出てくるかもしれないとのことであった。
また、検査前の透視で、前処置の確認はどのようにしているのかとの質問に対しては、排便の状況と腸閉塞の有無等を確認しているとのことであった。

 
kaijou105.jpg

3施設に対して、バリウムを最初にどこまでいれるのかと、鎮痙剤を打つタイミングについて質問があった。
質問者は鎮痙剤が腸管拡張をもたらすので、バリウムを進めにくく感じるので横行結腸の中程までバリウムを進めた後に鎮痙剤を打つのだが、皆さんは、そのように感じることはないかとの問題提議がされたが、3施設とも鎮痙剤は検査の前に打つとのことであり、会場からも特に支障を感じることはないとの意見が多かった。
また、会場からは、逆に鎮痙剤の切れるタイミングをわざと狙って撮ることもあるとの意見が出た。
その後も、検査承諾書について、バルーンの挿入と抜管について、前処置が悪い場合の検査をどうするかについて、人工肛門の方の検査について、再度、最後の直腸・肛門部撮影時についてなどなど・・・いろいろな質問や意見が活発に飛び交った。

 

注腸検査は前処置によって検査の精度も変わり、受診者の協力がなければうまく進めることのできない検査である。また、手間がかかり技術を要する検査であるが、ルーチン検査の件数が減っている状況で、技術を高める機会も少なくなっている。
そんな中で、今回、このように活発な意見が出たのも、現場で困ったり疑問に感じたりしていることが多いことの裏返しであったのかと思われる。
今回発表された施設は、いずれも見本となるような素晴らしい写真を撮っており、参加者にとっても大変参考になったのではないかと思われた。
3施設の方、熱のこもった発表と素晴らしいスライドを見せていただきましてありがとうございました。

文責N,Y 校正K,K
 

第104回研究会

医師講演   「消化管透視に活用できる病理の知識」

福井県立病院 臨床病理科    海崎 泰治 先生

 
福井県立病院 海崎先生

海崎先生には、2004年(平成16年)にも当研究会で講演をしていただいた。その講演が大変好評であり、また、最近の胃がん専門技師の認定試験においては、病理の知識が重要となってきており、会員からの要望も高く、7年ぶりにお願いすることとなった。

 

最初に、2つの胃がん症例の提示があった。両方ともヒダ集中を伴う陥凹性病変である。
症例1であるが、胃角~幽門前庭部前壁の病変で、X線像でヒダの先端はなだらかに細まり、陥凹内に顆粒状の陰影を伴い、蚕食様の境界が認められるが辺縁ははっきりしない。陥凹の周りは低い隆起が認められるが硬さは感じられない。
内視鏡像では発赤があり、やはり陥凹の境界ははっきりしない。陥凹内にも周囲の粘膜と似たような感じでアレア様のものが見える。
手術標本の組織像では、腺管構造が見られtub1であり、癌は粘膜内にとどまっていた。マッピングすると陥凹部分に一致して癌があった。
症例2は胃体下部後壁の大彎側寄りの病変である。X線像ではヒダの途絶があり、急激に細くなっており、ヒダの融合、太まりが認められる。陥凹内には結節が見られる。
内視鏡像では、さらにヒダの途絶がよくわかる。やや発赤調で、陥凹の境界は明瞭で内面はアレア模様は見えずべったりしている。
組織像では粘膜下層にマスを作っており、癌細胞がパラパラと散らばっているような浸潤の仕方をしている。粘膜内は粘液が溜まっており、核は辺縁に追いやられており組織型はsigである。マッピングではヒダが太まっているところは粘膜下層にまで癌が浸潤していた。

 

症例1と2では何が違うのか・・・。
画像で示されるものを病理で説明しようということで解説が始まった。
最初に、病理を理解するためには、正常組織構造を正しく知る必要がある・・・ということで、まずは胃壁の構造の説明。一番内側の粘膜の中は腺構造になっていていろんな液体を分泌して消化を行っている。腺管には胃底腺と幽門腺との二種類あるが、それぞれの構造について説明していただいた。
また、ヘリコパクター胃炎で上皮がただれて粘膜が落ちると粘膜の再生が起きるが、胃の上皮が再生するよりも早く腸の上皮が再生してくる。これが腸上皮化生である。
従って、胃の粘膜には胃底腺、幽門腺、腸上皮化生の三種類がある。胃底腺領域と幽門腺領域の間には境界があり、その線のことをF境界線といい、年齢やヘリコパクター胃炎とともにF境界線が上に移動していく。通常、X線像では大彎側のヒダが終わるラインがおおむねFラインと一致する。
ここまでの説明で、症例1は胃の萎縮が進んでいて腸上皮化生が見られる幽門腺領域に、症例2は胃底腺領域に癌があることがわかる。

