平成28年度活動記録

 
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平成27年度開 催 日会  場内  容
第129回3月1日(水)福井県済生会病院 症例検討会
第128回12月7日(水)福井県立病院 症例検討会 ~症例コメンテーターに宮永 太門 先生をお招きして~
第127回9月24日(土)福井県済生会病院 会員発表「症例病変のバリウム付着について、皆さんの付着方法を教えてくれませんか?」
技師講演 「一緒に背景胃粘膜X線診断をしませんか?」
胃バリウム検査における撮影テクニックQ&A
第126回6月1日(水)福井県立病院 メーカー発表「大腸CT検査の新しい前処置について―コロンフォート内用懸濁液25%―」
会員発表「平成26年胃がん検診結果報告」
平成28年度総会

第129回研究会

症例検討会

福井県済生会病院  坪内 啓正さん

司会  福井県予防医学協会  平田 智嗣さん

【症例1】
集団検診では「異常なし」であったが、ピロリ菌検査が陽性であったために精密検査目的で内視鏡検査を受けて異常が見つかった症例である。
集検から2ヶ月後の精密胃透視の写真では、幽門前庭部~胃角部に比べて、あきらかに胃体部の膨らみが悪く硬さが認められる。レザーボトル状である。
立位充盈像にて胃体部大彎・小彎のラインに毛羽立ちが認められる。
二重造影にて体下部後壁には陥凹性病変が認められるが、体部のヒダに明らかな肥厚は認められない。
結果はスキルスであった。大きさは128×119㎜で食道にも浸潤していた。深達度はT4a(SE)で、リンパ節転移が3個認められた。組織型はpor2>sigであった。
1年前の検診の写真も提示された。体部にヒダは全く認められず、萎縮がかなり進んでいるであろうと思われる胃であったが異常は指摘できない。
やや過伸展気味かとも思われるが、発泡剤の量は4.5gとのことである。もう少し空気量が少なければ、もしかしたら体部の浅い陥凹性病変が写し出されたのかもしれない。ただ、集団検診でそこまで求めることは無理な話で、あくまでも結果論である。
バリウムの流れを観察し、スキルス特有のヒダの蛇行を見逃さない事が大事である。
ただ、今回の症例は、切除標本で見るとヒダは肥厚してうねっているのがわかるが、X線写真ではヒダの高さが無いためか、ヒダの所見が顕著に表れておらず見逃しやすい症例であった。
その他、会場からは癌が食道に浸潤していれば、ECJが常に開きっぱなしの状態になることが多いので、そこの観察も必要であるとの意見があった。

 

【症例2】
検診の症例である。会場の多くは、胃角が不整で、体部のヒダが集中しているように見えると読んだが、追加撮影の写真が提示されて、十二指腸球部後壁に中心に陥凹を伴う隆起性病変があることがわかった。
精密検査目的で内視鏡が予定されているようであるが、まだ正確な結果はわかってないようである。胃の所見も含めて、結果の報告を待ちたい。

 

【症例3】
精密胃透視の症例が提示された。読影者はまず、前庭部小彎の辺縁不整の所見をチェックした。
ここから追加撮影の写真が提示され、胃体下部後壁にヒダの集中を伴う辺縁不整な浅い陥凹性病変があり、陥凹面は顆粒状であると指摘した。
前庭部の辺縁不整の所見は蠕動の影響であった。撮影者はバリウムを病変部位に何度も流しており、努力のあとがうかがえるが、バリウムが病変部位に薄く漂っている写真が多く、二重造影で粘膜面を表している写真も提示して欲しかった。
浅い病変かと思われたが、大きさが30×24㎜の2型で深達度はT4a(SE)であった。組織型はpor2>sigである。幸いにもリンパ節への転移は認められなかった。
二重造影で粘膜面がはっきり見えてない為か、陥凹の境界もはっきりせず、周堤も確認できなかった。圧迫の写真があれば、もっと情報量が増えたのではないかと思われる。
これがもし検診であったら、病変を見つけることができたかどうか考えさせられる症例であった。

