平成29年度活動記録

 
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平成29年度開 催 日会  場内  容
第134回3月7日(水)福井県立病院 メーカー情報提供「FPD-XTV装置の最新トピックス」
会員発表 初心者セミナープログラム「基準撮影法の注意点」
症例提示
第133回12月6日(水)福井県済生会病院 メーカー情報提供「大腸CT ~最近のトピックスと関連製品のご紹介~」
会員発表 初心者セミナープログラム「基準撮影法の手技と考え方」
症例提示
第132回10月4日(水)福井県立病院 メーカー情報提供「PROJECT Fについて」
会員発表 初心者セミナープログラム「胃X線検査の撮影部位をストマップで知る」
会員発表 「高齢者ための胃がん検診」
症例提示
第131回8月2日(水)福井県済生会病院 メーカー情報提供「マイクロアレイ血液検査法について」
会員発表 初心者セミナープログラム「胃の解剖と生理を基礎から学ぶ」
症例検討会
第130回6月7日(水)福井県立病院 会員発表「平成27年度胃がん検診結果報告
平成29年度総会

第134回研究会

メーカー情報提供 「FPD-XTV装置の最新トピックス」

日立製作所ヘルスケア   須賀 健悟 様

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日立製作所では、もともと社会インフラに関する分野が会社の収益の多くを占めていたようで、今まで、ATMや大規模なサーバー、風力・水力等の発電、計測器具、建設機械、車用のデバイスなどの開発を行ってきた歴史がある。
日立メディコから日立製作所になったことで会社の規模が大きくなり、研究開発に使える資本も増えたことから、各分野での技術の総力を結集し、社会に役立つシステムを作っていこうと、近年はヘルスケアにおけるITに力を注いでいるらしい。
そんな中で生まれたのが新画像処理システムの「FAICE-V Next Stage 1」である。
装置のコンセプトとしては、「あんしん」・「使いやすさ」・「高画質」の3つを重点的に設計に盛り込んでいる。
「あんしん」については、検査や治療の心理的苦痛からの解放をテーマに、第一印象から不快感・不安感を与えない安全な空間を提供し、安定した姿勢や心理状態を自然に促すようなデザインと、被検者ができるだけリラックスした心理状態を維持でき、体動を極力抑えることができる色を選択しているとのことである。
光の波長には緊張感を与える寒色と安心感を与える暖色とがあるが、海外の病院では、光をコントロールして治癒を早めていこうという試みが行われているようで、日立の装置においても、様々な検査環境の照明の下で実験を行い、明るい所でも暗い所でも同じように見える暖色系のイエローを“スマイルイエロー”と名付けて施している。
「使いやすさ」では、人間工学に基づいて操作者の作業負担を軽減し、迅速で快適なサービスが提供できるような装置の設計を行っており、ユーザーからも患者さんからも使いやすい装置を目指しているようだ。
様々な関節を一気に動かす日立独自の技術なども装置に取り込んでいきたいとのことであった。
また、もっとスピーディーに検診を行いたいとの要望により、日立独自のローリング天板が開発されている。
体軸中心回転機構により、回転させても体軸中心とのズレがほぼ無く、スピードを落とすことなく撮影ができる機能である。
ローリングの角度や滑り具合においても実際に人が台に乗って体験しながら確認しているとのことであった。
「高画質」については、日立製作所グループが持つ映像解析技術、物体認識技術などの映像技術を医療機器に応用している。
グラフィック処理(画像処理)に特化した超高速演算処理が可能なGPUを用いることで、画像処理能力が今までの1000倍向上したとのことである。
動きの追従機能と画像処理能力を融合させてできたのが、動き追従型ノイズ低減処理技術(MTNR)であり、低被ばくと高画質を両立する動画処理技術として特許庁長官賞を受賞されたそうだ。
今まで、FPDは動きに弱いとされてきたが、時空間フィルタを用いて、動きを認識してそれを補正しながら重ね合わせることで、ほとんど動きのブレが無い状態を作ることができるらしい。同じローデータで動きの認識の処理を施した画像とそうでない画像を比較したスライドではその差がはっきりと確認できた。

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他にも、Retinex理論という、人間の目は周囲の影響を大きく受けるが、それを補正する技術を用いている。全体の輝度変化を抑制することで、局所的な視認性が向上し、見えづらかったものが見えてくるらしい。例えば黒つぶれの中にあるようなものを、さらに見やすくすることができるようだ。
その他にも、画像を撮影したら、装置自らがヒストグラムを解析して瞬時にパラメータを使って適応していくDynamicγ処理により、体位変換の多い消化管検査でも体位に応じて自動的にγ変換ができる機能や、Intelligent ABSというROI内の高度なヒストグラム解析により「絞り」や「直接線」領域を除外し、適切な条件制御が可能となる機能なども紹介された。
最近では高画質だけでなく低被ばくにも関心が高まっているが、過去に、様々な会社の最新の画像処理を比較した結果、日立のCUREVISTAの被ばく線量はかなり低かったという発表がされており、その内容が紹介された。
「高画質」における技術の進歩は目を見張るものがあったが、受診者に安心して検査を受けていただけるようなコンセプトがとても興味深かった。
少しでもリラックスして検査を受けていただけるように、今後も「あんしん」や「使いやすさ」の機能もさらに充実させて頂きたい。
すでに市場統計ではI・Iの出荷数は減少し、FPDが増えてきており、今後はFPDが主流となっていくであろう。
「あんしん」・「使いやすさ」・「高画質」に加えて「低価格」が加わってもらえると大変ありがたい限りである。
その後、会場からの質問を受け付けていただいた。
Q1:画像処理のクリア差でかえって診断能が落ちることはないか?(隆起の高さや陥凹の深さ、上皮性・非上皮性の鑑別が難しくなるのではないか)
A:辺縁のクリア差は重視されており、厚みや深さの画像処理は今後期待される分野である。
Q2:画像系の駆動部の故障が多いが改善されているのか?とI・IとFPDの交換は可能か?
A:全国の故障集計やアンケートにより問題を解決し改善が施されています。透視台装置込での載せ替えは可能であるが、I・IとFPD単体の交換は薬事が通っていないので現在のところできません。

