平成30年度活動記録

 
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平成30年度開 催 日会  場内  容
第139回3月6日(水)福井県立病院 メーカー講演「島津製作所の被ばく低減への取り組み(肝胆膵内視鏡最前線)」
会員発表「追加撮影のポイント」
第138回12月5日(水)福井県済生会病院 メーカー講演「ホリイの高濃度バリウム・発泡剤の特製」
会員発表「切除胃の撮影」
会員発表「症例報告」
第137回10月12日(金)福井県立病院 メーカー講演「下剤について」
特別講演「これからの胃がん検診に必要な知識-H.pylori感染胃炎とX線診断-」
第136回8月1日(水)福井県済生会病院 メーカー講演「誤嚥のリスクと対処法」
会員発表「牛角胃・横胃の撮影方法」
第135回6月6日(水)福井県立病院 会員発表「平成28年度胃がん検診結果報告」
平成30年度総会

第139回研究会

メーカー講演 「島津製作所の被ばく低減への取り組み(肝胆膵内視鏡最前線)」

(株)島津製作所 医用機器事業部 金谷 章秀 様

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X線TVシステムSONIALVISION G4 は、17×17インチのFPDを搭載しており、管球の容量は750kHUである。
SIDは110㎝/120㎝/150㎝と3段階に切り換え可能で、消化管の造影検査や胆膵内視鏡など、あらゆる検査に対応できる製品であるとの説明からシステムの紹介が始まった。
被ばく低減に有効なパルス透視は、必要に応じて30~3.75fpsまで4段階の使い分けができるようである。
このSONIALVISION G4について4点の切り口から紹介していただいた。
まずは被ばく低減への取り組みである。
例えば15FPS のパルス透視であるNormalモードから被ばくを低減させる時に、パルスレートを落とす方法があるが、そうすると特にインターベンション領域では使い勝手が悪くなり、治療に影響が出ることを懸念してパルスを落としづらい場合があった。
SURE engine FAST という透視画像専門の処理エンジンは、15FPS のパルスレートを維持したまま被ばくを60%低減でき、状況に応じては、7.5FPSに落とすことで、そこからさらに40%の被ばくが低減できるので、最初の1/5程度まで被ばくを抑えられる。
さらに、もっと被ばく低減を図りたいとの要望により、昨年の後半には15FPSのままでも従来のものと比較して77%も被ばくが低減ができるSuper Low Doseモードを開発したそうだ。
散乱線の被ばく低減に関しては、この機種専用に、簡単にセットできる防御クロスも用意されており80~90%程度の散乱線をカットする効果があるようだ。
また、SURE engine Advance という撮影画像用の処理エンジンにより瞬時に画像処理を行うことでハレーションを抑え、黒つぶれをなくした適切な濃度とコントラストのある写真を作ることができるとのことであった。
X線斜入時に視野中心がずっと中心から逃げないパララックス補正という機能についての紹介があった。斜入と逆位相でフラットパネルを動かすという単純な仕組みではあるが、装置の精度の高さが視野の中心がずれない機能を可能にしているとのことであった。

