平成24年度活動記録

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平成24年度開 催 日会  場内  容
第110回3月6日(水)福井県立病院 福井県消化管撮影研究会作成 「新胃X線撮影法ビデオCD 」の検討
会員発表 馬場保昌先生講演記録抄読「胃癌X線診断の求め方」C
第109回12月5日(水)福井県済生会病院 特別講演 「CTコロノグラフィーの実際」
会員発表 馬場保昌先生講演記録抄読「胃癌X線診断の求め方」B
第108回10月3日(水)福井県立病院 特別講演「症例検討と読影に関する基礎知識」
ワンポイント講座「前壁二重造影について」
第107回8月1日(水)福井県済生会病院 会員発表 馬場先生講演CD抄読「胃癌X線診断の求め方A」
会員発表「胃透視時の読影(動画)」
第106回6月6日(水)福井県立病院 会員発表 「平成22年度胃がん検診結果報告」
平成24年度総会
 
 

第110回研究会

会員発表  福井県消化管撮影研究会作成 「新胃X線撮影法DVD」の検討

福井県立病院       寺本 光義さん

福井社会保険病院    和田 宏義さん

高野病院          松澤 和成さん

個別がん検診に対応した基準撮影法のビデオを作成し、福井県内の施設に配布することを目的に、3つの施設に胃X線検査のビデオを作成して頂き、その内容について皆で検討を行った。

福井県立病院 寺本さん

まずは県立病院からの発表である。
実際のルーチン検査時の映像と撮影された画像を一通り紹介してもらった。男女1名ずつの映像が準備されてあったが、今回は時間の関係で1例のみの提示であった。
検査時に、いかにこちらの思い通りに体を動かしてもらうかが撮影者の腕の見せ所でもあるが、声かけの合間に受診者を褒めることでスムーズに動いてもらっていた。受診者の動きに対して「上手ですね~」「すばらしいですね~」などと褒め言葉をかけてあげることで、相手もこれで良いんだという安心感が持て、二人で作業をしているという一体感が生まれるであろう。さすがベテランらしい流れるような検査であった。

福井社会保険病院 和田さん

続いて社会保険病院の発表である。
こちらも実際の検査時のビデオ映像を流しながらの発表であった。
透視前に検査の内容を一通り説明すると共に、実際に寝台の上での動きの確認も行っており、事前の説明に余念がない。手間と時間はかかるが、受診者にとっては安心感になるであろうし、結果的には検査時間の短縮にもつながるかもしれない。受診者の心に寄り添った行動である。
また、ビデオでは、その時々の撮影時のワンポイントが字幕にて解説されており、撮影時の注意点とコツがつかめる親切な作りになっていた。発表者は6~7年前より発泡剤を水ではなくバリウムで飲んでもらう方法を提唱しているが、今回もその方法での撮影が紹介されていた。

 
高野病院 松澤さん

最後は高野病院の発表であった。
撮影時のビデオ映像はなかったが、それぞれの撮影について、その目的や要点などの解説を加え、実際の検査の流れに沿って説明されてあった。
検診受診者のほとんどは70才~80才代であり、高齢者が圧倒的に多い背景のため、検査前の説明時の会話で受診者の観察を行い、注意すべき点を把握する。検査中は、ひたすら声をかけ続け、一緒に「よいしょ~」などとかけ声をかけることで、動きの鈍い高齢の方に体を動かしてもらう。相手にしゃべる間を与えないことでゲップ防止に努めるなど、高齢者相手ならではのワザを披露してもらった。

 

3施設の発表後に質疑応答に入った。
会場からは、バリウム飲用後に寝台を倒す時に、右腰を上げたままで台を倒し、水平状態になってから仰臥位にしているが、胃内のガスが十二指腸に流れないようにするためにはどうしたら良いのか、また、背臥位二重造影第2斜位撮影後に腹臥位二重造影に入る時に右回りとなっているが、左回りではいけないのかとの質問があり、発表者が質問に答えていた。

 

胃透視には解剖や撮影技術・機器管理などの知識は当然必要であるが、受診者とのコミュニケーション能力がそれ以上に必要不可欠である。
同じ胃を撮影しても、撮る人によって全く違う写真になってしまうとも言われるのはそのためである。
こちらの声のかけ方、そのテンポが変わるだけでも、胃のぜん動や空気・バリウムの流れまでもが変わってしまう程のデリケートな検査でもある。
今回感じたことは、各施設とも、充分な知識、テクニックに基づきながらも、受診者に対する心配りが十分に感じられ、それぞれの地道な努力がうかがわれた。発表者3名それぞれの検査に対する熱い思いが伝わってきた。
今後、この3施設の発表をまとめて、研究会として新胃X線撮影法紹介のDVDを作っていく予定であるが、配布されたDVDを見た方には、撮影方法とともに、この熱い思いも同時に伝わってくれることを期待している。

会員発表    馬場 保昌先生講演記録CD抄読 「胃癌X線診断の求め方C」

田中病院          山川 典子さん

シリーズ通して最後の部分の抄読である。
前回の「B」が、このシリーズのメインとも思われる部分で、分化型癌、未分化型癌の特徴や、それぞれの典型的な画像とその根拠について十分に説明されてあったので、あとは、“場”の話について基本的なことから解説していった。
中村恭一先生の著書「胃癌の構造 第3版」に、「性、年齢別に見た腸上皮化生の程度の差」のグラフが載っている。これによると、確かに年齢が高くなると腸上皮化生が進行している人の割合が増えており、男性の方が同年齢の女性と比べて、腸上皮化生が進行している率が高い。
これは事実であり、昔からわかっていることであるが、なぜこのようなグラフになるのかという理由を、H,ピロリ菌感染の話を交えて、腸上皮化生が進む過程と共に検討した。