会員発表 「初心者セミナープログラム 【基準撮影法の注意点】」

田中病院 山川 典子 さん

今年度は東海北陸支部放射線研修委員会の初心者セミナーのプログラムに準じて、胃の解剖学、生理学、ストマップ、基準撮影法の手技と各世話人が持ち回りで講義を行ってきたが、今年度最後の講義として「基準撮影法の注意点」について話を行った。
東海北陸支部のNPOの指導員の先生方が作られたスライドを基に、他の先生方の資料なども使わせていただいて、基準撮影法を行う上での注意点などを話していった。
今まで、基準撮影法については何度も何度も講義を受けており、片田会長いわく、すでに「耳にタコ」状態である。
でも、知っているけど、ちゃんとできていますか?ということで、参加者の皆さんには我慢して聞いていただく事となった。
それにプラスして北海道の高橋先生が述べられている、すでに撮影前から勝負は決まっている…という話と、背臥位二重造影正面位、いわゆる「あおむけ」体位での利点についての説明は、なるほどと感銘を受ける非常に面白い話であったので、先生のお名前と共に紹介させていただいた。
撮影の注意点を述べるのは簡単であるが、実際に行うとなると胃形は人それぞれであり、受ける方の年齢や状況もそれぞれであり、とても教科書通りにできるものではない。
それでも誠意をもって一つ一つ丁寧に検査を行っていくしか上達の道は無い。時には基本に立ち返って、きちんとした仕事を行っていきましょう。
Q:前壁撮影時の枕の位置を確認する方法はないでしょうか?
A1:枕にX線透過率の低いマークを付け、透視で枕の効果を確認後マークだけ取り外し撮影。
A2:透視台を立てる際に、モニタにて位置決めし、管球の真下に枕を挿入する。
A1:いずれにせよ、胃形により枕の大きさ・厚みを変えて胃形を正面像の反転像になるように矯正し撮影できるように気を付ける。

症例提示

春江病院 前川 晃一郎 さん

福井県健康管理協会 宮川 裕康 さん

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『症例提示1』
胃と大腸と、それぞれ1例ずつを提供していただいた。
胃の症例は、検診にて腫瘍マーカーCEAが高値であったために精査目的で受診されたようである。腹部所見は(-)であった。
内視鏡では胃角部小彎後壁寄りに潰瘍形成を伴う不整形な陥凹性病変があり、陥凹面にはインゼルが認められる。
大きさも14×28㎜であったので、術前透視も比較的写し出しやすいであろうとの予測であったようだが、なかなか思うようにはいかず苦労されたようであった。
バリウムを薄く流した写真では、不整な陥凹がよく表現されていた。深達度はpT1b2(SM2)の未分化型癌であった。
大腸の症例は、便潜血(+)、左上腹部痛、圧痛(+)にて来院時に行った上腹部CT検査にて横行結腸に腫瘤が認められTCFが施行された。
TCFで全周性の中心に陥凹を伴う隆起病変が認められたので、そのままガストログラフィンで造影を行ったところアップルコアの所見が認められた。

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2型で大きさが60×45㎜、深達度はpT3(SS)の高分化型腺癌であり、リンパ節にも転移が認められた。

 

『症例提示2』
70歳代男性。集団検診の写真である。
ECJを中心にした穹窿部は広範囲にわたって陰影欠損が認められ、変形が強く硬さもあり、進行癌が推測される。
2年前の検診の結果は異常なしであったとのことで、写真の比較を行った。
前回の写真では、はっきりとした所見は認められなかった。
4型のスキルス胃癌であった。