 

続いて癌の組織型の説明があり、胃癌の分化度、組織型について、それぞれの特徴をある程度覚えて欲しいとのことで、一つ一つ肉眼像と組織像とを照らし合わせながら、丁寧に説明していただいた。
さらに、組織発生の違いについての説明があった。分化型癌は腸上皮化生粘膜から発生し、未分化型癌は胃固有粘膜から発生するが、どちらも癌は粘膜の中心層から発生する。 分化型の組織発生を顕微鏡像で見ると、癌は粘膜の中層から発生し、その表層も下の層も正常である。癌が進行すると全層性に癌が広がるが、腺管構造が存在しているので肉眼的に見るとアレアが観察できる。
未分化型癌も胃底腺粘膜の中層より発生し、その表層も下層も正常であり、発生の仕方は分化型癌と同じである。ただ、進行すると、高分化型は管の構造があり、それが柱となって上から浸食されても崩れないが、低分化型は腺管が無くなり柱を失うので、癌が崩れ落ちてビラン、潰瘍になり深い陥凹になる。これらがX線の所見として現れる訳である。
X線像で見える分化型と未分化型の肉眼像の違いは組織像である程度説明することができるとのことであるが、それぞれの組織型の症例について、X線像、内視鏡像、肉眼像、組織像を照らし合わせて説明していただくことで、なぜそのようなX線像を示すのかが良く理解できた。さらに深達度の根拠となる所見についても説明があった。

 

最後に胃癌取扱い規約での略語の説明があった。

・Advanced gastric cancer, poorly differentiated adenocarcinoma, non-solid type
・[L、post, Type3, 80×65mm、por2>tub2>pap, pT4a(SE), sci, INFc, ly2, v2,pN3a(15/65), PM0, DM0]

これは、胃癌の病理診断の一例であるが、これを見て、X線像が想像できるだろうか?一通りは知っておこう。
一つ一つの略語について、順を追って丁寧に説明していただいた。
注意が必要な事として、壁深達度の表記がUICCによって定められたT分類に変更されたので、今までのMとかSM、MP等で表していたものは今後省略される可能性があり、今のうちに新しい分類を覚えていた方が良いとのことであった。

kaijou104.jpg

また、リンパ節転移の表記が、以前は転移の場所によって決まっていたが、現在は転移の個数で区別するように変わったとのことである。

 

結局、胃がんは、どこの領域にできた癌であるかによってそれぞれの特徴がある。また、X線像の所見として表れているものには全て根拠があり、その根拠は組織像から始まっている。なぜ、このようなX線像を作るのか・・・、そうやって考えて行くと面白いものである。
今回の講演で、なるほどと今までの疑問が解けた方も多かったのではないだろうか。
海崎先生は元々外科医でおられたので、組織所見から肉眼像を考える、あるいは肉眼像から組織所見を考える癖がついており、私たち技師にもX線像を見て組織像を想像したり、病理診断書とX線像とを照らし合わせたりして欲しいとも述べられた。
先生の声はハッキリしており非常に話が聞きやすく、私にとってはあっという間の時間であった。
大変お忙しい中、100枚を超えるスライドを作っていただき、さぞ大変であったことと思いますが、とてもわかりやすく、とても丁寧に説明していただき、大変勉強になりました。この場をお借りして感謝の言葉とさせていただきます。どうもありがとうございました。

メーカー講演   「最近の3Dビューアーについて ~ CTコロノグラフィーを中心に ~ 」

メディカルソリューション営業部    伊藤 孝 先生

 
メディカルソリューション 伊藤先生

CTによる総大腸内視鏡ソフト(Xelis-Colon)の紹介ということで、まずは国立がんセンターで臨床研究として行われているCTCの撮影および解析の様子がビデオで紹介された。
CTCは欧米で大腸がんのスクリーニング検査法として研究されてきた歴史があり、術者の技量に関係なく、誰が行っても同じような結果が得られるということで、日本においても普及が進むと思われる検査である。

 

