平成30年度活動記録

 
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平成30年度開 催 日会  場内  容
第137回8月1日(水)福井県立病院 メーカー講演「下剤について」
特別講演「これからの胃がん検診に必要な知識-H.pylori感染胃炎とX線診断-」
第136回8月1日(水)福井県済生会病院 メーカー講演「誤嚥のリスクと対処法」
会員発表「牛角胃・横胃の撮影方法」
第135回6月6日(水)福井県立病院 会員発表「平成28年度胃がん検診結果報告
平成30年度総会

第137回研究会

メーカー講演 「下剤について」

伏見製薬株式会社 医薬品営業部 松本 尚樹 様

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ビコスルファート系の下剤であるファースルー錠2.5㎎の特徴や効能について、センノシド系下剤との比較をしながら説明があった。
その後、一般的なバリウム製剤の排泄に関する注意点について話を伺った。
ファースルー錠の特性
腸の運動の異常を調整して便塊の停滞をおさえ自然な排泄をうながす。
飲んでも腹痛が生じるとかの不快感が少ない。
「造影剤(硫酸バリウム)投与後の排便促進」の適応が効能効果・作用にうたわれている。
下剤の禁忌・注意
急性腹症疑いや過敏症の既往歴のある方への投与は両剤ともに禁忌である。
センノシドでは、重症の硬結便のある患者への投与や、電解質失調(特にカリウム血症)のある患者への大量投与についても禁忌とされている。また、妊娠または妊娠している可能性のある方への投与は原則禁忌となっている。
・ビコスルファートナトリウムにはその記載はなく、授乳中の方でも安心して飲んでいただけるとのことであった。
故に慎重投与や重要な基本的注意についてもビコスルファートナトリウムには特に記載がないので、使いやすい下剤であることが言える。
副作用について比較すると、センノシドについては腹痛が5%以上の頻度で認められるとなっているが、ビコスルファートナトリウムは、もともと腹痛が起きないとされる下剤であり、基本的には認められないようである。
お腹が痛くならないので下剤が効いてないと勘違いされる方もいると話されていた。
日頃から快便の方にセンノシド系の下剤を投与すると効き過ぎてしまうということもある。
その場合、ビコスルファート系の下剤を使用した方が、緩やかに排便が促進されるので良いとのことである。
バリウム検査後に、一人一人に排便状況を聞いて、どちらの下剤を渡すか決めている施設もあると紹介された。
最後に、硫酸バリウム製剤の排泄についての一般的な注意事項の説明がされた。
検査後には、必ず受診者の方に説明を行っているが、できれば、受診者それぞれの日常の排便状況に応じた下剤の種類と量を考えながら検査後の指導を行うことができればベストであると思った。
その後、会場からの質問に答える形で、下剤投与のタイミング、下剤の追加方法と最大投与量についての説明があった。

 

特別講演 「これからの胃がん検診に必要な知識-H.pylori感染胃炎とX線診断」

富山県健康増進センター  石浦 幸成 先生

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今後、背景胃粘膜診断が重要になってくるということで、H. pylori菌の話から始まった。
H. pylori菌と胃がんとの関連性は以前から指摘されており、粘膜萎縮の主な原因がH. pylori菌感染であると言われている。
まず、H. pylori菌感染から慢性胃炎に至るまでの経過についてと、胃粘膜萎縮のX線画像と内視鏡所見の指標についての話があった。
また、自己免疫性萎縮性胃炎(A型胃炎)についての説明があり、自己免疫反応による壁細胞の破壊によっておこる胃炎で幽門腺領域の萎縮はなく、胃体部を中心とする逆萎縮を特徴とし、鉄欠乏性貧血や悪性貧血を合併することもあり、一部で胃がんが発生することが報告された。
日本では、H. pylori感染による萎縮性胃炎が多く、自己免疫性萎縮性胃炎は少ないようであるが、頭の片隅に入れておいた方が良いとのことであった。
ここから、実際のカテゴリー分類の話になった。
現在、胃X線検診の読影基準や管理区分は施設によってばらばらであるが、今後、6つのカテゴリーに分類することで、全国共通の基準での精度管理が可能になり、受診者に対してもH. pylori菌感染対策に対応した指導ができることになる。
カテゴリー1は胃炎・萎縮のない胃であり、H. pylori未感染相当胃を意味し、将来的には逐年検診不要な低リスク群として扱うことを想定している。
H. pylori未感染胃に生じた胃底腺ポリープ、隆起びらん(たこいぼ様びらん)、胃憩室などは「異常なし」と判断し「カテゴリー1」と判定して良いとのことである。
低リスクではあるが噴門部癌については注意が必要とのことである。