文責N,Y 校正H,M

第133回研究会

メーカー情報提供 「大腸CT検査 ~最近のトピックスと関連製品のご紹介~」

堀井薬品工業株式会社   大島 一将 様

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少し前まで大腸CT検査は、便潜血と大腸内視鏡検査の間に位置する検査であると認識していたが、現在、日本消化器がん検診学会 大腸がん検診精度管理委員会からは、『大腸CT検査は、精検方法(診断法)としての十分な精度が示されており、「精密検査を全大腸内視鏡検査で行うことが困難な場合は、大腸CT検査あるいは、S状結腸内視鏡検査と注腸X線検査の併用法のいずれかを実施する。」という趣旨に変更することが妥当である。』との提言が出されている。
もちろんそのためには、良好な精度と高い安全性を保つためのいくつかの付帯条件はあるが、大腸がんの死亡率が増加している中で、大腸CTが新しい検査法として認識されれば、患者さんの選択肢は増えるわけで、早期発見早期治療につながれば喜ばしいことである。
大腸CTを実際に行う時の流れに沿って、前処置、腸管拡張、撮影、画像処理、診断のそれぞれについて堀井薬品の製品の紹介も含めて話が進められた。
大腸CTは大腸がん検診の2次検査としての役割はもちろんであるが、狭窄等がありCSが通らないような症例でも、狭窄部より奥がガスで拡張できれば画像構築が可能である。また、腹腔鏡手術等の術前検査として、血管造影と組み合わせてのシミュレーション画像の構築も可能である。
臨床試験の成績発表では6㎜以上では感度、特異度共に差はないと発表されていた。
良好な精度を保つための必要条件の一つに、腸管前処置は水溶性造影剤を服用してタギングを行うことが推奨されている。残渣や残液にタギングを行うことで、大腸を完全に空にしなくても腸管内がからっぽに見える状態にすればよいということになる。
撮影体位は、通常は背臥位と腹臥位の2体位が用いられることが多いが、高齢者など腹臥位になるのが難しい方は、背臥位に両側臥位の組み合わせでも有効だそうである。
大腸CT専用の自動炭酸ガス送気装置「エニマCO2」の紹介では、専用の送気装置を使用することで、良好な拡張が維持でき、一定の力でガスを送気できるので、穿孔のリスクを低減できるとの説明がされた。

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エニマCO2の特徴として4つの機能を掲げられていたが、特にAuto Mode機能とForce Flow機能は独自の機能であるらしい。Auto Modeは過剰送気を防止し、小腸へのガス流出を抑制する機能であり、Force Flowはボタンを押している間だけ圧力の上限設定を解除し、素早く少量の送気が可能になる機能である。
また、腹臥位用のクッション「HARAGETA」を使用することにより腹圧で腸管がしぼむのを防止できるが、胸の方には硬いクッション、骨盤の方には柔らかいクッションを配置するなどの工夫がされていた。
最後に遠隔読影支援についての紹介、テキストの紹介で話が締めくくられた。
会場からは、送気装置での偶発症、副作用について、患者さんへの負担の程度、検査後の状態について等の質問がされた。
3月には金沢で消化管先進画像診断研究会が「大腸CT検査を当たり前の検査にするために!」というテーマで開催されるようである。興味のある方はぜひ足を運んでください。

会員発表 「初心者セミナープログラム 【基準撮影法の手技と考え方】」

福井県予防医学協会 片田 武彦 さん

福井赤十字病院   山崎 亮一 さん

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今回は片田会長と山崎世話人が担当である。
まずは会長から、所属施設が健診機関ということで、バス検診についての概要が紹介された。検診車の外観や内部の様子や、検査の流れなどについての説明がされた。
その後、山崎世話人からは、自施設での胃癌の術前検査としての腹部CTと精査胃透視の紹介がされた。
精査胃透視のマニュアルには、「精査胃透視の考え方」と「撮影のルール」の2つが示されている。
精査胃透視の考え方には、『既知の病変を描出・評価することが目的である。多くは手術のガイドとして、時に化学療法放射線療法のコントロールとして撮られる。したがって病変やその周囲以外の部位は撮らず、病変の評価だけに専念する。良い写真とは「素人が見ても病変がわかる写真」である』と表記されていた。
また、撮影のルールには、「立位充盈、仰臥位正面二重造影、腹臥位充盈の3つは必ず撮る。検査中のどこで撮っても良いが、何れも質の高い(ブレない、ノリがよい、流れていない)絵を意識する・・・」など、他にも8つの細かいルールが決められていた。
次に、実際の症例が提示された。1例目は胃体部大彎のⅡc+Ⅲを疑う病変の術前胃透視であった。
通常は、まず内視鏡を行うので、その画像とレポートにて所見や部位、深達度などを確認する。次に腹部CT(単純+造影2相)が行われるが、この時に発泡剤で胃を膨らませてから撮影しており、血管と胃の3D画像を構築していた。胃だけの3Dでは既に病変が指摘できており、その後に精査胃透視を実施するというのが術前検査の流れであるらしい。
1例目の症例は結果的には18㎜×30㎜の3型 深達度T3の進行がんで、腹腔鏡補助下噴門側胃切除をされていた。
2例目は前庭部大彎後壁寄りのⅡa+Ⅱcを疑う病変の術前検査である。これもCTで撮影された胃の3D画像で病変が確認できる。2.5㎝×2.5㎝の0-Ⅱa+Ⅱcでこちらは腹腔鏡下幽門側胃切除が施行されていた。

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内視鏡写真の情報だけでは、術前胃透視を行った時に、場所が思っていたところと違っているということもよくある。発表者も胃の3DCT画像があると、病変の位置が非常にイメージしやすく術前胃透視を撮るのに役に立つことが多いと述べていた。

 