 

【症例4】
食道癌の症例である。切歯から20㎝の所に半周性のものと、30㎝の所に1/4周性のものと、病変が2ヵ所ある症例の術前透視であった。
なかなか食道が膨らまない方のようで、撮影に苦労したとのこと。会場に意見を求めたいということで提示された。
会場からは、バリウムの濃度や、具体的な撮影方法について様々な意見が交わされた。

 

【症例5】
精密胃透視の症例である。読影者は体下部小彎にヒダの集中を伴う陥凹があり、体上部から体下部にかけての小彎ラインには直線化も認められるので広い範囲の深さのある病変であろうと読んだ。
場所は特定できたが、範囲が広いのか狭いのかで悩む症例であった。
病変の口側が常にバリウムでブラインドになっており、そこの情報があると良かった。
他に会場からは、術前胃透視では病変が胃上部にある場合はシャツキーを必ず撮ることが大事であるとのアドバイスがあった。
結果は33×28㎜の中心部が陥凹した隆起性病変で組織型はtub1-2、深達度はT1a(M)であった。

 
文責N,Y 校正T,K
 
 

第128回研究会

症例検討会

司会  福井県健康管理協会  西村 宣広さん

コメンテーター 福井県立病院 外科  宮永 太門先生

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今回はコメンテーターとして県立病院の宮永先生に参加していただき、要所要所で解説をしていただきながらの症例検討会となった。
【症例1】
40才代 男性
検診の胃透視で要精密検査となり内視鏡を受けた症例である。
検診は4~5年前から毎年受診されていたが、今回、初めて指摘を受けたようである。
まず、検診時のX線画像が提示された。
読影者は胃角開大と体下部~胃角部にかけての小彎の陥凹性病変を指摘した。
陥凹にはバリウムの溜まりが認められる。
陥凹の深さはあるが、圧迫では硬い感じは受けないので良性の潰瘍だと思うが、悪性も完全には否定できないと読んだ。
この症例の提供者も、病変部の進展性は良く、圧迫等でも硬さは感じられないので良性のように見えるが、二重造影にて陥凹の性状が崩れており、陥凹周囲の不整からは悪性も否定できず、良悪性の判別に悩んだということである。
宮永先生から、どうやって良性と悪性の区別をつけるのかが説明がされた。
もし、良性であると判断するならば、「体下部から胃角部小彎に陥凹性病変を認めるが、陥凹の辺縁はほぼ円形で、陥凹面もキレイである。圧迫でも硬さは感じられず伸びも良いので良性の潰瘍を疑う。」との読みになるであろうし、悪性であると判断するならば、「体下部から胃角部小彎に数㎜のバリウムの溜まりがある。陥凹の辺縁は不整で陥凹面の性状は凹凸があるように見えるので0-Ⅲの早期癌を疑う。」との読みになるであろう。
検診の約1ヶ月後に実施された内視鏡像が提示された。胃角部に2ヵ所の良性潰瘍が認められた。
二重造影では、2つの潰瘍が重なり合ってしまったのか、1つしか写し出されていない。
圧迫でもう少し強く押したり、角度を変えたりしていれば表現できたかもしれなかった。
宮永先生は、病変があった時の圧迫撮影は、1枚では意味がなく、強弱をつけたストリーのある写真を撮って欲しいと述べておられた。
今回は素直に良性潰瘍の所見を読めば良い症例であった。
その後胃潰瘍の治療を行い6ヶ月後の内視鏡が提示され潰瘍瘢痕像となっていた。