 

“場”の話から徐々にスキルス胃癌の話に移った。
馬場先生は、いわゆるスキルス胃癌には2つのタイプがあるということで、胃下部に発生したスキルス胃癌と胃体部に発生したスキルス胃癌とでは、広がり方に差があると言っておられるが、なぜそうなるのかを胃壁の組織学的な差と生理学的な差に基づいて検討を行った。
馬場先生は自覚的にも他覚的にも早期発見が困難な胃体部のスキルス胃癌はLP型胃癌として4型から独立させるべきであるとしている。

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潰瘍に先行して粘膜下以深に広く浸潤してしまうという厄介さを持つこの癌に対して、粘膜下以深に癌が浸潤してしまう前に発見するためには、径1㎝以下の潰瘍化のないⅡc型早期癌を標的病変とし、前LP型癌期、潜在的LP型癌期、典型的LP型癌期それぞれの発育時期による形態変化所見を知っておく必要があるとのことであった。

 

最初、この馬場先生のスライドの「C」の部分を見た時に、なぜスキルス胃癌の話なのか、非常に唐突な感じにも思えた。
先生にとってほぼ完成された胃癌診断学の中で、最後に残された課題であったのだろうか。見つかった時にはもはや手遅れの状態であるという無力さを痛感するたびに、なんとかして他の胃癌と同じようにLP型胃癌を早期発見する手立てはないかとの思いが、この研究につながったのだろうか・・・というのはあくまでも私の勝手な想像ではある。
いずれにしても、スキルスだけはどうしようもないよ・・・と考えていた私にとって、驚きの内容であった。
今回、この部分の抄読を担当させてもらい、あらためて4型がんがどの様なものか解り、大変感謝している。

文責N,Y 校正K,K
 

第109回研究会

特別講演    「CTコロノグラフィーの実際」

高村病院      福島 祐平 先生

高村病院 福島先生

CTコロノグラフィー検査(CTC)は受診者にとって低浸襲性の検査であること、そしてMDCTの普及や大腸解析ソフトの進歩により、現在、非常に注目されている検査である。
高村病院では16列のCTを使用して平成23年10月よりCTCを始めた。現在までに95例を行ないリピータも1例ある。今回は実際の検査方法や、工夫している点などについて詳しく発表していただいた。
CTC専用のマットは4分割されており、真ん中の2枚を抜くことで腹部の圧迫を軽減でき、腸管の途絶や拡張不足を少なくすることができる。
前処置は受診者の負担が少なく腸管内の残渣が少ないという理由からブラウン変法を採用している。
実際の検査の手順は、まず背臥位にて手動で約2リットルの空気を送るが、この時、回盲弁部に手を添え空気が入ってくることを確認する。その後、スキャノで大腸の拡張具合を確かめ、拡張が不十分な場合はそこで追加の送気を行う。
手動で送気を行うと下行結腸は拡張不足になる傾向があるため、背臥位と腹臥位に右側臥位を追加することで、下行結腸の拡張不足を補えるそうである。
管電圧は120㎸、管電流はSD値が25になる80~100㎃程度の低線量で撮っているとのことであった。
ここからは解析処理になる。まず、3DのVR像にて全体像の観察を行うが、骨などの余分なものは全て取り除けるので、あらゆる角度からの観察が可能になる。

高村病院 福島先生

その後、大腸の展開図による内腔の観察を行うが、病変があった場合は周囲のヒダとの関係性も見ることが可能である。その後、仮想内視鏡にて観察を進めていくが、同時に3DのVR像や3方向のMPR像が画面上に表示されるので、病変があった場合には、MPR像を活用して解剖学的な位置を把握することができる。また。MPR像では壁外浸潤やリンパ節腫大などの情報も得ることができる。
実際の症例がいくつか提示された。隆起性や全周性の大腸癌や、5㎜程度のポリープなどであった。通常は残便があっても体位を変えることで病変なのか便なのかの区別がつくのであるが、1例だけ、体位変換でも移動せず、念のためにCFを行ったが便であったという症例があったそうである。細かな固形便は体位変換では移動しないことがあるので注意が必要である。
また珍しい症例として、盲腸が空気で描出された例や胃まで空気が逆流した例が提示された。
CTCでは5㎜以上のポリープであればCFと検出率は変わらないとの報告もあり、隆起性や全周性の病変は描出しやすいが、平坦な病変になると感度が低くなり、観察には注意が必要である。
両股に人工骨頭がある方は、アーチファクトによって内腔の評価はできないようである。
いずれにしても、前処置が不良であれば観察可能な範囲が少なくなるので、前処置の重要性を受診者の方に十分、理解して頂くことが必要である。
高村病院では、検査説明書として表面に検査の案内、裏面には前処置の方法について説明を載せたパンフレットを受付や検査室の前においているとのことで、それを見て検査を希望される方もおられるようである。
通常は手動で送気を行っているが、CTC専用の炭酸ガス送気装置であるプロトCO2Lを使用する機会があり、実際に使用して感じた問題点も話していただいた。
まず、専用の経直腸カテーテルが細く、抜け落ちる恐れがあり、これについては、W‐バルーンカテーテルに交換することで対応した。
経時的な腸管内圧力変化が把握しにくい点について頻回に表示を確認することで対応したが、近い将来、経時的圧力変化グラフが装備される予定であるらしい。

