平成29年度活動記録

 
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平成29年度開 催 日会  場内  容
第131回8月2日(水)福井県済生会病院 メーカー情報提供「マイクロアレイ血液検査法について」
会員発表 初心者セミナープログラム「胃の解剖と生理を基礎から学ぶ」
症例検討会
第130回6月7日(水)福井県立病院 会員発表「平成27年度胃がん検診結果報告
平成29年度総会

第131回研究会

メーカー情報提供 「マイクロアレイ血液検査法について」

カイゲンファーマ株式会社   宮本 慎也 様

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今回は、血液を使った消化器がんのスクリーニング検査であるマイクロアレイ血液検査法を紹介していただいた。
この検査法のしくみは、人体に癌が発生すると、それに反応するm-RNAという遺伝子があり、その量や発現パターンは癌組織そのものと末梢血液細胞とを比較しても同じような特徴を表していることが判明されたので、血液中のRNA発現パターンを解析することで、消化器がんの判別を行うというものであるらしい。
株式会社キュービクスと金沢大学病院とが平成20年より共同開発を行い、平成23年にサービスの提供が開始されている。
検査方法は、問診票の記入と5㏄の採血を行い、それを検査機関に送付するだけで、3~4週間で結果報告が届くとのことだ。
現在、石川県では40施設の病院で導入されており、全国では400施設、累計7,000件以上の検査が既に実施されている。特に平成27年~28年の1年間だけで3,000件以上の検査が行われており、今後も増えていくことが予測される。
マイクロアレイ検査法の特徴は
① 高い感度・・・消化器がんに対して9割の高い感度を示す
② 同時に検査できる・・・胃がん、大腸がん、膵臓がん、胆道がんが一度に検査できる
③ どの消化器がんか推測できる・・・胃または大腸、膵臓、胆道と臓器別に評価される
④ 早期発見に役立つ・・・臨床研究で、早期の消化器がんにも非常に高い感度を示した
⑤ 簡単・安心の検査方法・・・検査は1回の採決(5.0㏄)のみで、薬剤の投与や検査機器は不要である
以上である。
がんと非がんとの識別において、消化器がん患者37名と健常人15名の合計52名で行った臨床研究では、がん患者を正しく「がん」と判定した感度は100%で、健常人を正しく「非がん」と判定した特異度は87%であった。
部位の識別では、どの部位の癌であるかについて、胃がんと大腸がんの識別は困難であるが、膵臓がんとの識別は可能であり、胃・大腸がんを正しく判定できた率は84%、膵臓がんを正しく判定できた率は65%であった。
進行度別の感度では、消化器がん患者67名、健常人14名での評価を行い、ステージ0~Ⅱまでの感度は胃がん、大腸がん、膵臓がん、胆道がん全て100%であり、ステージⅢ~Ⅳまでの感度は膵臓がんが95.0%であったため、全体の感度は97.2%であった。
陽性的中率は、4,000症例行って20%程度であったとのことで、他の検査と比べるとかなり高いようであるが、検査の費用もその分高額である。

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最後に、注意点として、除外すべき基礎疾患、既往歴、投薬中の薬の影響についての話がされた。
会場からの質問で、擬陽性の場合に、その後のフォローはどうなっているのか。
将来的に4つのがん以外に判別できる臓器が増える予定はあるのか。
例えば胃がんの場合は、がんがどのくらいの大きさになったら判別できるのか。
早期の膵臓がんを発見できた症例はあるのか。
・・・などの質疑が交わされた。
長い間、胃X線検査が胃がんの早期発見のためのスクリーニング検査法としての役割を果たしてきたが、最近では内視鏡検査、ABC検査なども行われている。大腸がん検診ではCTCも登場しているが、それに加えて、血液や尿、唾液、呼気などで行う侵襲性の低い検査がどんどん開発されており、今後は検診の形態も変わっていくかもしれない。
ただ、もう少し検査費用が安くなることを期待したい。