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【症例2】
60才代 女性
第125回研究会にて一度提示されたが、その時点では結果が出ておらず宿題となっていた症例である。
胸痛、吐き気、心窩部痛があり食べられないとの訴えで受診され胃内視鏡とCTを行っている。
CTの画像が提示された。胃壁に著名な肥大があり、胃小彎側や大彎側にリンパの集簇が認められCT上では進行胃癌の診断がされていた。
その後に行った内視鏡でも進行胃癌の所見が認められるも生検ではGroup1となり悪性が出なかった。その後2回行った内視鏡でも生検でGroup1となり、悪性かどうかを評価するために胃透視を行った。
その後の腹水穿刺にて悪性細胞が認められ、再度CTを行い腹水が増加し、腹膜播種の所見も明瞭化しており、水腎症も出現している。その後の内視鏡での生検にて、adenocarcinona(sig,por2)が認められ化学療法が開始された。
大彎側を中心としたほぼ全周性のスキルスであった。
鑑別診断をあげるとすればリンパ腫が考えられる。リンパ腫はリンパ球が粘膜下層を這っていくので、スキルスのようなヒダの肥厚は認められるが、これほど広範囲にはならず、局所的な場合が多いとのことである。
リンパ腫は柔らかいので伸びが良く、胃透視では空気の量によって伸び縮みするのが特徴なので、スキルスなのかリンパ腫なのかが判別できるような写真を撮ることが必要である。
今回提示された胃透視の写真では、十二指腸にかなりの空気が入っているのに対して体部が膨らんでおらず、硬さも十分に表現されていた。

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Dr miyanaga.jpg

【症例3】
60才代 女性
検診にて要精検となったが、まだ精密検査の結果が不明とのことで、検診時の写真だけが提示された。
体上部小彎に中心に陥凹のある立ち上がりのはっきりした隆起性の病変が認められる。
結果は出ていないが、撮影者は柔らかさが感じられるので2型というよりもリンパ腫が疑われるとの印象をもっていた。
宮永先生は、1型の分葉状の腫瘤の中心部にくぼみがあるようにも見えるし、2型にも見えるが、明らかにリンパ腫という感じには見えないとのコメントであった。
会場からはGISTにも見えるとの意見が出たが、隆起の立ち上がりが急峻ではっきりしているということで、上皮性のものであろうとの結論になった。今後も結果を追っていくとのことである。

 

【症例4】
60才代 男性
人間ドックでの胃透視の写真である。
結果的には潰瘍瘢痕であったが、最初は空気が抜けて膨らみの悪い状態の中で、所見に気が付いて、再度空気を足して集中像をきれいに写し出してある写真であった。
潰瘍瘢痕様に見えるところから悪性が出ることもあると宮永先生が述べておられたので、透視中に所見に気付いてそれをしっかりと写し出すことの大切さを改めて感じさせられた症例であった。

 
 
文責N,Y 校正T,K
 
 

第127回研究会

会員発表 「症例病変のバリウム付着について。皆さんの付着方法教えてくれませんか?」

福井県済生会病院    坪内 啓正さん

内視鏡で診断された症例の精密胃透視をする場合に、病変部位にどうやってバリウムを付着させるかについて、皆で検討してみようということで3症例を提示していただいた。

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≪症例1≫
胃内視鏡にて穹窿部大彎に、いびつな形の粘膜下腫瘍が指摘された。
腫瘤自体にはびらん性の潰瘍等は指摘されていない。
腫瘤の辺縁は脾臓に圧排されて少し盛り上がっている。
2年前のCTで胃の後壁と脾臓の間に造影しても染まらない円形の腫瘤が認められる。
今回のCTでは腫瘤が増大傾向を認め、胃を圧排しているようにも見える。
EUSでは良性のGISTと診断されたが本人の希望により手術となった症例である。
透視画像が提示された。
撮影者は最初に半量のバリウムを飲んでもらい数回転させてバリウムを粘膜面に付着させてから、残りのバリウムを追加して隆起の正面像や斜位像、接線像を撮影していた。
その後、一度胃の全体像を撮った後に、病変部位の角度を変えたり、隆起の辺縁、隆起表面の性状、隆起の高さが判断できるように、バリウムを厚く流した状態から徐々にバリウムを薄く流した状態まで変化させたりしながら撮影していた。
摘出された腫瘤は1.8×1.3×1.0㎝大の黄白色をしており、良性の胃GISTとの診断結果であった。
この症例について意見交換を行った。
「上皮性なのか粘膜下なのかを判断できるように撮ることが大切である。薄くバリウムを載せることで、隆起周辺の粘膜のヒダの状況が良くわかる。」
「穹窿部なので圧迫は難しいと思うが、体部などの圧迫ができる場所であれば圧迫で確認したい。」
「脾臓からの圧排について透視画像では表されているのか。」
「空気量を変化させた写真があっても良かった。有管法ではないので空気量の調節は難しいが、後半の空気が少し抜けた状態の方が隆起周囲の粘膜の状態がわかりやすいのではないか。」
「胃上部の病変なので、ローリングの時にやや逆傾斜の状態で行ったらどうか」
などの意見が交わされた。
撮影者は、角度を変えたり、バリウムの流す量を変えたりすることで、隆起の表面や周囲の粘膜の性状を写し出そうとする努力の後が見られ、また、実際に良く写し出されている写真であった。