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カテゴリー2は慢性胃炎を含む良性病変で、所見の描出が良好で精検不要な良性病変と診断可能なものを意味し、胃潰瘍瘢痕、胃ポリープ(主として過形成性ポリープ、胃粘膜下腫瘍、十二指腸潰瘍瘢痕などがあげられる。
局所病変を伴わないが、胃炎・萎縮があると判定された場合は慢性胃炎として判定する。~また、除菌例の中には、H. pylori未感染胃との鑑別が困難な胃があるので、除菌歴聴取は必須で、除菌歴がある場合は胃炎・萎縮がなくてもカテゴリー2とする。
従って、カテゴリー2はH. pylori感染(除菌を含む)があり、将来的にはがんが発生する可能性がある高リスク群として扱うことを想定している。
X線画像を用いてH. pylori未感染胃と感染胃を判定する方法が示された。
胃小区像の判定は、前庭部(幽門腺領域)と体部(胃底腺領域)で行う。

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前庭部の胃小区像では5段階、体部の胃小区像では6段階に分類されている中から選択し、それに加えて、皺壁の性状と分布域により判断する。
皺壁の性状と分布域については空気量によって左右されやすいので、発泡剤5gを使用した、適度な空気量の二重造影像で判定しなければならない。
最後に、実際に判定を行ってみようということで、例題を4例提示された。
除菌後の既感染の場合は判定に悩む場合があり、除菌歴の問診は非常に重要であることがわかった。
胃の検診が逐年検診から隔年検診に移行している。
今までは、とにかく多人数の検診をこなして胃がんを発見していく方法であったが、これからの胃X線検査は背景胃粘膜を考慮して、胃がん高リスク群を把握することが重要で、未感染の方には胃がんのリスクは極めて低いということを知ってもらい、現感染の高リスク群の方には情報提供と、継続した内視鏡検診を推奨し、必ず早期の段階で胃がんを発見して治療するという、個別の事後指導を含めた検診システムが必要であると実感した。

文責N,Y 校正H,M

第136回研究会

メーカー講演 「誤嚥のリスクと対処法」

カイゲンファーマ株式会社 金沢医薬 宮本 慎也 様

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胃透視中に誤嚥に遭遇するケースは比較的少ないが、その危険性を知っておくことは大切である。
高齢者や普段からむせやすい方、バリウムを飲みなれていない方については注意が必要である。
まず、一般的な誤嚥についての解説から始まった。
バリウムには発がん性や化学毒性はなく、誤嚥してもほとんどが微量で自然に排出されることが多い。
仮に排出されなくても適切な処置をすることで影響はほとんどないと言えるが、まれに、呼吸困難、肺炎、肺肉芽腫を引き起こすことがある。
誤嚥を防止するための対策として、リラックスさせる方法や飲む姿勢など気を付けるべき事項が説明された。
緊張や焦りがあると誤嚥を起こしやすくなるので、ゆっくりと落ち着いて飲んでもらう声かけが大事であろう。
その後、誤嚥時の対処法について説明がされた。
ハッフィング、スクイージングを行えば、ある程度バリウムが排出できるので、もしもの時にはあわてずに手順に沿って対処できるようにしておきたい。
会場からは、過去の経験談や、誤嚥のリスクが高い方へのバリウムの飲ませ方、誤嚥が起きた時の手順やリスクマネジメントなどについて、多くの意見が交わされた。