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さらに、ガス注入量リミッター設定が4ℓに限定されている点については、外国仕様のままの状態であり、日本人には多すぎる感じであり、次期バージョンでは、施設ごとの細かな設定が可能になる方向であるらしい。
最後にタギング前処置法を使用した症例の提示があった。検査前にバリウムやガストログラフィンを経口で用いることによって、大腸内の残渣のCT濃度を上昇させて、腫瘤性病変との鑑別を容易にする方法である。
残渣がない事が一番であるが、CTCではCFのように細かな便を吸引して取り除くことができないので、この方法を使用することによって病変と偽病変の鑑別に効果が発揮できそうである。まだ臨床研究の段階であるが、今後の研究次第で期待ができるであろう。
今年から一定の条件を満たせばCTCに保険が適応されるようになった。今後、タギング等の前処置の改良、炭酸ガス注入器の普及等により、大腸検査スクリーニングのスタンダードとして発展していくことが期待されると話を終えられた。
その後、質疑応答に入ったが、会場からは前処置について、検査の位置づけと精度について、保険請求について、読影について等々、多くの質問が寄せられ、注目度の高さがうかがわれた。
大変お忙しい中、貴重な発表をしていただいた福島さん、江端さん、どうもありがとうございました。

 

会員発表    馬場 保昌先生講演記録CD抄読 「胃癌X線診断の求め方B」

福井県立病院      谷嶋 良宣 さん

福井県健康管理協会   木村 一雄 さん

福井県健康管理協会 木村さん,福井県立病院 谷嶋さん

今回はBの部分の抄読である。
馬場先生の講演スライドはA、B、Cの3部に分かれているが、ここがシリーズを通してのメインとなる部分ではないかと思われる。
胃癌X線診断学を勉強しようとすれば、行きつく所は分化型癌と未分化型癌のX線所見の特徴であり、その根拠である。
前回の原田先生の講演でもこの話がメインであったし、少し前の海崎先生の講演でもそうであった。
馬場先生は胃癌の体系から臨床診断を眺めることが必要で、胃癌臨床診断の基本的な概念として“胃癌の三角”を提唱しており、胃癌の三角(発生場所:胃固有粘膜と胃の腸上皮化成粘膜・組織型:分化型と未分化型・肉眼型:1型〜4型と0-I〜0=III)は胃癌臨床診断のいわば安全装置(fail safe system)の役割を果たすとも述べておられる。
組織型鑑別を知ることは、所見が良性か悪性かを判断していく上で重要となる。それぞれの組織型に特徴的な発達進展形式(びまん性と限局性)に伴う肉眼的形態を理解して、X線に写し出されている所見と、組織型の特徴との一致点を見出すことができれば、良悪性鑑別の根拠となるからである。
私たちは常に、良性なのか悪性なのか判断できる写真を撮らなければならず、そのためには、分化型癌、未分化型癌の特徴的なX線所見と一致するかしないのか、それを判断できるような写真を撮らなければならないのである。
そのためには、胃癌の肉眼所見ならびにX線所見を系統的に整理し、肉眼所見と組織所見との関連性について勉強していくことが必要である。
今回の抄読を聞くにあたり中村先生が書かれた病理の本を一度読んでみたくなったのは私一人だけではないと思われる。X線検査も奥をみればきりがない。でも、そろそろ写真を取る技師から写し出せる技師に変わりませんか。

文責N,Y 校正K,K
 

第108回研究会

特別講演   「症例検討と読影に関する基礎知識」

日本消化器がん検診精度管理評価機構 指導講師

日本消化器がん検診学会 X線部会委員

社会保険高岡病院         原田 淳也 先生

社会保険高岡病院 原田先生

原田先生には、1年前にも、この研究会で講演をしていただいたが、非常にわかりやすいと大好評であった。今年も是非にとお願いしたところ、快く引き受けてくださり2度目の講演が実現した。
胃の話といえば、症例を提示して読影方法の説明を行い、背景粘膜や分化型・未分化型の特徴などの話になるのが一般的である。今回も確かにそうであったのだが、今回の講演のメインテーマは何であったか・・・。
私にとって目からうろこであった。

 

皆さん、分化型・未分化型の鑑別はなぜ必要だと思いますか?
治療の方針のためですか?