 

≪症例2≫

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紹介医にて胃内視鏡を施行された結果、胃癌疑いでESDも可能であったが、本人が手術を希望されて紹介された症例とのこと。
内視鏡画像にて胃体部後壁の大彎側寄りにヒダの集中を伴う陥凹性病変がある。陥凹の表面は顆粒状で陥凹の周囲は少し盛り上がっている。
精密胃透視が紹介された。ローリング後に胃の全体像を撮影。
その後、ローリングやシェイキングでバリウムを付着させて病変部を中心に撮影されている。
ヒダの走行と陥凹面の性状、陥凹の深さを見るためにバリウムを流しながらの写真、圧迫筒で体圧を少し抑えての二重造影や、接線像、圧迫像などで進行の程度や病変周囲の性状も写し出そうと努力されていた。
今回は内視鏡検査での情報を得た後の胃透視であったが、初めの3回転後の写真では所見がはっきりと写っていない。
もしこれが検診であったなら、この時点での発見は難しい。
撮影者も病変部にバリウムが流れた際にやっと病変の位置が確認できたようであるが、バリウムの流出によるブラインドのできやすい部位でもあるので、下手をしたら病変を見落とす事になりかねない。
粘液が多いためにローリングを行ってもバリウムがべったりと厚付きしたままで、粘膜面がきちんと写し出されていないことが原因である。
シェイキングも行ってはいたが、もっと粘液をしっかりと落として、スッキリと粘膜面が写し出された二重造影が欲しかった。その後に病変にバリウムを流した写真を撮ると良かったと思われる。

 

≪症例3≫
胃内視鏡にて胃角小彎~後壁に広がる白色調粘膜病変が認められ、生検の結果で胃癌と診断された症例である。
内視鏡で見ても色調の変化だけで粘膜面の高さなどに変化は認められない。
胃角部小彎のⅡb病変とのことで、透視の写真では胃角部の辺縁に変化は認められず、病変部位と思われる場所の粘膜面が、やや顆粒状に変化しているようにも見えるが断定はできなかった。
シェイキングでバリウムを付着させたり、何度もバリウムを流したり、圧迫したりと努力は行っているのだが、はっきりわからない。
これがバリウムでの限界なのだろうか。
会場からは半臥位でのシェイキングでは小彎にバリウムが通らないので腹臥位で腰を上下にひねらせるようなシェイキングを行った方が良いのではないかとの意見が出た。
その後、シェイキングのやり方について様々な意見が交わされた。
4×3㎝の sig>por2 、深達度pT1aの病変であった。

 