実際の検査方法であるが、前日の食事は注腸検査に準ずるようで、軽い食事は取れるようだ。検査自体は撮影前に炭酸ガスを注入して、背臥位と腹臥位との2体位を撮影するだけの簡単なものであり、5分もあれば終わってしまう。
この時、スカウト像で炭酸ガスの量を確認し、ガスの量が少ない時は追加することと、腹臥位の時にそのままでは腹部が圧迫されて大腸が変形するのでマットを施すことがポイントである。
前処置がうまくいかない方に対しては、残渣マーキング機能を使うことによりCT値を識別して残渣を取り除くことができるらしい。また、コンピュター支援システムにより読影のサポートもしてくれる。
通常は5ミリ間隔で、だいたい1,000~1,500枚の画像を使用するが、撮影後10秒程度でダウンロードができ、すぐに解析可能となる。システムメモリは7,000スライスまで対応できる処理能力があるらしい。
モニターでは、2画面に2体位を同時に表示することにより、背臥位と腹臥位のポジションを同時に比較しながら診断することができ、MPR、3D、 Band Viewモードなどの画像を自由にレイアウトできるようだ。

demo.jpg

Band Viewモードというのは、腸管を切り開いた展開像であるが、通常は腸管の中にカメラが上または下向きに進むが、これは長軸に対して垂直、すなわち、ひだに対して縦向きにカメラが360度回転しながら進むのでブラインドができないとの説明であった。

 

CTCは短時間で効率よく検査ができ、また検査の再現性に優れている。大腸検査を内視鏡や注腸だけに頼るのはマンパワー不足もある。今後も増加の傾向にある大腸がんの死亡率を減らすためにも、便潜血反応検査と精密検査の間を補う形として、一つの選択肢となるであろう。

 

最後に、会場に機器を持ってきていただいたので、それを使ってデモストレーションを行った。会場からは、検査の手順や前処置、また、ファイバーが通過しない方への対応についての質問が相次いだ。
今のところ、26年頃には800点前後の保険点数が取れるようになる見込みがあるようだ。

文責N,Y 校正K,K

第103回研究会

特別講演   「症例検討と用語説明〈陥凹性病変編〉」

社会保険高岡病院    原田 淳也 先生

 
社会保険高岡病院 原田先生

今回の研究会は、富山県のみならず東海北陸地区で活躍されている、社会保険高岡病院の原田 淳也先生をお迎えしての講演となった。原田先生はNPO法人日本消化器がん検診精度管理評価機構の指導講師でもあり、皆の期待も大きかったようで会場もいつになく満員。そんな中で症例検討から始まった。
さっそく、読影者の「ここが・・・」との言葉にダメ出しが入る。症例検討会でついつい出てしまう「ここが・・・」とか「この辺が・・・」という言葉は、これを機会に、今日限りで封印しよう。
胃角部前壁小彎よりに粘膜ひだの集中を伴う辺縁不整な陥凹性病変があり、陥凹面には顆粒状の陰影が認められるとのことで、深達度はmのⅡc病変であるが、この後、精密検査に来られなかったとのことで、2年後には4型でリンパにも脈管にも転移が起きてしまうという残念な結果になっている。
これが、もし見逃しであったら・・・と思うと背筋がゾッとする。
この症例で、前壁を丁寧に撮影することの大切さがあらためてわかったと思う。枕を使いしっかりと描出する努力をするかしないかで、受診者の人生を変えてしまうこともあるという事を常に頭の片隅に入れておくべきである。

 

次は、胃角部小彎のひだの集中を伴う辺縁不整の浅い陥凹の中に消化性潰瘍によるさらに深い陥凹がある症例であった。深い陥凹は目立つので、ついついそちらに目がいってしまい、良性潰瘍で片づけてしまいがちであるが、その周辺にⅡcが隠れているかもしれない。しっかりとバリウムを付着させる事が大切である。良性と悪性との違いが一つの病変で比較できる分化型のⅡc+Ⅲであった。

 
社会保険高岡病院 原田先生

次は、胃角部後壁小彎よりにひだの集中を伴う陥凹性病変があり、ひだの先端は中断や先細りが見られ、陥凹の境界は明瞭であり、陥凹の表面は顆粒状の陰影が認められるとのことで、未分化型の症例であった。
この症例を読んでくれたのはほとんど胃透視の写真も見たことがないという初心者のようであったが、原田先生の上手な導きにより、最後まで読影することができたようだ。彼女にとっては、基本的な読影の進め方がよくわかり、非常に勉強になったのではないかと思われる。これを機会に消化管のスキルを磨いていって欲しいものである。

 