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続いて最先端のアプリケーションが2つ紹介された。
トモシンセシスは現在、整形外科領域で多く活用されているが、高速モードを使うと撮影時間が2.5秒、画像処理も10秒程度ですぐに画像の確認ができるため、インターベンション領域への応用も可能になる。
ERCP中には、ファイバーの裏側に隠れた膵胆管が確認でき、気管支内視鏡では高さの情報がわかるので、肺精検時に正確に腫瘍を狙うことができ、X-Y軸方向だけでなく、Z軸の情報が得られることの利点は大きいとの説明であった。
もう一つのアプリケーションがX線TVでDXAができるというSmart BMDというオプションである。
管球の容量が大きいこととフラットパネルの感度が良いことにより短時間でも高画質の画像を得られるので、約10秒の高速スキャンが可能になっている。
また、低線量透視下でポジショニングができるので、位置決めも簡単である。
患者さんにとっては、寝台が昇降し床面から47㎝まで寝台が下がるので、乗り降りが安全にでき、寝台とコリメーターとの距離が110㎝あるので圧迫感が感じられない優しい仕様になっている。
一般的なDXAの装置はアンダーチューブ方式でセンサーが上に付いており、被写体とセンサー間が40~50㎝ほどある。
しかし、透視台だとオーバーチューブ方式で被写体とセンサー間が近いので、一般的なDXAの装置に比べて画像の拡大率が小さくなるため、辺縁がシャープでエッジがはっきりした像が得られ、その後の解析も行いやすくなっている。
このSONIALVISION G4は、すでに今年の1月末で494台の納入実績があるとのことで、そのうちの130施設にDXA用のSmart BMDがオプションとして搭載されているとのことであった。
最後に質疑応答の時間を頂いた。
ERCPの検査中にトモシンセシスを行う場合の振り角など具体的な手順についての質問があった。また、整形外科領域のトモシンセシスでは、メタルアーチファクトが非常に少なく、さらに活用範囲が広がっていくのではという意見もあった。ただ、振り角を大きくすることにはメリットとデメリットがあるようだ。
また、DXA測定については、
DXA測定のレポートについてはどの基準を使って判定しているのか。
ペースメーカー装着されている方にDXAは可能か。
一般的な骨密度測定装置と比較して被ばく線量の違いはどうか。
DXA用のSmart BMD は後付け可能か。
他のメーカーでの過去のデータの取り込みは可能か。
などと質問が多数寄せられて、皆の関心が高かったようである。
最新のX線TVシステムがここまで進化しているとは、私も勉強不足で知らない事ばかりであった。
被ばく低減の技術もどんどん進んでおり、患者さんにも使用する側にもメリットが大きくありがたいことである。
使い方次第ではどんどん活用の幅が広がる可能性があると思われた。貴重な話を聞くことができて楽しい時間であった。

 
 

会員発表 「追加撮影のポイント」

福井赤十字病院   山崎 亮一 さん

田中病院      山川 典子 さん

静岡県の佐藤先生の素晴らしいスライドを使わせていただいて、「追加撮影のポイント」について話を進めていった。
追加撮影をするにあたっては、
1、 病変(目的)部位はどこか?
2、 現在の空気量は?
3、 バリウムの流し方は?
4、 圧迫筒は使える場所か?圧迫フトンは使える場所か?
5、 受診者の体力はあるか?安全にできるのか?
これらを検査中に瞬時に判断して画像にする技術が求められる。
また、追加撮影された写真から、どのような情報が欲しいのかを考えると、
1、 病変の大きさ
2、 病変の形状
3、 病変周囲の情報
4、 病変辺縁の情報
5、 病変境界の情報
6、 領域内の情報
7、 硬さの情報
などであるが、逆に言えば、追加撮影の写真には、これらの情報が読み取れる写真でなければならないことになる。

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まずは後壁病変の追加撮影のポイントから・・・ということで、
U・M・L領域それぞれの大彎側よりと小彎側よりの場合について、具体的なバリウムの流し方や透視台の動かし方について症例を交えて説明していった。
続いて前壁病変についても同様に、それぞれの部位ごとに症例を交えて説明した。
前壁病変については、病変を圧迫フトンで直接圧迫するだけでなく、圧迫フトンで胃形を矯正することで病変をより正確に写し出すことができる。
フトンを適切に使用するのとしないのとでは、かなり描出に違いが出てくることが、スライドで非常にわかりやすく説明されていた。
M領域前壁病変の症例写真は、深達度はpT1aであるがリンパ節転移のある未分化型癌であった。
かなり上部領域に近い部位であったが、前壁二重造影がお手本のような写真で、非常にきれいに描出されていたため、ヒダの中断に気が付くことができる。
この写真がルーチンなのか精密なのかは分からないが、もしも、この方がルーチン検査で来られた場合、前壁二重造影時に体上部がバリウムでブラインドになっていたら、この病変を写し出すことはできない。
また、これだけの二重造影が撮れていても、椎体と重なっている場所で、所見に気が付くことができたかどうか考えると恐いが、基準撮影法をしっかりと身に着けることの大切さを痛感させられる症例であった。
浅い病変で、椎体と重なる場所にあり、かなり苦労はされているが、非常にきれいに病変が写し出されている。
このスライド全般に対して言えることは、どの症例も的確に病変を写し出しており、読みやすい写真を撮られているのはさすがであると感動した。
良い追加撮影を行うためには読影力を鍛えることが大切である。
佐藤先生もスライドで述べておられたが、自分で経験する症例数には限りがあるので、それを補うために学会や研究会に積極的に参加して、症例検討会で読影力を養うだけでなく、病変を描出する撮影ができるようになるイメージを身に着けることが大切であろう。