会員発表 「牛角胃・横胃の撮影方法」

福井県立病院      飯田 圭 さん

福井県健康管理協会   宮川 裕康さん

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【牛角胃・横胃の構造、解剖】
胃が腹部の圧力で下から押し上げられ、肝臓の下縁に貼り付いた状態が横胃や牛角胃と呼ばれる形態である。
X線像における横胃の定義では、腹臥位充盈像にてバリウムで充盈された部分の椎体の幅が3椎体以下を横胃あるいは牛角胃とする。
胃は噴門と幽門で固定されており、小彎側は肝臓に小網という腹膜で、大彎側は大腸に大網という腹膜で、それぞれ緩く固定されており可動性がある。
そのため、横胃の場合、胃が全体的にそのまま上がっていくのではなく、胃角部は頭部方向に持ち上げられ回転し、大彎は腹側へ、小彎は背側へそれぞれ胃が回転するような形で移動している。
従って横胃では体部の小彎は腹臥位より背臥位で良好に観察される。
横胃の問題点として、正面位では前庭部や体部~穹窿部は軸方向での観察となることや、前庭部は大彎が背側に折れ曲がる場合があること、変形が強度の場合、第1斜位では穹窿部と前庭部が重なり可視範囲が狭くなることなどが説明された。
右側臥位や腹臥位第1斜位ではバリウムが障害になって描出範囲を狭くすることもある。
また、横胃は造影剤が流出しやすいが、U領域の撮影にはバリウムが多く必要とされるため、造影剤の流出でバリウムが少なくなった状態での描出は非常に困難となる。
横胃に限ったことではないが、穹窿部の撮影時には、透視台を立てて体位変換を行うとバリウムが噴門部を通らずに流れるので、安易に台を立てないことが大事である。
必ず体位変換後に透視台を立てなければならない。
胃小彎は肝臓と小網でつながっているため、小彎を中心にV字状にやや折れ曲がった状態になっている。
穹窿部小彎の撮影時にも透視台を立ててしまうと、重力により縦方向に引き伸ばされてしまい、V字状の折れ曲がりがより顕著になり描出範囲が狭くなってしまうため注意が必要である。
この後、CTでの3D画像を使った飯田さんの力作が披露される予定であったが、PCの問題で残念ながら開くことができず、見ることができなかった。
せっかく努力して作って頂いたので次回にお披露目していただきたい。

 
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【横胃の攻略法】
続いて横胃を攻略しよう!ということで、横胃撮影のポイント9か条の話から始まった。
これを頭に叩き込んでおきたい。
横胃を攻略する3つの方法が紹介された。
X線束の角度を変えての攻略では、X線束を斜入射することでバリウムによるブラインドや粘膜面の観察方向を改善することができる。
管球が振れない場合、体位を変えての攻略となる。
前庭部の撮影ではバリウムの重みを利用する、穹窿部では前屈位をとる、背臥位二重造影では上体を起き上がらせるなどの方法がある。
もう一つが胃形を変えての攻略である。
横胃の前壁撮影を攻略するには幅のある厚い枕が必要である。
胃を矯正するイメージで、厚みのある枕で上がっている胃を下に押し戻すようにすると良い。
ここで頭を下げすぎると力が分散してしまい圧迫効果が弱まってしまう。
両肩と左の頬をしっかり天板につけて3点を固定した状態で頭を下げるようにする。
両肩が浮かないようにしなければならない。
また、ヒップアップ法も効果的である。
下腹部を浮かすことで枕による圧迫が胃を延ばして、腸は足側と腹側へ逃げてくれるからである。
このようなテクニックを複合的に使えば、90%以上の人は逆傾斜15°で撮影が可能だとのことで、過度の傾斜をかける必要はないとのことであった。
次に、横胃の方を撮影した集検写真で、6年前と今年の写真を比較したものが提示された。
今年の写真では、上体を起き上がらせた体位を変えての攻略法や、枕を使用して胃形を変えての攻略法が駆使されていた。
特に前壁撮影では圧迫枕が効果的に使用されており、前庭部が伸びて描出範囲が明らかに広くなっていた。
圧迫枕を効果的に使うためのコツは、厚めの枕を入れて、両肩をつけて軽く傾斜をかけてから呼気吸気で前庭部のバリウムと空気が置換した瞬間に逆傾斜を強くしていき、息を吐くと前庭部が伸びてくるので、そこを狙って撮影する。
躊躇していると縮んでしまうので、タイミングを逃さずに撮ることだと説明された。
その後、集検で発見された横胃の進行がん症例が提示され、集検では特異度が重視されるようになってきており、決して進行がんは見逃さないという撮影が必要だと説明された。
最後に基準撮影法を理解し、その型を極めることで、目的にそった画像を敢えて型を崩した撮影法でできるようになる。
真剣に取り組んで教え上手な名人を目指しましょうと述べて締めくくった。
会場からは多くの質問が出て、活発に意見が交わされた。皆が横胃・牛角胃の撮影に日々苦労しているということであろう。
今日勉強したことを参考に、明日からの撮影に活かしていきたい。