特別講演 「一緒に背景胃粘膜X線診断をしませんか?」

やわたメディカルセンター   田畑 悦子 先生

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背景胃粘膜診断とは胃X線検査において、ヘリコパクターピロリ菌感染の有無や、胃がんのリスクの表現である萎縮の程度を評価することである。
田畑先生の施設では、昨年の4月から胃がん検診に背景胃粘膜診断を取り入れているそうで、これを始めるにあたり、今までの技師レポートに、背景胃粘膜診断用の項目を新たに設けて判定方法を標準化させている。
検査中に萎縮があるとわかったら、癌のリスクが高いということで、より慎重に目を凝らして観察し、技師が萎縮性胃炎であるとチェックした時点で、必ず要精検となるように、ドクターの診断も統一化されているそうである。
また、萎縮性胃炎と診断された受診者には胃がんのリスクが高いことを説明し、除菌治療を積極的に勧めて胃癌を予防するという体制を作り、ピロリ菌についてわかりやすく説明された文書も配り、家に帰ってからでも読んでいただけるような工夫がされていた。
施設への取り入れ方については、いろいろな考え方や方法があると思うが、自分の施設で行う場合には、最初にどのような方法で行うのかを決めることが大切であると述べられた。
背景胃粘膜診断での要精検率は20.7%で、その中で精検を受けられた方は48%しかいない。
背景胃粘膜診断での精検受診率を上げるためには、ピロリ菌感染が胃がんのリスクであることを認識してもらい、除菌治療のメリットを知らせていく努力が必要であると述べておられた。
背景胃粘膜診断の陽性反応的中度は97.3%と非常に高い数値である。
これは統一レポートにすることで診断が標準化されたことと、背景胃粘膜を細かく評価することで丁寧な診断につながり高い正診率の確保につながったのではないかということであった。

 

次に実際の診断方法についての話になった。
背景胃粘膜診断は基準撮影法で3回転のローリング後に撮影する背臥位二重造影像で行うのが基本である。
観察するのは「胃粘膜表面像」、「ひだの形状」、「ひだの分布・広がり」の3つであるが、バリウムの付着の程度やポリープの性状も参考にすることもある。
その後、実際の画像を参考にしながら、3つの指標をどのように判定していくのかについて詳細な説明がされた。
胃粘膜表面像は、「平滑型」、「粗糙型」、「中間型」の3つから選択する。
ここでの注意点としては「平滑型」と「粗糙型」の中間のものを「中間型」とするが、判断しにくいものを「中間型」とするのではなく、明らかに「平坦型」ではなく、しかも明らかに「粗糙型」ではないものを中間型とするとのことである。
ひだの形状については「正常型」、「異常型」、「中間型」、「消失型」の4つに分けられる。
これを観察するには、ひだ山のふもとのバリウムの溜まり方を観察することが大切である。
空気量によっても見え方が変わるので、迷う場合は複数の写真で確認した方が良い。
最後にひだの分布・広がりについて判別する。ひだの分布域を見て、萎縮がないものから萎縮が高度なものまでの4段階に分ける方法もあるが、胃体部を4等分しひだの分布する区域数で判断する4分割評価法を採用しているとのことである。
ここから、3つの項目を総合的に判断し、未感染と現感染と既感染とに区別していくのだが、一番重要なのが「粘膜表面像」であり、「ひだの分布・広がり」に関しては、胃の形状によってひだの分布も違うので参考程度で良いとのことであった。
未感染は、3つの項目が全て正常である場合のみに限られる。
現感染は胃粘膜表面像が粗糙型でひだの形状が異常型か消失型の場合であるが、ひだの形が明らかに異常型であるとか、幽門前庭部に鳥肌胃炎の所見があれば、他の所見にかかわらず現感染の可能性が非常に高い。
特に鳥肌胃炎がある場合は体部に未分化型癌が発生する確率が高いので、この所見を見つけたら必ず内視鏡に回して欲しいとドクターからも言われているそうだ。
既感染の判断は難しく、感染初期に除菌すると未感染に近い像を示すこともある。
必ず過去画像と比較することと、ご本人に感染や除菌の有無を確認することが大切である。
除菌された方には除菌判定の結果も必ず確認する必要があり、除菌後は特に過去画像との比較が大切とのことであった。
現感染と診断された症例の除菌1年後から4年後までの毎年の画像が提示された。
年を追うごとに徐々にひだの高さが低くなりひだの形状が正常に近づいていき、粘膜表面がきれいになっていく様子がよく表されていた。
ただ、年が経ってもひだの分布は元に戻ることは無いようである。