続いて本題である「基準撮影法の考え方と手技」である。
受診する側も大変であり、撮影する側にとっても難しい検査である胃透視は受診者と撮影者の共同作業とも言える。
上手な撮影者に撮ってもらえば、苦痛も軽減され、精度の高い写真が撮ってもらえる。しかし、撮影者の技術の差で受診者の苦痛や写真の精度に差ができるのは、本来あってはならないことである。
受診者にとっては、どこで誰に検査されても、少ない苦痛で質の高い写真を撮ってもらいたいし、撮影者は、限られた時間であっても、どんな条件の中でも精度の高い写真を提供しなければならない。
そのために撮影を基準化し基本となる取り決めを行ったものが基準撮影法である。
基準撮影法の話は「耳にたこ」状態でしょうが・・・と前置きされた上で、基準となる基本的な取り決めや各撮影法の撮影体位とその要点、標的部位について詳しく説明された。
最後に、「より良い検査をするための考え方」として、大切な6つのポイントを示して話を終えた。
いくら「耳にたこ」状態であっても、全てにおいて確実に行えていると胸をはって言えるだろうか。
時には基本に戻って再確認することも大事であると痛感した。

症例提示

福井県健康管理協会 宮川 裕康 さん

集検の4症例が提示された。
時間がなく、じっくり見られないが、考えずに感じて欲しいということである。
ざっと流す感じであったが、この4症例のなかで進行がんはいくつありましたか?という問いかけであった。
1例目(進行癌)
Gastric Ca,M,Post,0-Ⅱc advanced,24x15mm,por2>sig>, tub2,pT3(SS),sci,INFc ly1,v1,N1(1/59)
※後壁のレリーフ集中と蚕食像に気が付くかどうか・・・
2例目(早期癌)
Gastric Ca,M,Less,0-Ⅱc+Ⅱa,30×30mm,por1>sig>, tub2, pT1a(M), int,INFb ly0,v0,N0(0/29)
※M後壁のアレア不整とM前壁大彎よりの辺縁不整が所見?(難解です)
3例目(進行癌)
Advanced Gastric Ca,M,Less,-Ant-Post,Type3,65×43mm,por1>por2>tub2> tub1,pT4a(SE), int,INFb,ly1,v1,pN2(3/55)
※W後壁での周堤の崩れ、病変が広範囲であることに気が付いたか?
4例目(早期癌)
Gastric Ca,U,Gre-Post, 0-Ⅱc,26×16mm,por>sig,pT1b(SM),int,INFb,iy0,v0, N0(0/56)
※U後壁大彎よりのフレッケとヒダ集中に気が付いたか?

 

ということで、症例1と3が進行癌で答えは2つが正解であった。
今回提示した症例はすべて未分化の癌で、しかも症例3が初回受診で残り3例が1年前異常なしと判定されている。
未分化癌は進行が早くたちの悪い癌であるが、X線の所見としては特徴的な所見が拾える。
今回提示した症例で、正常な画像とは違う違和感を持っていただければ幸いであるというのが発表者の意図であった。

文責N,Y 校正H,M

第132回研究会

メーカー情報提供 「PROJECT Fについて」

伏見製薬株式会社   松本 尚樹 様

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PROJECT Fは胃X線検査後に飲用するために作られた清涼飲料水で、便通を促すと共に不足しがちな食物繊維を補うことを目的としている。
伏見製薬ではこのPROJECT Fの評価を行うために、社内で二重盲検下でのクロスオーバー試験を行っている。
社内ボランティア60名がバリウム350ℊ、発泡剤5ℊ、下剤(ピコスルファートナトリウム)2錠を飲んだ後に、PROJECT Fとミネラルウォーターとをそれぞれ飲んだ時の48時間後の消化管内のバリウムの残留状況を腹部単純写真にて確認するという方法で行った。
その結果PROJECT Fを飲用した時は60名中40名がバリウムの残留は無く、残りの20名は少しの残留が認められたが、はっきりとバリウムの残留が認められた人はいなかった。
ミネラルウォーターを飲用した時は、バリウムの残留無しが20名、少しの残留が10名で、バリウムの残留が認められた方が30名であった。
このことからバリウム飲用後に下剤と共にPROJECT Fを飲用した方がミネラルウォーターを飲用するよりもバリウムの残留が認められない傾向にあった。
よって、胃X線検査後のバリウムの残留・滞留やそれに伴う消化管穿孔などのリスクを回避するためには、食物繊維を加えたこのPROJECT Fは有用であると思われた。
また、この飲料はバリウム飲用後に限らず、便秘の患者さんに勧めている医療施設もあるそうだ。
通常、1日の食事で摂れる食物繊維は10ℊ程度と言われており、1日の摂取目標量からは約7~9ℊ不足している。
PROJECT Fには1本(500ml)中に食物繊維である還元性難消化性デキストリンを9ℊ配合しており、不足しがちな食物繊維を補うことができるらしい。
また、デキストリンには、
①おなかの調子を整える
②食後血糖の上昇を緩やかにする
③食後中性脂肪の上昇を緩やかにする
④内臓脂肪の蓄積を低減する
⑤中性脂肪を低下させる
⑥ミネラルを促進する
という生理機能があり、優れた健康食品としても利用できるとのことである。
PROJECT Fにはミネラル分が多く含まれ、口当たりの柔らかい谷川連峰の水が使われており、本来は無味無臭であるが、初めて飲まれる方には少し味がついているように感じられるかもしれないとのことであった。
会場からの質問では、現在の出荷数や値段などについて話がされた。
ボトルのラベルを変えることはできないが、ラベルに独自のシールを貼ることはできるそうで、そこにお知らせや案内文などを載せることもできるらしい。
最後に、現在は検査精度に加え危機管理、顧客満足度など医療機関のすべてに多くのことが求められる時代になっており、その一助となるべく、また良きパートナーとしてあり続けたいという言葉でまとめられた。
胃X線検査後に水やお茶を提供している施設もあるようだが、このPROJECT Fの飲用について検討する価値はあると思われた。