 
文責N,Y 校正H,M

第138回研究会

メーカー講演 「ホリイの高濃度バリウム・発泡剤の特製」

堀井薬品工業株式会社 近畿営業所 大島 一将 様

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高濃度バリウムや発泡剤など、堀井薬品の製品について話をしていただいた。
まずは、硫酸バリウムの物理的や化学的性質などの基本的な話から始まった。
堀井薬品の硫酸バリウム(粉末)製剤の97~99%は硫酸バリウムで、残りの3~1%が懸濁剤や甘味剤、防腐剤などの添加物であり、主な懸濁化剤(カラギーナン、アルギン酸なトリム、コンドロイチン硫酸ナトリウムなど)は、植物、海藻や動物由来のものが多いようだ。
硫酸バリウムの粒子が大きいと、粘度が低くなり、酸・アルカリやタンパクの影響を受けにくいが、付着力は弱くなり、沈殿は速いという性質になる。
バリコンミールは、当時、高濃度バリウムの「はしり」として1990年1月に発売された。
バリウムの重みを利用しながらローリングによって粘液を落とし、高圧撮影でもコントラストが確保でき、また、当時は200~300㏄程度飲んでいたバリウムが、少量服用で診断域の拡大ができるなど、画期的な製品だと思ったのを覚えている。
その後も、処方の改良を続けながら現在の製品に至っているらしい。
2013年には、硫酸バリウムが98.8%含まれている988(HDタイプ)が、2015年には97.5%含まれている975(SDタイプ)が開発されている。それぞれ、大粒子と小粒子との配合比率や添加剤の内容が違っている。
3種類の粘性を比較すると、水で撹拌しただけではバリコンミールが9.5mm2/sで3種類の中で一番低いが、胃の中に入った状態を想定すると粘性が26.5mm2/sと一番高くなってしまう。逆に水で撹拌しただけでは12.7 mm2/sであった988は、胃の中を想定した状態では5.3 mm2/sと、非常に粘性が低くなっている。この変化にはびっくりした。
添加剤によって変わってくるようで、カラギーナンの影響が大きいようである。
なので、バリコンミールは胃の中に入ると粘性が上がり、しっかり付くが、悪く言うとべた付くような感じになることもある。988はそれより少し薄付きになる。
バリコンミールと988は200W/V%で使うことが前提となっているが、975は180 W/V%が推奨濃度で、バリコンミールと988との中間の付着具合になるとのことであった。
次に発泡顆粒の話になった。
バロス発泡顆粒は均一な球形顆粒であるため安定した発泡速度が特徴である。
1978年に発売されたバロス発泡顆粒-Sは2013年2月に一部変更しているようだが、金平糖のように表面に凹凸がある。
表面積を大きくすることで、水を吸収しやすく発泡速度が速くなるような製剤設計になっているそうだ。
なので、バリウムで服用しても発泡速度が遅くならないようになっている。
水で服用する場合はバロス発泡顆粒で、水で希釈したバリウムで服用する場合はバロス発泡顆粒-Sを使うことが推奨されているようである。
続いて、発泡剤服用時に起きやすい血管迷走神経反射についての話があった。発泡剤服用から30秒程度は患者さんに付き添って観察し、一過性の血圧低下、めまいやたちくらみの訴えがあったら回復するまで検査を中断するべきで、そのまま続行すると透視台からの転落事故にもつながりかねない。
過度の緊張やゲップの我慢も原因の一つと考えられており、リラックスして検査が受けられるようにすることが大切であると述べられた。