文責N,Y 校正H,M

第135回研究会

平成30年度総会

平成29年度事業報告・会計報告

平成30年度事業計画案

会員発表 「平成28年度胃がん検診結果報告」OCR用紙を使用して

福井県健康管理協会   西村 宣広 さん

福井県立病院      飯田 圭 さん

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OCR(Optical Character Reader)用紙とは、がん検診において読影医が使用するチェックシートである。
胃がん検診の用紙は、部位、彎側・壁側部、所見、診断基準、診断名、指示に分かれており、それぞれにチェックを入れて診断基準が3以上で要精検となる。
読影医二名でダブルチェックを実施しており、福井県の胃がん集団検診の要精検率は7~8%くらいである。
一番下には手書きで所見スケッチを記入するようになっており、スケッチ以外のデータは電算処理がされ、結果発送や統計などに活用するとのことであった。
今回は、各自OCR用紙を用い、症例を見ながらチェックして後ほど答え合わせを行おうとの試みであった。
平成28年度の胃がん検診結果報告について、胃がん検診を受診され、県立病院で治療を受けた5症例が提示された。

 

【症例1】68才 男性
まずは検診の写真が提示された。体部小彎のラインがやや不整かと思われるが、他に指摘できる所見は無いように思った。
会場の反応も同様であった。
その後内視鏡の写真が提示された。
慢性胃炎による萎縮が強い胃粘膜である。
胃角の小彎線上に不整な陥凹が認められる。
陥凹辺縁は棘状で、陥凹の深さは浅い。
陥凹の周囲は反応性に隆起しているように見える。
また、その下にも小さい陥凹性病変が認められる。

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改めて検診の写真を見直してみると、胃角部にダブルラインのように見えるところがあるが、所見としてチェックできるほどの変化とは言い難い。
読影医は体部小彎の辺縁不整をチェックされていた。
ここをチェックされたので結果的には良かったが、胃角小彎線上の陥凹所見は残念ながらはっきりは指摘できなかった。
病変の下に見えたもう一つの陥凹所見は病変ではなかったようである。
胃角小彎線上のⅡcに気付いて、病変を写し出すにはどうしたら良いのかを考えさせられる症例であった。
この症例はESDが行われていた。

病理診断は以下の通りであった。
Early gastric cancer,well differentiated tubular adenocarcinoma,gastric ESD
{L,Less,Type 0-Ⅱc,11×10㎜,tub1,pT1a(M),UL(-),ly0,v0,pNX,HM0,VM0}
腫瘍は粘膜内にとどまっている。

 