会員発表 「初心者セミナープログラム 【胃X線検査の撮影部位をストマップで知る】」

福井県健康管理協会 西村 宣広 さん

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ストマップでは胃を病理標本のように展開し77の区域に区分している。
まずはストマップの区分方法の説明から始まった。
その後、基準撮影法の二重造影像を一体位ずつ提示して、それぞれ小彎線、大彎線を書き入れてストマップを塗りつぶしていった。
それぞれの描出部位と撮影時のチェックポイントについての説明がされた。
一連の撮影におけるストマップでの描出部位を重ね合わせたら、全ての胃粘膜領域をカバーできていなければならない。
77区域の中で描出部位の重なりが最も少ない部位が穹窿部の大彎側で、その次に少ない部位が幽門前庭部の小彎から後壁にかけてと体部から前庭部の前壁である。
幽門前庭部では、胃の中に残っているバリウムや十二指腸へ流出したバリウムによってブラインドになる場合や黒トビなど濃度条件が適切でないことが描出不足の原因になることがある。

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体部から前庭部の前壁については、頭低位腹臥位正面像と半立位腹臥位第1斜位のそれぞれの描出範囲が狭くなると、ちょうどその中間の部位である体上部~体中部の前壁が描出されないことになってしまう。
これをカバーするための具体的な撮影方法と画像が提示された。
また、振り分け像についてはバリウムを穹窿部から上部小彎側を、下部後壁からは体部後壁の大彎側寄りに流すことが重要で小彎の病変を見逃さないことが大事である。
病変を写し出すときには斜位の角度や流すバリウムの量をコントロールしながら撮影することで病変の高さや、浅く広い広範囲の病変範囲を表すことができる。
ストマップを理解することにより、それぞれの撮影体位の目的部位を知った上での撮影が可能となる。
自分が撮影した画像の描出区域を検討することで、自分の癖や弱点を客観的に判断できるので、それをフィードバックしながら、胃の全ての部位がくまなく写し出されている診断価値の高い写真を提供することがストマップを知ることの目的である。
まずは、施設内の技師同士でストマップを記入して評価してみよう。

会員発表 「高齢者のための胃がん検診」

福井県予防医学協会 平田 智嗣 さん

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福井県の個別胃がん検診は胃X線検査か胃内視鏡検査かのどちらかを選択できる。
しかし、市町によっては制限があり、福井市の場合は、内視鏡検査を選択できるのは74才までで、75才以上の方は胃X線検査を受けるしかない。
従って最近では高齢の方の胃X線検査が増える傾向になっている。
高齢の方でも大変お元気な方もおられるが、腰や関節に痛みがある方や、姿勢を保持するのが難しい方もおられる。
中には寝ているだけで検査ができるものと思って来られる方もおり、スムーズに動けない受診者を相手に、写真の質を確保したい気持ちと、どこで折り合いをつけるか悩む時も多い。
そんな話を消化管のプロフェッショナル達が集まった名古屋での会議の後に雑談していたら、間もなく富山の先生からすばらしいスライドが届けられた。
きっとこれで勉強しなさいということであろう。
さっそくこの会の世話人である平田さんに、富山から届いたスライドをもとに話をしていただいた。
国立がん研究センターがん情報サービスの統計によると、2017年の部位別のがん罹患数予測では、胃がんは男性が1位、女性は3位となっている。
また、部位別のがん死亡数予測(2017年)でも、胃がんは男性が2位、女性が4位と、まだまだ胃がんで亡くなる方は多い状況である。