 

通常、症例検討を行う場合、読影して悪性だと判定した場合に、それではこの癌は分化型か未分化型かと進めてしまっていた。しかし、これは大きな間違いであることに気づかされた。
逆なのである。
分化型・未分化型の特徴というのは、悪性であることを判断していく上で重要な事柄なのである。すなわち、写真に写っているものが悪性であるとの根拠となるものが組織型鑑別なのである。
それぞれの組織型には、発達進展形式に伴う特徴的な肉眼的変化があるが、その肉眼的変化とX線所見として写し出されているものが一致すれば癌が確実となるのである。
例えば、
「・・・・・・・のX線写真上の所見があって、これは未分化型の肉眼的特徴と一致します。だから、これは癌です。」
という使い方をしなければいけなかったのである。

 

さて、講演では、まず、基本的な胃の解剖や胃の粘膜を構成する腺管の話などから始まった。
次に読影の手順について、まずは練習ということで、簡単な症例を使って教えて頂いた。
1、 全体像から局所像の順に所見を読み取る
2、 粗から微細の順に所見を読み取る
3、 読み取った所見をまとめて判定する
これが基本である。
良性にしても悪性にしても、その根拠を示すことが大切である。根拠がなければ、誰も納得してくれない。

 
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読影の補助については、吉田 諭史先生の言葉(「 」内)を引用しながら、
「問題は“読影の補助”の解釈にある。例えば、
1) 質の高い画像を作成したり、
2) 読影に要する各種の機器、器材の保守
などのように“読影診断”のサポート業務とも解釈できる。」
しかし、私たちの目的は、そんなことではないはずである。
「私たちに求められている業務とは、
1) 異常所見の拾い上げ
2) 確診、疑診をふくめた良悪性判定
3) 管理区分(精検の要不要)の決定である」
ここまで行うことが必要である。従って、
「私が考える“読影の補助”とは、胃および胃以外の臓器・疾患に関する体系的な知識を習得し、一定期間の実務的なトレーニングを受け、その知識と技能を公的な機関が認める診療放射線技師による読影である。」
と説明された。

 
社会保険高岡病院 原田先生・福井県健康管理協会 宮川さん

続いて、本格的な症例検討となった。読影者には宮川さんが指名された。
まず、読影に関する基本的知識として
1、 腫瘍の概念
2、 胃癌の発育程度と形態変化の関係
3、 肉眼的・X線的形態診断の着眼点
についての話があった。
実際に読影を進めようとすると、いろんな言葉が頭の中に浮かぶが、3次元の情報を言葉に置き換える必要があり難しく感じてしまう。
しかし、着眼点を面(大きさ)、境界(形)、ひだ(配列)の3つの要素に分解して進めていくと意外にスムーズに行くようである。
1、 表面性状の表現に使われる4つの用語
2、 境界所見に使われる6つの用語
3、 ひだの先端の表現に使われる4つの用語
これらの用語を覚えておけば、あとはそれらを順に組み合わせていくだけで、おのずと読影ができてしまう。
先ほどの「読影の手順」に従って進めて行く。

 

まず、大きく目立つものから読んでいく。
「胃体下部の後壁、大彎側にヒダ集中を伴う大きさ30㎜×20㎜程度の不整形な浅い陥凹性病変が見られる。ヒダの先端は不規則な中断所見で蚕食像を伴う。」となる。
次に境界を読んでいく。
「陥凹の境界は粗大で明瞭である。」となる。
最後に微細な所見を読んでいく。
「陥凹面は不整で顆粒像、バリウムの濃淡差が見られる。」となる。
そして、ここからが原田先生の今回の講演のメインテーマであるが、
「未分化型に特徴的な肉眼的変化をX線写真上に認めることから、がん確実所見と思われる。」
とまとめれば、立派な読影レポートが出来上がってしまう。

 

「読影」というのは、ただ読むだけでなく、最終的に「診断をつけること」という意味を含むので、「読影の補助」は病変の有無や形態変化の報告だけでなく「確定診断の補助」を行わなくてはならないと述べられた。
研修会や症例検討会に参加したり本を読んだりして、多くの症例に出会いながら、自分の力で知識を増やし、技術を磨き、問題を解決していくしかないと最後にまとめられた。

 

時間が短く感じられるほど、非常にわかりやすく、聞きやすい講演であった。ごく初心者にとっては少し難しい話もあったかもしれないが、多くの参加者に満足していただけたのではないかと思われた。私は、講演を聞き終わった後にすごくスッキリした感じになったのだが、皆さんはどうであっただろうか。
原田先生、どうもありがとうございました。

会員発表   「前壁二重造影法について」

福井県健康管理協会    木村 一雄 さん

もう少しゆっくりと、じっくりと聞きたい内容であった。
前回の会員発表で紹介された前庭部前壁の大彎側にある2型の病変について、会場から、前壁二重造影での情報が欲しかったとの意見が出たのだが、これを受けて、このような場合には、どうしたらより情報の得られる二重造影が撮れるのかについて、木村会長に解説していただいた。
前壁二重造影がうまく撮れないと悩んでいる人は、私だけではないと思うのだが・・・。

 
福井県健康管理協会 木村さん

木村会長によると、枕を使いこなすことで、描出領域が広がるし、ヒップアップを使いこなすことで、逆傾斜を少なくできるとのことである。
これらについて、実際の症例写真で説明していただいた。
見ていると簡単そうであるが、実際にやってみると思うように行かないことが多く、今回はその辺りをじっくり聞きたかったのであるが・・・。
木村会長も話足りなかったらしく、場所を変えての懇親会の席で、枕の具体的な位置や体形による使い分けについてなどの話が続いていた。
今回は時間の関係で短時間の発表で終わってしまったが、木村会長の引き出しはまだまだたくさんありそうである。
ぜひ、時間をかけて講演していただき、引き出しの中身を全部出していただきたいものである。
前回の症例は、受診者が高齢であったために逆傾斜があまりかけられず二重造影がうまくできなかったようであるが、右腰を上げたままで左腰を上げるスイング式のヒップアップにより、より情報量の多い二重造影が撮れたであろうとのまとめであった。