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その後、下剤についての話になった。
服用したバリウムは、できれば当日か翌日の朝までに出していただくのがベストで、3日経つと硬くなってしまうので、注意が必要とのことである。
検査前の問診や検査後の文書等での案内が大事である。
下剤を持って帰ると飲み忘れる可能性があるので、できれば目の前で飲んでもらうのが良く、必ず飲んでいただくということが大事であると話された。
最後に大腸CTの話になった。
腸管を膨らますのに炭酸ガスを使用すると、吸収率が空気の130倍なので、注入開始から30分後にはほぼガスが消えている。
空気を注入した場合は、いつまでもお腹がはって苦しいことが多いが、炭酸ガスを使用することで、検査後の苦しさもかなり軽減されると思われる。
大腸CTは最近、健診機関等でも増えてきており、啓蒙活動にも力を入れておられるとのことで、ポスターや小冊子の提供もしていただけるようである。
会場からは、バリコンミール、988の発売後に小粒子を少し増やして粘性を上げた975が作られているが、この製剤の設計目的は何かとの質問があった。
バリコンミールは付着が強すぎるが988だと少し弱いので、その間を取ったものをという考えで、大粒子と小粒子のバランスと添加剤を変えて調整したそうである。
988は回転が少なくても大丈夫なくらい大粒子がしっかり入っているが、975はしっかり回転させた方がきれいに付くなど、手技もバリウムに合わせて考えた方が良いとのことであった。
また、懸濁した時に出る浮遊物についての質問が出た。
浮遊物はバリウムの鉱物などの天然素材のものであり、また、黒い点のようなものは、大きな窯で乾燥させる時に窯のヘリについた薬剤の焦げだそうで、いずれにしても身体に害はないと説明していただきたいとのことであった。
その他にも、高齢者への下剤の投与について、ゲップを我慢してもらう際の声掛けについて、入れ歯安定剤の影響により粘性が上がった時の対処法として30~50ccの水を服用すると良いとの紹介があがった。
久しぶりにバリウムや発泡剤についての話を聞いて、忘れていたことを思い出したり、改めて知ったりすることもあり、意外に新鮮で面白かった。
バリウムと発泡剤があっての胃透視であり、その選択は写真の質にも大いに影響を受けるので、製品の特長をしっかり把握する事の大切さを痛感した。

会員発表 「切除胃の撮影」

春江病院      前川 晃一郎 さん

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切除胃に関する撮影法は定められておらず、基準撮影法においても記載がない。
切除胃と言っても様々な術式や再建法がある。
切除範囲から4つに分けられるが、今回は幽門側胃切除とその再建法(Billroth Ⅰ法)について説明がされた。
胃癌の治療の成績向上や早期胃癌の増加に伴い、胃癌術後の残胃癌が増えつつあり、残胃癌の頻度は胃がん手術例の1.8~2.7%、胃癌術後フォローアップ例の1.0~2.1%とも言われている。
残胃癌占拠部位について、文献からの抜粋が提示された。
昔は切除胃の撮影では吻合部と縫合部に注意して撮るようにと言われたが、今は、どこでも発生しうると考えた方が良さそうで、やはりブラインドの無い写真を撮らなくてはいけない。
幽門側胃切除では幽門を切除してしまうので、バリウムや空気が溜まりにくく、一般的に胃壁の洗浄効果や付着が悪い。
腸液等の逆流もあり、胃内のコンディションが良くないことが多い。
それらの対応策が示された。
対応策1として、なるべく十二指腸への流出を抑えるようなバリウムの服用法について説明された。
対応策2は、画質向上のためのローリング方法について、対応策3では充分に洗いにくい残胃でできるだけ画質を向上させるためのテクニックが披露された。
また、残存部位が体上部から穹窿部で、後方へ屈曲しており正面像として描出できる範囲が狭いことについての対応策ではX線入射角を工夫することで正面視できる範囲を増加させることができる。
続いて、切除胃(BillrothⅠ法)の撮影手順が提示されたが、基準撮影法とほぼ同じ手順であった。
ただ、留意点として、基準撮影の背臥位正面位と背臥位第2斜位は、目的部位を胃体上部および吻合部・縫合部に置き換えることが必要になる。
腹臥位正面位も同様である。背臥位第1斜位については前庭部が存在しないため、吻合部を正面視できる左側臥位を用いてもよいとのことであった。
ここから、実際に撮影された写真、残胃癌の症例が提示された。
最後にまとめとして撮影の注意点を示して発表を終わった。

会員発表 「症例報告」

福井県済生会病院      坪内 啓正 さん

2013年の日本消化器がん検診学会雑誌より、富山県健康増進センターの宮川亮子先生が報告された「スクリーニング胃X線検査で診断し得た陥凹型小胃癌の2例」を坪内会員が抄読して発表した。
以下は発表された症例報告からの抜粋である。
『胃がん検診全国集計では、切除胃癌の70%以上は早期癌で発見されているが、小胃癌(10㎜以下)の割合は13%にすぎない。
新・撮影法による胃X線検査で発見し得た陥凹型小胃癌の2例を経験したので、X線的特徴を中心に報告する。』