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福井県の年齢別人口を見ると、平成29年7月1日現在で、65才以上の方が全人口の29.7%を占めている。
団塊の世代がちょうど70才を迎える頃でもあり、後期高齢者が増加し、ハイパー高齢化社会が到来する。
高齢者は一般的に、身体機能の変化や衰えのせいでスムーズに動けない、転倒しやすい、視力や聴力に衰えがある、疲れやすい・・・などの状態である方が多いが、そんな方が個別胃がん検診を受けたいと思われて、選択肢は胃X線検査しかなかったらどうするか。
大変そうな検査だけど大丈夫だろうか・・・、私にできるだろうか・・・、でも癌で死にたくないし・・・、と不安に思いながら検査を希望される方も多いであろう。
さらにバリウム飲用時に誤嚥しやすかったり、検査後のバリウムがなかなか排泄できなかったりというリスクもある。
そんな時に私たちはどうしたら良いのか・・・というのがスライドの中身であった。
胃癌が早期で発見できれば、侵襲性の低いEMRなど、治療の選択肢も増えるので、やはり高齢者であっても検診は有用であり、高齢者だからといって、手を抜くわけにはいかない。
まずは、受診者の身体状態を、検査前の歩行の状態で観察して判断する。
そして、その方の年齢や身体状態に合わせた回転数や体位変換の工夫をすべきである。
また、緊張感を和らげ、わかりやすい言葉と口調で話すなどの検査時の留意点が説明された。
右・左を間違えられたら、受診者が悪いのではなく、こちらの説明不足であると認識して、はっきりとわかりやすい口調で意図が伝わるようにしなければならない。
続いて事故防止対策についての話がされた。
時には近接撮影を行うことも必要であろう。決して無理をさせずに、検査中も常に受診者の表情や態度を見ながら注意を払うことが大切である。
その後、誤嚥について、発泡剤・鎮痙剤での偶発症について、便秘対策についての説明や対策方法が示された。
70枚以上にもなるスライドには、高齢者への検査に関する全てのことが書き込まれており、胃X線検査だけでなく、他の検査についても十分に役に立つ内容であった。
その後、脳の話になったが、「中級者が陥る認知バイアス」については、耳が痛い話が多かった。
自分を含めて、人間というものは、いかに自分の都合の良いように感情をコントロールしてしまうのか身につまされた。
自分を客観的に見ることは、なかなか難しいが、初心に戻って、明日からの検査に生かしていかなければと思った。
皆さん!ポジティブな思考で、根気と粘り強さを持ち、自分の人生をコントロールしながら前向きに行動していけば、最終的に成功につながるチャンスを得られるようです!
良い楽観主義を持つ事が大事なようである。
最後に富山の先生にスライドのお礼を申し上げたい。どうもありがとうございました。

症例提示

福井県健康管理協会 宮川 裕康 さん

検診の写真が提示された。
大彎側のヒダは肥大しており萎縮が進んでいると思われる。
胃角部後壁の小彎寄りにヒダの集中を伴う陥凹性病変が認められ追加撮影がされてあった。
前壁二重造影では病変の正面像が捉えられており、ひだの中断、急激なやせ、陥凹の中にはインゼルが認められる。
ひだの融合は無いことから未分化型の早期癌であろうと読影された。
術前であり詳しい結果はまだわかっていない。 そこで1年前の検診時の写真が提示された。この時は異常なしであったようだ。
1年前の写真で、今回の所見が指摘できるかどうかが症例提示者より問いかけられた。
この写真ではチェックはできないとの意見もあったが、体下部から小彎に向かって走っているラインは明らかに異常であり、その先にはアレア不整と思われる所見がある。
縦走するひだを見つけたら、その先に所見がないかチェックすべきであるとの意見が出た。
前壁撮影では枕を使用してないのか体部にバリウムが残っており、病変の箇所がブラインドになっており確認できない。
正しい枕の位置で、空気量、タイミングが合えば決して撮影できない胃の形ではないので、このバリウムが抜けていれば、所見が確認できたかもしれない。
結果については、次回の研究会で報告していただけそうである。

文責N,Y 校正H,M

第131回研究会

メーカー情報提供 「マイクロアレイ血液検査法について」

カイゲンファーマ株式会社   宮本 慎也 様

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今回は、血液を使った消化器がんのスクリーニング検査であるマイクロアレイ血液検査法を紹介していただいた。
この検査法のしくみは、人体に癌が発生すると、それに反応するm-RNAという遺伝子があり、その量や発現パターンは癌組織そのものと末梢血液細胞とを比較しても同じような特徴を表していることが判明されたので、血液中のRNA発現パターンを解析することで、消化器がんの判別を行うというものであるらしい。
株式会社キュービクスと金沢大学病院とが平成20年より共同開発を行い、平成23年にサービスの提供が開始されている。
検査方法は、問診票の記入と5㏄の採血を行い、それを検査機関に送付するだけで、3~4週間で結果報告が届くとのことだ。
現在、石川県では40施設の病院で導入されており、全国では400施設、累計7,000件以上の検査が既に実施されている。特に平成27年~28年の1年間だけで3,000件以上の検査が行われており、今後も増えていくことが予測される。
マイクロアレイ検査法の特徴は
① 高い感度・・・消化器がんに対して9割の高い感度を示す
② 同時に検査できる・・・胃がん、大腸がん、膵臓がん、胆道がんが一度に検査できる
③ どの消化器がんか推測できる・・・胃または大腸、膵臓、胆道と臓器別に評価される
④ 早期発見に役立つ・・・臨床研究で、早期の消化器がんにも非常に高い感度を示した
⑤ 簡単・安心の検査方法・・・検査は1回の採決(5.0㏄)のみで、薬剤の投与や検査機器は不要である
以上である。
がんと非がんとの識別において、消化器がん患者37名と健常人15名の合計52名で行った臨床研究では、がん患者を正しく「がん」と判定した感度は100%で、健常人を正しく「非がん」と判定した特異度は87%であった。
部位の識別では、どの部位の癌であるかについて、胃がんと大腸がんの識別は困難であるが、膵臓がんとの識別は可能であり、胃・大腸がんを正しく判定できた率は84%、膵臓がんを正しく判定できた率は65%であった。
進行度別の感度では、消化器がん患者67名、健常人14名での評価を行い、ステージ0~Ⅱまでの感度は胃がん、大腸がん、膵臓がん、胆道がん全て100%であり、ステージⅢ~Ⅳまでの感度は膵臓がんが95.0%であったため、全体の感度は97.2%であった。
陽性的中率は、4,000症例行って20%程度であったとのことで、他の検査と比べるとかなり高いようであるが、検査の費用もその分高額である。