会員発表 「初心者セミナープログラム 【胃の解剖と生理を基礎から学ぶ】」

渡辺 克典 さん

福井県立病院      飯田 圭 さん

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これまで何年かにわたり、日本消化器がん検診学会東海北陸支部放射線研修委員会が毎年行ってきた初心者セミナーが、今年度から中級者セミナーとなり、今後は、初心者セミナーの内容を、この研究会で勉強していこうということになった。
まず1回目は「胃の解剖と生理を基礎から学ぶ」ということで2人の世話人に発表していただいた。
「胃の解剖について」は、基礎的な話だけでは物足りないと思ったのか、独自のスライドを作成し、スキルス胃がんについても含めて話をしていただいた。
胃透視は内視鏡と違って、胃の外からの影響も観察できる検査である。そこに目を付けて話をしていただいたのはユニークで面白かった。
ただ、もう少し教科書に沿って、胃の解剖や区分などの基礎的な内容についても詳しく説明していただけるともっと良かった。

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続いて「胃の生理について」の話である。
胃壁の構造や、胃の細胞、胃の萎縮、腸上皮化生についてのスライドは今までも何度も目にしている内容ではあるが、重要な部分である。
胃の生理的な働きについては、普段の症例検討ではなかなか触れない内容であるが、検査を行うにあたっても、決して無駄な知識ではなく、人体の奥深さを再認識できて面白かった。
最後に胃透視の二重造影正面像を見て、ピロリ菌の検査であるIgG抗体検査の値が2.9U/ml以下か20U/ml以上のどちらであるかを推測してみよう・・・ということで、10枚の写真が提示された。
明らかにわかりやすい症例もあるが、判断に迷うものもある。
あくまでも正面像1枚の写真と血液検査値だけの比較であり、他の情報は不明とのことであったが面白い試みであった。
普段の検診でも、ピロリ菌感染が推測される胃の検査を行う時は、より慎重な観察が必要であろう。
今回、2名の若い世話人に担当していただいた。与えられた内容だけでなく、自身で勉強されたことも盛り込んであって、非常に意欲が感じられた発表であった。

症例検討会

福井県予防医学協会   片田 武彦 さん

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予防医学協会から企業検診の症例が提示された。
70才代の男性で、問診票からは、毎年胃がん検診を受けておられ、昨年の検診結果は異常なしで、5年前に胃ポリープの切除をされていることがわかっている。
会場の読影者は胃のヒダは消失しており粘膜の萎縮が進んだ胃である。二重造影で胃体中部後壁から小彎側寄りに隆起性の病変があり、隆起の辺縁は不整で隆起表面は凹凸があり、中心に陥凹があるのかもしれない。
バリウムを流した写真では小彎側はわかりづらいが、大彎側は隆起の辺縁にバリウムが溜まっているのがわかる。
5㎝以上の大きい病変である。
また、前庭部後壁にも大小不同の顆粒状陰影が認められると読んだ。
内視鏡の結果では、体中部の病変は明らかな潰瘍形成はなく、Ⅱa+Ⅱc advanced様であるということで2型の進行胃がんと診断されており、深達度予測はMPとなっていた。
また、前庭部の病変は大きさが10㎜の0-Ⅱc 疑いで深達度はMの早期胃がんと診断されていた。
なお、問診票でのポリープ切除というのは、胃体部前壁の腺腫をESDされたとのことであった。
ここで1年前の写真が提示された。残念ながら同じ部位に隆起の病変を認めることはできない。2年前の写真も提示されたが同様であった。
会場からの意見として、粘膜の萎縮が強い胃であり、小彎ラインにバリウムを流すなど充分な観察が必要であった。横胃で撮りにくい形であるが、小彎側のバリウムの付きが大彎側に比べて明らかに弱い。水平でのローリングをしっかり行う必要がある等の意見が交わされた。
おざなりな写真を何枚撮っても、早期がんを発見するどころか進行がんを見落とす恐れがあることを肝に銘じた症例であった。

文責N,Y 校正T,K

第130回研究会

会員発表 「平成27年度胃がん検診結果報告」

福井県健康管理協会   西村 宣広 さん

福井県立病院      飯田 圭 さん

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平成27年度の胃がん検診で発見されたがんは35例であった。
そのうち症例未報告が3例あり、報告症例数は32例であった。
早期がんが22例、進行がんが10例で早期がん比率は65.7%であり、ESD・EMRを施行された症例が12例(37.5%)であった。
最初に、馬場保昌先生・吉田諭史先生編著の「胃癌X線診断の究極」の中から「肉眼型と深達度の指標となる所見(隆起型 0-1~Ⅱa型、Ⅱa+Ⅱc型)」の抜粋が紹介された。
X線的な深達度の要点のまとめ」を頭に入れてから実際の症例を見ようということである。
その後、平成27年度胃がん検診で発見されて県立病院にて治療された2例についての検討を行った。