【症例2】78才 女性
検診の写真が提示された。鈎状胃で素直な形の胃であるが、全体的に粘液が多くバリウムの付着ムラが目立つ。
前庭部の小彎ラインが不整で、隆起性の病変があるようにも見えた。
読影医は同じ部位をアレア不整でチェックしていたが、実際の病変はそこではないということで、もう一度検診の写真を見直すことにする。
はっきりとした指摘はできない。
精密胃透視が提示された。体下部前壁に不整な陥凹性病変が認められる。
陥凹の境界は明瞭で、陥凹の粘膜面には不整形の顆粒が認められる。
陥凹の周囲は隆起しているように見える。
続いて内視鏡の写真が提示された。
内視鏡では結構大きく見えて透視の写真とは印象が違う感じである。
陥凹周囲の隆起は一見、周堤のようにも見えたが、変形もなく硬さは感じられない。
結果はⅡcであった。
解答を知ってから再度検診の写真を見ると、確かに胃角上部の前壁に2か所のバリウムの溜まりがあり、一つは辺縁不整な陥凹だと言えるのではないかとの意見が会場から出た。
ただ、これだけでチェックするのは難しいとの意見が多かった。
2㎝近くある病変で、内視鏡の写真では陥凹も周囲の隆起もしっかりと見えているのに、検診の写真ではこの程度にしか写らないのかと思うと、改めて透視の難しさが感じられた。
高齢になると身体の動きが鈍くなり、ローリングもスムーズにいかない場合が多い。
そうなると粘液の除去も難しくバリウムの付着も悪くなることはわかっているが、どこで折り合いをつけるか悩むことも多い。
胃の状態は人それぞれであり、高齢者にはあまり無理もできないが、今回の場合、病変に気が付いていれば、もう少し工夫して病変をしっかりと映し出すことができたのではないか…と発表者はまとめていた。透視下での観察が重要であると感じられた。

病理診断は以下の通りであった。
Early gastric cancer,signet-ring cell carcinoma
{M,Ant,Type0-Ⅱc,19×14㎜,sig>por2,pT1b2(SM2,2260μm), UL-2o,sci,INFc,ly0,v0,pN0(0/42),PM0,DM0}
体下部、前壁に0-Ⅱc病変あり。
組織学的にsig>por2を認める。
腫瘍は粘膜下層深部までscirrhousに浸潤している。
癌巣内にUL-2oの潰瘍を認める。

 
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【症例3】88才 男性 検診の写真が提示された。横胃で変形が強く、バリウムが十二指腸に流れやすく撮りづらい胃である。
前庭部の後壁大彎側寄りに隆起の中に陥凹がある病変が認められる。
術者は病変に気が付いているが、バリウムを付けようとして体位変換すると、どんどん十二指腸に流れてしまい、付着させるバリウムが少なくなってしまうという悪循環の中での撮影で苦労されたのではないかと思われる写真である。
精密検査の写真が提示された。前庭部の後壁大彎側寄りに隆起に囲まれた不整な陥凹性病変が認められる。
4㎝以上ありそうな大きな病変である。
病変の場所にバリウムを流すのが難しく、横胃で幽門が下を向いているためバリウムを溜めることもできず、病変の全体像を出すのが大変であったろうと思われる。
内視鏡の画像が提示された。明らかな進行癌とわかる病変である。
周堤に囲まれた不整な陥凹が認められ周堤は崩れている。
病変の位置は透視の写真では胃のねじれにより正確に指摘できなかったが前庭部の小彎であった。
2年前にも検診を受診され、要精検になっていながら精密検査を受けておられなかったのが残念な症例であった。

病理診断は以下の通りである。
Advanced gastric cancer,poorly differentiated adenocarcinoma,non-solid type
{L,Less,Type3, 37×35㎜,por2>por1,pT3(SS),sci,INFc,ly3,v1,pN3a(9/23),PM0,DM0}
前庭部、小彎にtype3病変あり。
組織学的にpor2>por1>tub2を認め、漿膜下層にscirrousに浸潤している。
免疫組織学的に腫瘍細胞は synaptophysin(-),chromograninA(-)
高度なリンパ管侵襲を認める。

文責N,Y 校正H,M
 
 

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Last-modified: Fri, 26 Oct 2018 08:18:11 JST (21d)