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最後に、注意点として、除外すべき基礎疾患、既往歴、投薬中の薬の影響についての話がされた。
会場からの質問で、擬陽性の場合に、その後のフォローはどうなっているのか。
将来的に4つのがん以外に判別できる臓器が増える予定はあるのか。
例えば胃がんの場合は、がんがどのくらいの大きさになったら判別できるのか。
早期の膵臓がんを発見できた症例はあるのか。
・・・などの質疑が交わされた。
長い間、胃X線検査が胃がんの早期発見のためのスクリーニング検査法としての役割を果たしてきたが、最近では内視鏡検査、ABC検査なども行われている。大腸がん検診ではCTCも登場しているが、それに加えて、血液や尿、唾液、呼気などで行う侵襲性の低い検査がどんどん開発されており、今後は検診の形態も変わっていくかもしれない。
ただ、もう少し検査費用が安くなることを期待したい。

会員発表 「初心者セミナープログラム 【胃の解剖と生理を基礎から学ぶ】」

渡辺 克典 さん

福井県立病院      飯田 圭 さん

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これまで何年かにわたり、日本消化器がん検診学会東海北陸支部放射線研修委員会が毎年行ってきた初心者セミナーが、今年度から中級者セミナーとなり、今後は、初心者セミナーの内容を、この研究会で勉強していこうということになった。
まず1回目は「胃の解剖と生理を基礎から学ぶ」ということで2人の世話人に発表していただいた。
「胃の解剖について」は、基礎的な話だけでは物足りないと思ったのか、独自のスライドを作成し、スキルス胃がんについても含めて話をしていただいた。
胃透視は内視鏡と違って、胃の外からの影響も観察できる検査である。そこに目を付けて話をしていただいたのはユニークで面白かった。
ただ、もう少し教科書に沿って、胃の解剖や区分などの基礎的な内容についても詳しく説明していただけるともっと良かった。

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続いて「胃の生理について」の話である。
胃壁の構造や、胃の細胞、胃の萎縮、腸上皮化生についてのスライドは今までも何度も目にしている内容ではあるが、重要な部分である。
胃の生理的な働きについては、普段の症例検討ではなかなか触れない内容であるが、検査を行うにあたっても、決して無駄な知識ではなく、人体の奥深さを再認識できて面白かった。
最後に胃透視の二重造影正面像を見て、ピロリ菌の検査であるIgG抗体検査の値が2.9U/ml以下か20U/ml以上のどちらであるかを推測してみよう・・・ということで、10枚の写真が提示された。
明らかにわかりやすい症例もあるが、判断に迷うものもある。
あくまでも正面像1枚の写真と血液検査値だけの比較であり、他の情報は不明とのことであったが面白い試みであった。
普段の検診でも、ピロリ菌感染が推測される胃の検査を行う時は、より慎重な観察が必要であろう。
今回、2名の若い世話人に担当していただいた。与えられた内容だけでなく、自身で勉強されたことも盛り込んであって、非常に意欲が感じられた発表であった。

症例検討会

福井県予防医学協会   片田 武彦 さん

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予防医学協会から企業検診の症例が提示された。
70才代の男性で、問診票からは、毎年胃がん検診を受けておられ、昨年の検診結果は異常なしで、5年前に胃ポリープの切除をされていることがわかっている。
会場の読影者は胃のヒダは消失しており粘膜の萎縮が進んだ胃である。二重造影で胃体中部後壁から小彎側寄りに隆起性の病変があり、隆起の辺縁は不整で隆起表面は凹凸があり、中心に陥凹があるのかもしれない。
バリウムを流した写真では小彎側はわかりづらいが、大彎側は隆起の辺縁にバリウムが溜まっているのがわかる。
5㎝以上の大きい病変である。
また、前庭部後壁にも大小不同の顆粒状陰影が認められると読んだ。
内視鏡の結果では、体中部の病変は明らかな潰瘍形成はなく、Ⅱa+Ⅱc advanced様であるということで2型の進行胃がんと診断されており、深達度予測はMPとなっていた。
また、前庭部の病変は大きさが10㎜の0-Ⅱc 疑いで深達度はMの早期胃がんと診断されていた。
なお、問診票でのポリープ切除というのは、胃体部前壁の腺腫をESDされたとのことであった。
ここで1年前の写真が提示された。残念ながら同じ部位に隆起の病変を認めることはできない。2年前の写真も提示されたが同様であった。
会場からの意見として、粘膜の萎縮が強い胃であり、小彎ラインにバリウムを流すなど充分な観察が必要であった。横胃で撮りにくい形であるが、小彎側のバリウムの付きが大彎側に比べて明らかに弱い。水平でのローリングをしっかり行う必要がある等の意見が交わされた。
おざなりな写真を何枚撮っても、早期がんを発見するどころか進行がんを見落とす恐れがあることを肝に銘じた症例であった。