 

会場から、ヒップアップは台を倒す前に行うのかとの質問がでたが、木村会長によると、多くの場合は約10度程度ヘッドアップの状態でヒップアップをしてもらい、確認してから、一旦水平状態で台を止め、一呼吸おいてから逆傾斜にしていくと良いそうである。一呼吸おくことで、受診者が楽に感じることと、その時にアントルムからバリウムが抜けて空気が入れ替わり、うまく撮影できるそうである。
また、膝胸位はブレやすいので注意が必要であるとの事であった。
ぜひ、皆さんこの撮影法を極めて行きましょう。

文責N,Y 校正K,K
 

第107回研究会

会員発表 馬場 保昌先生講演記録CD抄読 「胃癌X線診断の求め方A」

福井県済生会病院    坪内 啓正 さん

福井社会保険病院    和田 宏義 さん

福井県済生会病院 坪内さん・福井社会保険病院 和田さん

馬場 保昌先生のCD「胃癌X線読影の取り組み方」の抄読シリーズ第1段である。
福井県済生会病院の坪内会員と福井社会保険病院の和田会員との共同発表で解説してもらった。
まずは、坪内会員からの発表である。
馬場先生は、基本的な胃癌X線診断の取り組み方として、
1)記憶画像に基づいた診断
2)X線・肉眼・組織所見の相互比較に基づいた診断
3)胃癌の体系から眺めた診断
の3つが挙げられると述べている。

 

そこでまず、「1)記憶画像に基づいた診断の方法」について検討してみた。
これは、撮影されたX線像を図像として認識(パターン認識)して、それを記憶する。読影対象画像と記憶された画像との類似点を求めながら読影・診断していく方法である。
従って、胃癌の組織発生や組織型、組織所見などについての知識は不要である。

 
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そこで、いろいろな胃癌のX線像を図像として分類したものが表示された。
隆起型では、様々な形の1型進行癌の画像。
次に潰瘍型(その1)として、sm以深に増殖し周堤を形成する限局型と、周堤を形成せずにびまん性に浸潤するタイプの進行癌の画像。
潰瘍型(その2)は、癌の進展に伴い形態が変化した例で、Ⅱa+Ⅱc型様に見えるがヒダ集中、その先端は肥大して周堤に近い辺縁隆起を伴うタイプと、原発は小さいがスキルスタイプの画像。
Ⅱa+Ⅱc型は、限局発育型でSMT様のタイプや、粘膜下層に浸潤したものが辺縁の隆起として現れずⅡc型~Ⅲ+Ⅱc型にも見える画像。
もう1つの隆起型では、粘膜固有層内で増殖肥厚したⅠ~Ⅱa型の画像で輪郭が不規則な隆起や、表面は顆粒状で集簇型のⅡa型画像。
陥凹型(その2)は、周囲粘膜の委縮の程度は軽度で、陥凹の面が大小の顆粒が存在し、陥凹の辺縁が明瞭でヒダの集中が認められ、ヒダが中断しているタイプの画像。
陥凹型(その1)は、周囲粘膜は委縮しており、陥凹は微細で周りに棘状のはみだしがあり、辺縁は明瞭ではなく、周囲に小顆粒状のわずかな隆起が見られるタイプの画像。
以上の分類が示されたが、このような取り組み方法では、胃癌のX線像のいろいろなパターンを数多く経験しないと、診断の精度が上がらない。また、記憶にない図像に遭遇すると、診断に迷いや間違いが起こる危険性が高くなってしまう。

 

そこで、次に挙げられたのが「2)X線・肉眼・組織所見の相互比較に基づいた診断」である。
X線所見と肉眼所見と組織所見とは,それぞれ観察手段は違っても、いずれも肉眼水準での形態認識という点では共通しているので、それぞれの間に1対1対応が成り立つとのことである。
ここで、典型的な症例画像を5例提示して、X線画像と肉眼所見との対比を行った。
X線画像と肉眼所見との比較対比を繰り返すことによって、
1)X線所見の成り立ちや、所見間の関係が理解でき、読影能力が強化される
2)画像精度の問題点を把握でき、撮影手技が洗練される
などの有用な点があげられる。
ただし、この方法では、胃癌個々の詳細な知識は得られるが、臨床病理学的な事象と関連性が無く、臨床診断としての発展性が期待できないとの問題点が残る。

 
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ここから、バトンが渡されて、和田会員より、典型的な隆起型、陥凹型病変の症例を用いて、肉眼形態と良悪性診断の指標に基づいて、読影の進め方についての解説がされた。

 

しかし、馬場先生は、これまでの取り組み方では、早期癌のような微細な肉眼所見を呈する病変で、良悪性判定の指標を把握することは難しいとのことで、組織水準における「異型度」の概念を肉眼水準へ導入するという考えを用いた。
内視鏡的生検組織診断の良悪性判定は、組織異型度によるGroup分類(Group1~5)により行われているが、これは、細胞・構造水準における形態的な“かけ離れ”の程度を表しており、胃癌のX線的な良悪性判定でも肉眼的な「異型度」を定義し、診断指標を求めてみることが可能ではないかと考えたものである。
癌は粘膜固有層から発生する。早期癌は発育進展に伴って起こる粘膜固有層の凹凸変化が主体となるので、肉眼的な「異型度」判定の指標としては「表面の形状」と「境界・辺縁の形状」を基本に、「粘膜ヒダ先端の形状」が加わる。
進行癌では粘膜下層以深への浸潤に伴う胃壁の肥厚と硬化所見が主体となるので、「腫瘤形成所見」や「潰瘍を伴う周堤形成所見」や、「びまん性壁肥厚と壁進展不良所見」が「異型度」判定の指標となる。