 
 
 
 
 

≪症例1≫
70才代 男性
まず、集検の写真が提示された。

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読影者は、背臥位二重造影にて体中部後壁大彎側に大きさ2~3㎝のバリウムをはじく辺縁不整な隆起性の病変が認められる。
バリウムがたまっているところと、はじいているところがあるが、隆起が集簇しているようでカリフラワー状のようにも見える。
ひきつれによる弯入もなく硬さも感じないので、深達度はSMの0-Ⅱa型であると思う。
背景粘膜はひだが消失しており、慢性胃炎による萎縮が進んでいるようであると読んだ。
会場からは、隆起の中に陥凹があるように見えるので、深達度はSM以深の進行がんで、大きさも一回り大きく3~4㎝あるのではないかとの意見が出た。
前年度の写真が提示された。はっきりとした所見は認められない。
病変指摘部位は周辺粘膜と比べるとバリウムの付き方が違うようにも見えるが、この写真だけでの指摘は難しい。
ただ1年前なので実際はすでに隆起があってもおかしくない。
バリウムを病変部位に流しながら透視で観察すれば指摘できたのかもしれないと思われる。
精密胃透視の写真が提示された。
大彎側をまたいで3~4㎝の隆起を主体としており、陥凹もあるように見えるが、カリフラワー状の谷間が陥凹に見えるだけかもしれない。
最初の読みよりサイズは大きく、深達度も深そうであり進行がんを疑うと読んだ。
会場からは2型進行がんを疑うとの意見や、大彎側に太いヒダが多く未分化型も否定できないとの意見が出た。
胃全体を見ると変形やひきつれはなく、病変の硬さはあまり感じられないが、病変の中央部分は硬いようにも見える。
また、圧迫以外に丈の高さを表現する写真がないので、バリウムの量を変えながら隆起の周囲に漂わせた写真があると良いとの意見が出た。
内視鏡写真では、隆起を主体とした0-Ⅱa集簇型のように見えた。
結果は体中部後壁の0-Ⅱa病変。組織学的には粘膜内にはtub2、tub1を認め、粘膜下層以深はpor2、tub2が認められた。腫瘤はscirrhousが固有筋層まで浸潤していた。
M、Post、Type0-Ⅱa、49×36㎜、por2 > tub2 > tub1、pT2(MP)
で幽門側胃切除をされていた。

 

≪症例2≫
80才代 男性
まずは、集検の写真を読んでもらった。

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読影者は、体上部後壁、噴門直下辺りにバリウムをはじく立ち上がりのはっきりした辺縁不整の隆起性陰影を認める。
2つの隆起がつながっているようにも見える。
隆起の大きさは2~3㎝ほどで、丈も3~4㎜を超えているようであるが、深達度はSMまでの0-Ⅰ型を疑うと読んだ。
続いて精密胃透視の写真が提示された。
3~4個の隆起が集まった分葉状の隆起を形成していて、隆起の表面は比較的平滑に見える。
内視鏡写真が提示されると、丈が4~5㎜以上はあるということで、会場内で0-Ⅰ型なのか1型なのかで意見が分かれた。
結果は、体上部後壁の0-Ⅱa病変。組織学的には粘膜内にはtub1(腸型、高異径度)が認められた。
U、Post、Type-Ⅱa、25×22㎜、tub1、pT1(M)
で噴門側胃切除がされていた。
隆起の高さは明らかに5㎜以上あると思われたが、肉眼分類では0-Ⅱa型であった。

 

今回は隆起型の症例をじっくりと検討することができた。
ここまでの勉強を踏まえて・・・ということで、過去の隆起性病変の写真が2例紹介された。
最後に、馬場先生と吉田先生の書かれた「X線的な深達度の要点のまとめ」が再度表示された。
隆起性病変の深達度診断は難しいが、これをしっかり頭に叩き込んで、今後の読影に活用していきたい。

 
 

平成29年度総会

平成28年度事業報告・会計報告

平成29年度事業計画案

 
文責N,Y 校正T,K
 
 
 
 

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Last-modified: Thu, 10 Aug 2017 14:34:09 JST (46d)