文責N,Y 校正T,K

第130回研究会

会員発表 「平成27年度胃がん検診結果報告」

福井県健康管理協会   西村 宣広 さん

福井県立病院      飯田 圭 さん

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平成27年度の胃がん検診で発見されたがんは35例であった。
そのうち症例未報告が3例あり、報告症例数は32例であった。
早期がんが22例、進行がんが10例で早期がん比率は65.7%であり、ESD・EMRを施行された症例が12例(37.5%)であった。
最初に、馬場保昌先生・吉田諭史先生編著の「胃癌X線診断の究極」の中から「肉眼型と深達度の指標となる所見(隆起型 0-1~Ⅱa型、Ⅱa+Ⅱc型)」の抜粋が紹介された。
X線的な深達度の要点のまとめ」を頭に入れてから実際の症例を見ようということである。
その後、平成27年度胃がん検診で発見されて県立病院にて治療された2例についての検討を行った。

 
 
 
 
 

≪症例1≫
70才代 男性
まず、集検の写真が提示された。

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読影者は、背臥位二重造影にて体中部後壁大彎側に大きさ2~3㎝のバリウムをはじく辺縁不整な隆起性の病変が認められる。
バリウムがたまっているところと、はじいているところがあるが、隆起が集簇しているようでカリフラワー状のようにも見える。
ひきつれによる弯入もなく硬さも感じないので、深達度はSMの0-Ⅱa型であると思う。
背景粘膜はひだが消失しており、慢性胃炎による萎縮が進んでいるようであると読んだ。
会場からは、隆起の中に陥凹があるように見えるので、深達度はSM以深の進行がんで、大きさも一回り大きく3~4㎝あるのではないかとの意見が出た。
前年度の写真が提示された。はっきりとした所見は認められない。
病変指摘部位は周辺粘膜と比べるとバリウムの付き方が違うようにも見えるが、この写真だけでの指摘は難しい。
ただ1年前なので実際はすでに隆起があってもおかしくない。
バリウムを病変部位に流しながら透視で観察すれば指摘できたのかもしれないと思われる。
精密胃透視の写真が提示された。
大彎側をまたいで3~4㎝の隆起を主体としており、陥凹もあるように見えるが、カリフラワー状の谷間が陥凹に見えるだけかもしれない。
最初の読みよりサイズは大きく、深達度も深そうであり進行がんを疑うと読んだ。
会場からは2型進行がんを疑うとの意見や、大彎側に太いヒダが多く未分化型も否定できないとの意見が出た。
胃全体を見ると変形やひきつれはなく、病変の硬さはあまり感じられないが、病変の中央部分は硬いようにも見える。
また、圧迫以外に丈の高さを表現する写真がないので、バリウムの量を変えながら隆起の周囲に漂わせた写真があると良いとの意見が出た。
内視鏡写真では、隆起を主体とした0-Ⅱa集簇型のように見えた。
結果は体中部後壁の0-Ⅱa病変。組織学的には粘膜内にはtub2、tub1を認め、粘膜下層以深はpor2、tub2が認められた。腫瘤はscirrhousが固有筋層まで浸潤していた。
M、Post、Type0-Ⅱa、49×36㎜、por2 > tub2 > tub1、pT2(MP)
で幽門側胃切除をされていた。

 

≪症例2≫
80才代 男性
まずは、集検の写真を読んでもらった。

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読影者は、体上部後壁、噴門直下辺りにバリウムをはじく立ち上がりのはっきりした辺縁不整の隆起性陰影を認める。
2つの隆起がつながっているようにも見える。
隆起の大きさは2~3㎝ほどで、丈も3~4㎜を超えているようであるが、深達度はSMまでの0-Ⅰ型を疑うと読んだ。
続いて精密胃透視の写真が提示された。
3~4個の隆起が集まった分葉状の隆起を形成していて、隆起の表面は比較的平滑に見える。
内視鏡写真が提示されると、丈が4~5㎜以上はあるということで、会場内で0-Ⅰ型なのか1型なのかで意見が分かれた。
結果は、体上部後壁の0-Ⅱa病変。組織学的には粘膜内にはtub1(腸型、高異径度)が認められた。
U、Post、Type-Ⅱa、25×22㎜、tub1、pT1(M)
で噴門側胃切除がされていた。
隆起の高さは明らかに5㎜以上あると思われたが、肉眼分類では0-Ⅱa型であった。

 

今回は隆起型の症例をじっくりと検討することができた。
ここまでの勉強を踏まえて・・・ということで、過去の隆起性病変の写真が2例紹介された。
最後に、馬場先生と吉田先生の書かれた「X線的な深達度の要点のまとめ」が再度表示された。
隆起性病変の深達度診断は難しいが、これをしっかり頭に叩き込んで、今後の読影に活用していきたい。

 
 

平成29年度総会

平成28年度事業報告・会計報告

平成29年度事業計画案

 
文責N,Y 校正T,K
 
 
 
 

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Last-modified: Tue, 12 Jun 2018 16:38:42 JST (102d)