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これらを踏まえて、6つの症例について詳細な解説がされた。
いろいろな情報を織り交ぜて病理組織標本についての解説もあり、かなり病理の勉強をされたことがうかがわれる和田さんの解説であった。

 

肉眼的な「異型度」と癌組型の関係を見ると、表面の凹凸変化が著明なもの、境界が明瞭なものを「異型度」が著明とし、そうでないものを「異型度」が中等度あるいは軽度とした場合、「異型度」が著明な群には未分化型癌、「異型度」が軽度な群には分化型癌が多い傾向が見られるとのまとめであった。
ここで、抄読シリーズの第1段は終了した。

 

会場からの質問では、今回の発表を聞いて、透視における「異型度」を表現することが大切との印象を受けたが、日常の検診業務の中で、常に「異型度」を意識しながら写真に表現するためにはどうしたら良いのか、若い技師へのアドバイスをいただきたいとの質問があった。
それに対して和田会員より、限られた時間の中で、多くの人数をこなさなければならない制約はあるが、常に目的意識と高いモチベーションを保ちながら写真を撮ることが大切であるとの回答があった。

会員発表 胃透視時の読影(動画)

福井県済生会病院    坪内 啓正 さん

福井県済生会病院の坪内会員より胃透視の動画像について提示があった。
被検者は80才代の男性で、内視鏡にて前庭部前壁の大彎側寄りに2型の所見があるとの情報を受け、術前の精密胃透視として行った症例である。
無管法で鎮痙剤は使用している。
動画を流して会場から意見を募った。
・最初に薄層法を1枚加えて、場所の把握と周囲のヒダの確認を行うとより良かった。
・正面視の写真が多いので、側面視の写真もあると良かった。
・術前検査を目的とするならば、前壁二重造影で口側の情報が欲しかった。
・バリウム量をもう少し少なくして、前壁にしぼって撮影しても良かった。
などの意見が出たが、バリウムを十二指腸に流さない工夫が良くされており、圧迫でも陥凹と周囲の隆起がきれいに写し出されており、術前の精密胃透視として、撮影者の努力がうかがえる撮影であった。

福井県立病院      谷嶋 良宣 さん

続いて、福井県立病院の谷嶋会員より胃透視の動画像の提示があった。
こちらは健康診断のルーチン撮影の症例であった。
このルーチン撮影の特徴として、前壁の二重造影は3枚撮影し、正面視を狙った写真を必ず入れている。
その後に、仰臥位にすると球部と前庭部が一番膨らむので、ガスが溜まったところを狙って再度、仰臥位二重造影の写真を撮っている。
最後の立位での圧迫時には、少し台を倒し気味にして、体形によっては背中に枕を入れて行うとの事である。基準撮影法に任意撮影を加えて約17枚撮影している。
会場から意見を募った。

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・同じ体位を何度か繰り返しているが、基準撮影法では最初に後壁を撮り、次に前壁を撮り、最後に上部を撮ると決まっている。前壁を撮ったあとに後壁を撮るなど、少し順番が違う部分があり、手技としてはマイナスになるのでは。
・所見がある場合は別だが、任意撮影が多すぎるのでは。
・ビデオに撮影者の声が入っていると良かった。若い技師さんにとって、ベテランの方がどのように患者さんに声かけをしているのかがわかると良い勉強になると思う。
・透視時間が長い気がする。
・振り分けは左腰を上げて小彎寄りにバリウムを流してから撮るのが良いのか、右腰を上げて、バリウムを体中部から大彎寄りに流してから撮るのが良いのかが悩むが、病変は小彎線にある事が多いので、小彎寄りに流した方が良いのか教えて欲しい。
・最初の二重造影前の3回転は、後の上部の撮影時のバリウムの付きに影響してくるで、すばやく3回転することが大切である。
・前壁の第1斜位撮影の前に1回転を行っておらず、窮隆部のバリウムの付きが悪くなる恐れがある。
などの意見が出た。
さすがにベテランらしく、自分なりに研究されており、胃の全ての部位をしっかりと撮影されている。しかし、ベテランであるが故に知識がありすぎて、あれもこれもと欲張った結果、自己流の撮影法になってしまっていた。その点が会場からかなり指摘を受けたようである。
基準撮影法の目的は、誰が撮っても同じレベルの同じ写真が撮れる事にあるので、再度、撮影方法の見直しが必要であるかと思われる。全体的には、各所に工夫が凝らされており、若い方には勉強になる点も多かったのではないかと思われた。