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【症例1】は胃角部前壁のⅡcと診断され、ESDが施行された症例である。
人間ドックの胃X線検査にて、腹臥位二重造影で胃角部前壁に不整なバリウム斑を認識し、体位変換後の追加撮影で棘状ニッシェを伴う不整陥凹として再現されている。
立位圧迫撮影の、やや軽めの圧迫で不整陥凹と棘状ニッシェが、やや強めの圧迫で周囲の粗大顆粒状隆起が透亮像として明確に示現されており、撮影技師はレポートに癌であると報告した。
【症例2】は前庭部後壁のⅡa+Ⅱcと診断され、ESDが施行されたが。陥凹部でSM2浸潤が認められ幽門側胃切除が素行された症例である。
人間ドックでの胃X線検査にて、背臥位二重造影で前庭部後壁に不整陥凹を認め、体位変換後の追加撮影では不整陥凹がより明瞭になり、棘状ニッシェも示現された。
圧迫撮影では陥凹部全体が示現され、陥凹内の結節状の透亮像と陥凹周囲の透亮像が明瞭となり撮影技師はレポートに癌と報告した。
その後、精密検査を受けずに1年が経過し、翌年の人間ドックにて前回と同部位に不整陥凹を認めた。
1年前に比べて陥凹が深く明瞭となり、陥凹周囲の周堤はU字型の周堤として示現され、撮影技師はレポートに癌であると報告した。

 

宮川先生は考察にて、
臨床的に10㎜以下で発見される陥凹型癌の80%以上は分化型である。
分化型陥凹型小胃癌のX線所見の特徴について、以下の4つに要約されるが、臨床上びらんとの鑑別が重要であると述べておられる。
① 線状あるいは面状ニッシェ
② 陥凹境界の不整像・・・胃癌の全病変にびらんの約半数に認められた
③ 棘状ニッシェ・・・微小胃癌の88.2%、小胃癌の88.9%にみられたが、びらんでは19.4%と低率であった。
④ 粗大顆粒状(病変周囲の胃小区顆粒より大きいもの)の辺縁隆起・・・微小胃癌で57.2%、小胃癌で57.1%であり、びらんでは1病変のみであった。辺縁隆起が平滑浮腫状である頻度はびらんで96.7%と高率であったが、癌では1病変も認めなかった。

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今回報告された症例は、非常に小さい病変であったにも関わらず、撮影中に気が付いて、適切な追加撮影を行い、病変の形態や性状を捉えることの出る写真をスクリーニングの段階で撮られている。
今後、技師の読影補助が2020年までに確立されようとしているが、背景粘膜を熟知し、カテゴリー分類による読影が必須となってくる。
今回提示された症例が大変すばらしい写真であったことは、宮川先生の書かれた言葉をそのまま載せることでお伝えしたいと思う。
『自験2例での小胃癌発見の大きな要因は、撮影技師による病変の拾い上げ(追加撮影、圧迫撮影)と技師レポートであった。・・・自験2例のX線撮影者はいずれも読影検討会に積極的に参加する技師であったことは、単なる偶然ではなかろう。・・・』
『最後に自験2例で診断価値のあるX線写真を撮影した3名の技師(実際はそれぞれの技師名が掲載)の撮影技術と熱意に敬意を表します』