 
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背景胃粘膜診断を行うためには、バリウムの付着が悪いと判定ができない。
粘膜面をしっかりと写し出して初めて判定が可能になる。
付着する努力をすることで、胃がん検診としての写真の質も上がっていくことになるであろう。
胃がん検診に背景胃粘膜診断を充分に活用されている面白い試みであった。
田畑先生は毎日毎日、背景胃粘膜診断を行って、既に1,000件以上の写真を判定したそうである。
数をこなすことで瞬間的になんとなく判断できる目が養われ、色々なことが分かって楽しくなってきたとサラッと述べておられたが、考えてみればすごい努力である。
また、施設全体で胃がん予防のために一丸となって取り組んでおられる姿勢に非常に感動した。
今回、貴重な話をお聞かせいただいて感謝している。
この場をお借りしてお礼を申し上げます。

 
 
文責N,Y 校正T,K
 
 

第126回研究会

メーカー講演 「大腸CT検査の新しい前処置について―コロンフォート内用懸濁液25%―」

伏見製薬株式会社 東日本営業部金沢オフィス   福濱 仁司 様

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大腸の「colon」+快適の「comfort」+「CT」、3つのスペルを組み合わせて名付けられた大腸CT前処置薬「コロンフォート内用懸濁液25%」の紹介をしていただいた。
大腸がんの罹患数は2015年予測で13.5万人を超えそうで、肺がんや胃がんを抜いてトップになり、死亡者数も約5万人と肺がんについで2番目の多さとなっている。
大腸がんは早期に発見すれば救命可能な癌にもかかわらず死亡率が上がっているということは、現在のがん検診の実情にも問題がありそうである。
便潜血検査は安心・安全・安価な検査であり、一度に多くの検査が可能であるという検診としてのメリットはあるが、一方で偽陽性の多さや偽陰性が問題となっている。
偽陽性が多いと、便潜血検査の結果の軽視につながり逐年受診率の低下につながるおそれがある。
また、要精検になった場合の大腸内視鏡や注腸検査は、前処置として大量の腸管洗浄剤を飲んで排泄を繰り返し、肛門からカメラやバリウムを大腸の深部まで挿入するなど負担も大きく、苦しい、恥ずかしい検査とのイメージが高く、精密検査の受診率が向上しない一因ともなっている。
そこで、侵襲性が低い大腸CT検査を、便潜血検査と大腸内視鏡の間の1.5次検査として位置づけることで、精密検査(大腸内視鏡)の受診につながれば精密検査受診率のアップも期待ができ、大腸がん死亡者数減少へ通じるのではないかとの提案であった。
コロンフォートは、食事と共にバリウムを服用することで、蠕動運動により腸管内の便にバリウムが混ざり、便標識としてタギングすることで、CT画像上で病変と残渣の区別が可能となる。
1本32mlに硫酸バリウムとしては8gが含まれているそうで、これを検査前日の毎食後に1日3回経口投与する。
パイナップルの香りで非常に飲みやすいとのことである。
懸濁安定性と腸管内での沈降抑制のために微粒子を使用しており、ヨーグルトや飲むゼリーと同等の粘度で飲みやすくなっているそうだ。

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コロンフォートを使用してタギングを行うことで、残渣があっても診断でき、大腸を完全に空にする必要がなくなるので、高張液を200㎖程度服用するだけで済むようになる。
全大腸内視鏡や大量の腸管洗浄液を使用したCTCは精度が高いが受診者負担は大きい。高張液など簡易な下剤によるCTCでは負担は少ないが精度も高いとはいえない。
しかしコロンフォートと少量の高張液との組み合わせをおこなうことで受診者の負担は軽いままで精度の高い検査が行われるとのことである。
実際にタギング処理が有効であったポリープの症例が提示され、その他に使用上の注意などについての話がされた。
現在、大腸がん検診で要精検となった方の約46%が精密検査を受けていない状況である。
今後、検査の選択肢が増えることで少しでも大腸がん検診や精密検査を受診する方が増えて大腸がんの死亡率低減につながれば大変、意義があることである。
皆の関心も高かったようで、その後会場からの質問がいくつかあがった。