文責N,Y 校正K,K
 

第106回研究会

会員発表   平成22年度胃がん検診結果報告

福井県健康管理協会    西村 宣広 さん

福井県健康管理協会 西村さん

24年度の最初の研究会である。
今回は福井県健康管理協会の西村 宣広さんより「平成22年度胃がん検診結果報告」と題して発表していただいた。
まずは、統計報告からである。
平成22年度の福井県の健康福祉センター管内での胃がん検診の総受診者は28,347名で前年度より2,339名減っている。
県内6ヵ所の健康福祉センター管内別に見ても、全ての管区域で減っているようだ。
過去10年間の検診受診者数を見ると、平成22年度は減少したが、あまり大きな変化はなく、常に3万人前後を推移しているようだ。
年代別に10年間の受診者数の推移を見てみると、40才代では特に職域での受診者数が減少し、50才代では職域、地域ともに徐々に減少しており、全体的にも減っている。
しかし60才代になると職域が減り、ほとんどが地域での受診となるが、全体的にわずかであるが増加の傾向にあり、70才代でも同様である。

80歳以上の検診受診者数の推移

一番変化が大きいのが80才以上の受診者数で、10年間で約3倍に増加しており、高齢者の受診が増えることで、偶発症の発生確率が増し、また、一人当たりの検診にかかる時間や手間が増え、検査する側の負担は増えているようだ。
要精検率は8.9%であり、平成13年度は17.5%であったものが毎年減り続けている。
また、精検受診率は76.8%である。平成13年度は79.5%であったが、その後減少しており、大体76%前後を推移している。全国の平均は83.2%であり、今後80%以上を目指して努力していく必要があるようだ。
がん発見率の推移を見ると、平成13年度は0.19%であり、その後、平成16年度、17年度には0.11%まで減少を続けていたが、平成18年度に0.15%と上がり、平成21年度は0.18%、平成22年度は0.16%であった。
陽性反応的中度の推移を見ると、平成13年度は要精検者数が5,300人を超えていたが、平成22年度には約2,500人と10年間で半分以下に減少しており、それに伴って陽性反応的中度は徐々に上がり、平成22年度は1.79%となっている。
平成22年度の発見がん数は45例であった。そのうち早期がんは32例で、その内訳はMが21例、SMが11例であり、11例に内視鏡的粘膜切除が施行されていた。
進行がんは13例あり、内訳はMPが3例、SSが2例、SEが5例、未手術のために不明が2例であった。早期がん比率は71.1%であった。

発見がん44症例の占拠部位

45症例のうち、症例報告書の未報告が1例あったので、44症例の占拠部位をみてみると、M領域が18例と一番多く、L領域が12例、U領域が7例であった。
壁側については、小彎が12例、前壁が9例、後壁と大彎が共に10例あり、残りは全周が2症例、不明が1症例であった。部位による大きな差はなく、胃がんはどの部位にでも発生している。
逐年検診で発見された胃がんは早期がんで28例あったが、そのうち前年度も受診された24例の検診結果は「異常なし」が22例で、「要精検」が2例であった。この「要精検」2例はいずれも慢性胃炎の診断であった。
逐年検診で発見された進行がんは7例であったが、前年度も受診された方は3名で、いずれも「異常なし」の結果であった。 その後、平成22年度に発見された45例の胃がんの症例のうち、25例について検診時の画像を、前年度の画像も含めて提示し説明していただいた。
県立病院で手術をされた方については、精密胃透視の画像、内視鏡画像、手術標本を含めて結果までを合わせて提示していただき、その全部を載せるとキリが無いので、印象に残った症例をいくつか紹介していく。

 

まず、U領域の症例からである。
【症例6】
70才代男性。前年度も受診されているが結果は「異常なし」であった。
今回は、C領域の変形でチェックされているが、撮影者は異常を指摘してはいない。
結果は墳門部前壁の3型 30×30㎜ 癌進展のため未手術の症例であった。
透視時に小彎ラインのバリウムの流れをよく観察すべきであった。
会場からは右側臥位の写真でフォルニクスにバリウムが残っているのは良くないとの指摘があった。
また、バリウムを飲んでいる最中にEGJからのバリウムの流れを透視下で確認しているのか。観察していれば所見に気がつくのではないかとの質問があった。
それに対して、バリウムがEGJから小彎に沿って流れてくれれば確認できたであろうが、真ん中から大彎側に流れてしまう場合が多くて難しいであろうとの意見が出た。

 

【症例16】
60才代男性。初回受診である。
C領域、小彎のレリーフ集中、ニッシェでチェックをされているが、これも撮影者は気がついてなかったがフィルムには所見が写っている。
会場からは、撮影後に職場に戻ってからのフィルム確認時に、気になる所見については必ずチェックし、わからないことは自ら先輩にアドバイスや意見を求めるなど、同じ失敗を繰り返さないような姿勢が必要であるとの意見が出た。
噴門部後壁 Ⅱc 10×10㎜ SM tub2の症例であった。

 
福井県立病院 谷嶋さん

【症例17】
70才代男性。初回受診である。
C領域の前壁の隆起性陰影でチェックされた。
二重造影第1斜位にてEGJより口側の食道に変形が認められる。
第2斜位にてフォルニクスに陰影欠損が認められる。
右側臥位、振り分け像にも隆起性陰影と食道入口部の変形が認められるが、撮影者は特に追加撮影は行っていない。
県立病院での精密胃透視、内視鏡、切除標本が紹介され説明があった。
噴門部小彎前壁に直径30㎜の2型病変。
食道はEGJより4~5センチまで浸潤しており、左開胸が必要であった。