文責N,Y 校正H,M

第137回研究会

メーカー講演 「下剤について」

伏見製薬株式会社 医薬品営業部 松本 尚樹 様

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ビコスルファート系の下剤であるファースルー錠2.5㎎の特徴や効能について、センノシド系下剤との比較をしながら説明があった。
その後、一般的なバリウム製剤の排泄に関する注意点について話を伺った。
ファースルー錠の特性
腸の運動の異常を調整して便塊の停滞をおさえ自然な排泄をうながす。
飲んでも腹痛が生じるとかの不快感が少ない。
「造影剤(硫酸バリウム)投与後の排便促進」の適応が効能効果・作用にうたわれている。
下剤の禁忌・注意
急性腹症疑いや過敏症の既往歴のある方への投与は両剤ともに禁忌である。
センノシドでは、重症の硬結便のある患者への投与や、電解質失調(特にカリウム血症)のある患者への大量投与についても禁忌とされている。また、妊娠または妊娠している可能性のある方への投与は原則禁忌となっている。
・ビコスルファートナトリウムにはその記載はなく、授乳中の方でも安心して飲んでいただけるとのことであった。
故に慎重投与や重要な基本的注意についてもビコスルファートナトリウムには特に記載がないので、使いやすい下剤であることが言える。
副作用について比較すると、センノシドについては腹痛が5%以上の頻度で認められるとなっているが、ビコスルファートナトリウムは、もともと腹痛が起きないとされる下剤であり、基本的には認められないようである。
お腹が痛くならないので下剤が効いてないと勘違いされる方もいると話されていた。
日頃から快便の方にセンノシド系の下剤を投与すると効き過ぎてしまうということもある。
その場合、ビコスルファート系の下剤を使用した方が、緩やかに排便が促進されるので良いとのことである。
バリウム検査後に、一人一人に排便状況を聞いて、どちらの下剤を渡すか決めている施設もあると紹介された。
最後に、硫酸バリウム製剤の排泄についての一般的な注意事項の説明がされた。
検査後には、必ず受診者の方に説明を行っているが、できれば、受診者それぞれの日常の排便状況に応じた下剤の種類と量を考えながら検査後の指導を行うことができればベストであると思った。
その後、会場からの質問に答える形で、下剤投与のタイミング、下剤の追加方法と最大投与量についての説明があった。

 

特別講演 「これからの胃がん検診に必要な知識-H.pylori感染胃炎とX線診断」

富山県健康増進センター  石浦 幸成 先生

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今後、背景胃粘膜診断が重要になってくるということで、H. pylori菌の話から始まった。
H. pylori菌と胃がんとの関連性は以前から指摘されており、粘膜萎縮の主な原因がH. pylori菌感染であると言われている。
まず、H. pylori菌感染から慢性胃炎に至るまでの経過についてと、胃粘膜萎縮のX線画像と内視鏡所見の指標についての話があった。
また、自己免疫性萎縮性胃炎(A型胃炎)についての説明があり、自己免疫反応による壁細胞の破壊によっておこる胃炎で幽門腺領域の萎縮はなく、胃体部を中心とする逆萎縮を特徴とし、鉄欠乏性貧血や悪性貧血を合併することもあり、一部で胃がんが発生することが報告された。
日本では、H. pylori感染による萎縮性胃炎が多く、自己免疫性萎縮性胃炎は少ないようであるが、頭の片隅に入れておいた方が良いとのことであった。
ここから、実際のカテゴリー分類の話になった。
現在、胃X線検診の読影基準や管理区分は施設によってばらばらであるが、今後、6つのカテゴリーに分類することで、全国共通の基準での精度管理が可能になり、受診者に対してもH. pylori菌感染対策に対応した指導ができることになる。
カテゴリー1は胃炎・萎縮のない胃であり、H. pylori未感染相当胃を意味し、将来的には逐年検診不要な低リスク群として扱うことを想定している。
H. pylori未感染胃に生じた胃底腺ポリープ、隆起びらん(たこいぼ様びらん)、胃憩室などは「異常なし」と判断し「カテゴリー1」と判定して良いとのことである。
低リスクではあるが噴門部癌については注意が必要とのことである。

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カテゴリー2は慢性胃炎を含む良性病変で、所見の描出が良好で精検不要な良性病変と診断可能なものを意味し、胃潰瘍瘢痕、胃ポリープ(主として過形成性ポリープ、胃粘膜下腫瘍、十二指腸潰瘍瘢痕などがあげられる。
局所病変を伴わないが、胃炎・萎縮があると判定された場合は慢性胃炎として判定する。~また、除菌例の中には、H. pylori未感染胃との鑑別が困難な胃があるので、除菌歴聴取は必須で、除菌歴がある場合は胃炎・萎縮がなくてもカテゴリー2とする。
従って、カテゴリー2はH. pylori感染(除菌を含む)があり、将来的にはがんが発生する可能性がある高リスク群として扱うことを想定している。
X線画像を用いてH. pylori未感染胃と感染胃を判定する方法が示された。
胃小区像の判定は、前庭部(幽門腺領域)と体部(胃底腺領域)で行う。