最後は精密胃透視の症例で、最後まで丁寧に読んでほしいとのことで写真の枚数も多い。
読影者は体下部~胃角部前壁にひだの集中を伴う辺縁が不整な陥凹性病変があり、ひだの先端には中断と一部に融合があり、陥凹の表面には顆粒状の陰影が認められ、未分化型のⅡcで、深達度はひだの融合があるのでsm以深と読んだ。

 
kaijou2.jpg

さて、症例検討会で、皆の前での読影というものは緊張するものであるが、聞いている人が頭でイメージできるように、言葉を使ってしっかり表現することが大切であるとのこと。その言葉というのが所見用語である。これを使って病変の場所、形状、大きさ、周辺の性状、境界、辺縁などなど・・・を一つ一つ表現していく。
今までの原田先生の講演を聞いていればわかると思うが、所見用語はたくさんある。そして、その中にキーワードとなって結論に結びつくものがいくつかある。所見用語を組み合わせていくと、病変が良性なのか悪性なのか、悪性ならば深達度はどうか、組織型はどうかが自ずと導かれていくとのことである。原田先生は、その後の懇親会の席でも述べておられたが、大切なのは、この所見があるからこうであるという筋道が通っていることであって、結果的に違っていても筋道が通っていれば責める問題ではない。その筋道というのが、所見用語の組み合わせにより得られるものであって、これが理解できてしまえば、今まで難しいと思っていた症例検討会も楽しくなるとのことであった。

 

・・・ということで、主な所見用語の説明が丁寧に行われた。また、中村恭一先生が述べておられる「胃癌の三角」という言葉があるが、場と肉眼型と組織型との関係を知ると、もっとよく理解できるので、背景粘膜を知ることも大切であると述べられた。

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全ての所見用語の説明が終わったところで、最後にもう一度、先ほどの症例を読み直すことになり、ひだの融合と思っていた所見はそうではなかったと理解できた。ひだの集中を伴う辺縁が不整な陥凹性病変があり、ひだの先端は中断と先細りが見られるが、肥厚や融合はみられない。陥凹の表面は不整でやや大きめの結節といくつかの顆粒状の陰影が見られ、中央にバリウムの濃淡差がみられる。陥凹の境界は明瞭である。背景粘膜はFライン境界領域である。以上のことより深達度はmの未分化型のⅡcということになる。
病変は周辺から中心に向かって読んで行くことが大切で、所見用語を要約して整理していけば、最終的に読影につながっていくと述べて話を締めくくられた。
これだけ、一つの症例をじっくり読む事が、最近少なくなっていたので、非常に勉強になった研究会であり、あっと言う間の90分であった。前に研究会でおこなった“次の一手”のヒントになったのではないだろうか。集検を担当している技師さん、よ〜く理解してね。

 

この後、場所を変えて、原田先生をお迎えしての懇親会が行われた。参加者は16名。原田先生には、お忙しい中、福井までお越しいただいたこと、また、長時間にわたりお付き合いいただいたこと、大変感謝しております。どうもありがとうございました。

 

会員発表   「胃がん検診専門技師制度と認定試験について」

福井社会保険病院    和田 宏義 さん

福井県健康管理協会   西村 宣広 さん

 

残念ながら時間の関係で、このコーナーは次回に延期となりました。準備をしてくださった和田さん、西村さん、申し訳ありませんでした。

文責N,Y 校正K,K

第102回研究会

会員発表   胃がん個別検診精度管理(画像評価)について

福井県健康管理協会    宮川 裕康 さん

福井県健康管理協会 宮川さん

厚生労働省ではがん検診の受診率を50%以上とすることを目標に掲げており、福井県でも昨年からがん検診をより受けやすくするため、これまでの集団検診に加えて新たにがん個別検診制度がスタートしている。
今回、胃がん専門部会の福井県医師会がん個別検診精度管理委員会である福井県健康管理協会の宮川 裕康さんより、県内の胃がん個別検診の現状、そして個別検診実施施設のフィルム評価を終えて、その結果と今後の課題についての報告があった。
まず、胃がん検診を行うに当たっての基本的な取り決めや基準撮影法についての説明があったが、これは技師であれば当然周知されている事であろう。
昨年度の福井県の実績は1,654件であり、その中で丹南地区の件数が854件と多いのには驚いた。
続いて、5月に行われた個別検診実施施設に対してのフィルム・システム評価の結果報告があった。
これは技師6名と医師3名が3チームに別れて審査を行ったものである。65施設が審査を受け、そのうちデジタル撮影が行われていたのは17施設であった。全体の合格率は55.4%ということで決して高いとは言えない。
ただ、技師が撮影している施設はすべて合格の判定であったので、どうやら面目は保たれたか・・・。