 

【症例22】
70才代女性。前年度は異常なしであり、今回、C領域後壁のニッシェで要精検となった。
体上部小彎をはさんで前後壁にまたがるⅡaであり、24×20㎜ Mの病変であり、ESDが施行された症例であった。
バリウムを小彎ラインに沿って流すことで所見をうまく写し出している。
透視時にバリウムの流れを観察することが大切である。

 

【症例31】
70才代女性。2年前に受診しているが、その時は「異常なし」であった。
今回はC領域後壁の隆起性陰影でチェックされている。
検診時の写真でも、後壁にバリウムを流して隆起の陰影がはっきりと写し出されており、追加撮影もされていたが、病変を正面視して隆起の表面性状までわかる写真があればベストであったとまとめていた。
穹窿部~体上部後壁 1型 50×50㎜ MP pap であった。

 

続いてL領域の症例である。
【症例2】
80才代男性。1年前は「異常なし」。
前庭部小彎の隆起性陰影でチェックされた症例である。
追加で撮った圧迫撮影で陥凹と周囲の隆起がはっきりと写し出されている。
会場から、適切な圧迫が行われているが、なぜそこで圧迫撮影を選んだのか根拠を教えていただきたいとの質問がでた。
撮影者より、二重造影の正面像では前庭部がバリウムの流れと溜まりで隠れてしまっているが、第1斜位では二重ラインが認められる。
透視中にこれに気づきこの部位の二重造影を撮りたかったが、前庭部がうまく膨らまない胃の形であったのであきらめて圧迫を試みたとのことであった。
二重造影ではバリウムの流れもあり病変を描出できなかったが、圧迫で写し出せた症例であった。
結果は前庭部、小彎、Ⅱc+Ⅱa 22×20㎜ SM tub1であった。

 

【症例38】
70才代女性。1年前も受診されているが「異常なし」であった。
前庭部後壁の隆起性陰影でチェックされた。
集検時のフィルムを見ると、前壁撮影で隆起の中に陥凹が認められ追加撮影されている。
会場からは迷入膵との鑑別を意識して追加撮影を行ったのかどうかの質問があった。
また、隆起の周りにバリウムを溜めてもっと隆起を意識した追加撮影を行った方が良いとの意見や、1枚の追加撮影に対する重さを指摘する意見が出た。
前庭部 前壁 2型  15×15㎜ SM por2であった。

 

続いて胃角の症例である。
【症例5】
60才代女性。初回受診である。
胃角部小彎の隆起性陰影とニッシェでチェックされている。
二重造影にてバリウムの溜りがありその周りを取り囲む隆起陰影が認められる。
追加撮影での圧迫でも隆起とその中心のバリウムの溜りがはっきりと写し出されている。
胃角部~前庭部の全周性の3型 50×50㎜ SE muc の症例であった。

 

【症例18】
70才代男性。1年前にも受診しており結果は「異常なし」であった。
胃角部小彎の辺縁硬直化でチェックされているが、結果は①体下部前壁のⅡc(26×21㎜ M tub2)と②胃角部小彎 Ⅱb(11×11㎜ M tub1)と③体下部後壁のⅡa(10×5㎜ M tub2)の3ヶ所の病変がみつかり多重癌であった。
その後、個別検診の症例が2例紹介された。

 

【症例26】
60才代女性。1年前にも受診しており「異常なし」であった。
今回は胃角部小彎のフレッケでチェックされている。
振り分け像でバリウムの溜りが写し出されている。
県立病院での精密胃透視と内視鏡、切除標本が提示され説明があった。
体下部後壁のⅡc 37×24㎜ M por1であった。

 
kaijou106.jpg

今回、非常に多くの症例を提示していただいた。準備するだけでも大変であったと思われる。ご苦労様でした。
ただ、検診時に撮影者はどこで異常を感じてどのように写し出したのか、そのフィルムで読影医はどこを異常所見としてチェックしたのか。結果からさかのぼって、検診時のフィルムにはどのように写っていたのか。口頭で説明はされていたが、せっかくスライドを使っているので目に訴える方法での説明を加えると、よりインパクトのある発表になったと思われる。
あまりにも多くの症例を紹介していただいたが故にもう少しメリハリが欲しかった。
前年度の写真や精密検査の写真も掲示されていたが、例えば比較がしやすいように並べて見せるなど、スライドの作り方にもう一工夫が欲しかった。
非常に貴重な症例ばかりであったので少々残念であった。

 

これからも高齢の受診者が増え続けるであろう。
思うように動くことができずにバリウムが流れてしまったり、胃が膨らまなかったり、撮影する側にとっては根気のいる仕事である。
それでも受診者にとっては年に一度の機会である。
異常があるのか無いのかを見極めて、異常所見があるのなら、それを一番効果的に写し出せる体位は、撮影方法はどうすれば良いのかを瞬時に判断して実行する必要がある。
良悪性の鑑別、病変の深さ、広さまで判断できるような写真を追加の1枚に納めるのは意外に難しい。
しかしそれができてこそ、検診の価値が生まれてくる。
検診はつくづく難しい。

平成24年度総会

平成23年度事業報告・会計報告

平成24年度事業計画案

その他

 
 
文責N,Y 校正K,K
 
 
 
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Last-modified: Sun, 05 Feb 2017 10:27:55 JST (168d)