 
 

会員発表 「平成26年度胃がん検診結果報告」

福井県健康管理協会   西村 宣広 さん

福井県立病院      飯田 圭 さん

【症例1 】
80歳 女性
前庭部小弯のアレア粗大顆粒で要精検となり、近医にて胃内視鏡を受診され県立病院に紹介された症例である。

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1年前の検診では異常なしであった。
追加撮影もされており、検診でチェックされた前庭部の所見が病変かと思われたが、内視鏡で見ると実際の病変はもっと胃角に近いところであった。
再度検診の写真を見ると前壁二重造影にて胃角のラインが不整になっており、こちらに病変があったと思われる。
前庭部小弯のアレア粗大顆粒の所見が無かったら見逃されていたかもしれない症例であった。
9×7㎜の0-Ⅱcで組織型はtub1、深達度はpT1a(M)であった。
【症例2 】 
85歳 男性
検診にて要精検となり県立病院にて内視鏡・手術を受けられた症例である。
前年度の検診では異常なしの結果であった。
前庭部小弯と穹窿部大弯に隆起性陰影が認められる。
穹窿部の病変は21×18㎜の0-Ⅰで、組織型はTub2>por1、深達度はpT1b2(SM2)であった。
前庭部小弯の病変はY-Ⅳ型のポリープであった。
1年前の写真では右側臥位にて穹窿部大弯によく見ると浅い隆起があるようにも見えるが、その他の写真では指摘は困難である。
穹窿部の隆起は内視鏡で見ると表面がゴツゴツとして凹凸が見られるが、右側臥位の写真で隆起の側面像での不整なラインとしてそれが表現されていた。
【症例3 】 
68歳 男性
1年前の検診では異常なしであった。
今回の検診で要精検となり県立病院にて内視鏡を受けられた。
胃体下部前壁小弯寄りに中心に陥凹を伴う隆起性陰影が認められる。
胃の膨らみも悪い。
50×40㎜の3型で多発肝転移が認められ化学療法が行われた症例であった。
バリウムが付きにくく集検では見落とされやすい部位であるが、1年前の写真では、何枚かの写真で大弯側の弯入が認められるので、小弯側での病変の存在を疑うべきであったとの意見が出た。
また、1年前の検診の時点ですでに胃全体の膨らみが悪く、硬さが感じられるので、癌が下にもぐっているようにも見えるのだが、スキルスが根底にあるとは考えられないかとの意見が出た。
その他、横胃の時の小弯ラインの読み方についての質問が出た。
【症例4 】 
56歳 男性
1年前の検診では異常なしであった。
検診の写真では病変はハッキリ写っておらず、別の部位でチェックされたようである。
内視鏡の診断では前庭部後壁に31×24㎜の2型で深達度はSSの進行癌を疑われていた。実際は深達度がpT1b2(SM2)であった。
粘膜下層深部まで浸潤しリンパ管侵襲がやや強いとのことである。
組織型はpor2>sig>tub2であった。
大きい病変であるにもかかわらず前庭部が伸びない胃形であり、病変を写し出されていなかったがチェックされて良かった。
ここで見逃されていれば確実に進行癌になっていた症例である。
【症例5 】 
73歳 男性
初回受診の方で、胃体上部大弯の変形にて要精検になった症例である。
49×46㎜の3型であった。
組織型はpor2>tub2>tub1で、深達度はpT4a(SE)であった。
CTではリンパ節腫大の所見もあったようである。
また、この方は胃体下部大弯寄りに0-Ⅱaも発見されている。

 

今回は、【症例3 】【症例5 】において大弯側の弯入という間接所見が見られたが、検査をされる技師さんたちは、どのようにアプローチして、異常所見を写し出すことができたのか、一人ひとりが考えていただきたい。

 
 

平成28年度総会

平成27年度事業報告・会計報告

平成28年度事業計画案

 
文責N,Y 校正K,K
 
 
 
 

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Last-modified: Mon, 11 Jun 2018 22:41:30 HADT (347d)