kaijou102.jpg

不合格の原因としては、濃度不良、バリウム付着不良、撮影体位不適、機器管理の不備などがあげられていたが、特に、撮影体位不適としては前壁撮影の体位を指導された施設が圧倒的に多かったようである。
今後は前壁の撮影を研究し、普及させていくことが課題であろう。
会場からは、機器管理について改善が必要な施設には医療機器メーカーに相談するようにと明記されているようであるが、現在不合格の施設に対してメーカーに相談という対応だけでは合格ラインに持っていくことは難しい。現時点では講習会を行うなど方向性は決まっているようであるが、たとえば基準撮影法の撮影方法を具体的に示したDVDを作製して配布するとか、あるいは個々の施設に技師を派遣して合格へのお手伝いができるようなシステムも検討すべきではないかとの意見が出された。
元来、基準撮影法は受診者がどの地域でどの検診施設を受診しても、安心し納得できる質の高い検診を提供できるように撮影法を標準化・統一化したものである。
受診者一人一人の身になって検査を行う必要があり、自分の撮影した写真が、QOLの高い早期がんを発見することが可能か、再確認していただきたい。

 

会員発表    画像の検討

福井県立病院    谷嶋 良宣 さん

福井県立病院 谷嶋さん

次に県立病院の谷嶋さんより「画像の検討」と題して症例提示が行われた。
これは、同病院の寺本さんがコツコツと集めた症例の一部を公開していただいたものであり、X線画像、内視鏡像、病理結果と最終判断まで追えるようになっている。
Type0-Ⅰ、Type0-Ⅱa、Type0-Ⅱc、Type1、Type2、Type3、Type4の症例を順に提示していただき、各画像の特徴をふまえて読影を行っていった。
典型的な症例やそうでない症例もあったが、順に追って説明していくことで、それぞれのTypeの特徴が良く分かったのではないかと思われる。
会場でX線画像を読影してもらった際に、所見用語の正しい使い方ができていない、あるいは、あやふやな状態で用語を使用している場面が気になった。
皆の前で読影を行うとなると、緊張して言葉が出なくなってしまうかもしれないが、常にはっきりと言葉で所見を表現できるように、所見用語を正しく使う努力を日頃から積み重ねていく事が必要であろう。

文責N,Y 校正K,K

第101回研究会

ビギナーズセミナー

福井社会保険病院    山川 秀昭 さん

福井県予防医学協会   平田 智嗣 さん

福井社会保険病院 山川さん

さて101回、意外と続いていますね、研究会。
今回はビギナーズ講習会と銘打って、個別がん検診が始まっている中での初心者向けの企画だ。
と 思って聞いているとやけに難しい事をのたまわっているではないか?初心者ってどのくらいの経験のある人たちを考えていたんだろう?
社会保険では、検診を受ける人たちに検査試行ガイドラインを儲けており、その話から始まった。
つづいて、発泡剤・バリウムについての禁忌、また 胃透視を中止する例等を上げ、わかりやすく話をしていた。
撮影法は、新・胃X線撮影法ガイドラインの任意型検診撮影法に準じ、12体位、16曝射。勿論、病変があれば追加撮影、そして読影レポート提出をしているそうだ。
最後に、「堂々とした態度で」「どんな言葉で、どんな表現で」「最後はねぎらいの言葉を」とまとめ、『やる気』と『前向きな気持ち』を忘れずに、検査をガンバッテ!!
う〜ん!恐るべし。これを覚えちゃったら初心者じゃなくなっちまうよね。でも、最後の言葉、心に染み渡りますよね!惰性で写真を取っている自分が恥ずかしい。

 

さて、講師が変わり、平田先生。

福井県予防医学協会 平田さん

実際に予防医学で自分が教えている事らしいが、これも初心者様なの?
聞いていると自分が技師になりたての頃は、何も教えてもらわなかったような事が研究会では惜しげも無く話しているけど、みんな秘密は無いの?
所見用語、よく書いてくれました。マダマダ知らない言葉が多くて、でも昔の先生が読影していた時の言葉が今は段々崩れてきているように感じるんだ。
だからしっかりした用語と意味は理解しよう。
そして撮影法。ポイントを上手くまとめながら報告がありましたが、初心者には何度聞いてもよくわからない。
撮影体位、画像の善し悪し、悩むな〜と思ったら、画像の善し悪しの見方について、詳しく話してくれました。
でも、さらに解らなくなったりして、もっと小出しで研究会に何度もくり返し講義して欲しいよね。
ところで、非過形成様粘膜だけど、昔H先生がバリウム検査ではわからないと言っていたような気がするけど、皆はどう覚えているかな?
難しすぎて、オイラには何の事やら。でも一歩一歩ジミチに頑張らなきゃ!!

平成23年度総会

平成22年度事業報告・会計報告

平成23年度事業計画案

その他

 
 
文責K,K 校正N,Y
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