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前庭部の胃小区像では5段階、体部の胃小区像では6段階に分類されている中から選択し、それに加えて、皺壁の性状と分布域により判断する。
皺壁の性状と分布域については空気量によって左右されやすいので、発泡剤5gを使用した、適度な空気量の二重造影像で判定しなければならない。
最後に、実際に判定を行ってみようということで、例題を4例提示された。
除菌後の既感染の場合は判定に悩む場合があり、除菌歴の問診は非常に重要であることがわかった。
胃の検診が逐年検診から隔年検診に移行している。
今までは、とにかく多人数の検診をこなして胃がんを発見していく方法であったが、これからの胃X線検査は背景胃粘膜を考慮して、胃がん高リスク群を把握することが重要で、未感染の方には胃がんのリスクは極めて低いということを知ってもらい、現感染の高リスク群の方には情報提供と、継続した内視鏡検診を推奨し、必ず早期の段階で胃がんを発見して治療するという、個別の事後指導を含めた検診システムが必要であると実感した。

文責N,Y 校正H,M

第136回研究会

メーカー講演 「誤嚥のリスクと対処法」

カイゲンファーマ株式会社 金沢医薬 宮本 慎也 様

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胃透視中に誤嚥に遭遇するケースは比較的少ないが、その危険性を知っておくことは大切である。
高齢者や普段からむせやすい方、バリウムを飲みなれていない方については注意が必要である。
まず、一般的な誤嚥についての解説から始まった。
バリウムには発がん性や化学毒性はなく、誤嚥してもほとんどが微量で自然に排出されることが多い。
仮に排出されなくても適切な処置をすることで影響はほとんどないと言えるが、まれに、呼吸困難、肺炎、肺肉芽腫を引き起こすことがある。
誤嚥を防止するための対策として、リラックスさせる方法や飲む姿勢など気を付けるべき事項が説明された。
緊張や焦りがあると誤嚥を起こしやすくなるので、ゆっくりと落ち着いて飲んでもらう声かけが大事であろう。
その後、誤嚥時の対処法について説明がされた。
ハッフィング、スクイージングを行えば、ある程度バリウムが排出できるので、もしもの時にはあわてずに手順に沿って対処できるようにしておきたい。
会場からは、過去の経験談や、誤嚥のリスクが高い方へのバリウムの飲ませ方、誤嚥が起きた時の手順やリスクマネジメントなどについて、多くの意見が交わされた。

会員発表 「牛角胃・横胃の撮影方法」

福井県立病院      飯田 圭 さん

福井県健康管理協会   宮川 裕康さん

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【牛角胃・横胃の構造、解剖】
胃が腹部の圧力で下から押し上げられ、肝臓の下縁に貼り付いた状態が横胃や牛角胃と呼ばれる形態である。
X線像における横胃の定義では、腹臥位充盈像にてバリウムで充盈された部分の椎体の幅が3椎体以下を横胃あるいは牛角胃とする。
胃は噴門と幽門で固定されており、小彎側は肝臓に小網という腹膜で、大彎側は大腸に大網という腹膜で、それぞれ緩く固定されており可動性がある。
そのため、横胃の場合、胃が全体的にそのまま上がっていくのではなく、胃角部は頭部方向に持ち上げられ回転し、大彎は腹側へ、小彎は背側へそれぞれ胃が回転するような形で移動している。
従って横胃では体部の小彎は腹臥位より背臥位で良好に観察される。
横胃の問題点として、正面位では前庭部や体部~穹窿部は軸方向での観察となることや、前庭部は大彎が背側に折れ曲がる場合があること、変形が強度の場合、第1斜位では穹窿部と前庭部が重なり可視範囲が狭くなることなどが説明された。
右側臥位や腹臥位第1斜位ではバリウムが障害になって描出範囲を狭くすることもある。
また、横胃は造影剤が流出しやすいが、U領域の撮影にはバリウムが多く必要とされるため、造影剤の流出でバリウムが少なくなった状態での描出は非常に困難となる。
横胃に限ったことではないが、穹窿部の撮影時には、透視台を立てて体位変換を行うとバリウムが噴門部を通らずに流れるので、安易に台を立てないことが大事である。
必ず体位変換後に透視台を立てなければならない。
胃小彎は肝臓と小網でつながっているため、小彎を中心にV字状にやや折れ曲がった状態になっている。
穹窿部小彎の撮影時にも透視台を立ててしまうと、重力により縦方向に引き伸ばされてしまい、V字状の折れ曲がりがより顕著になり描出範囲が狭くなってしまうため注意が必要である。
この後、CTでの3D画像を使った飯田さんの力作が披露される予定であったが、PCの問題で残念ながら開くことができず、見ることができなかった。
せっかく努力して作って頂いたので次回にお披露目していただきたい。

 
reft,nolink

【横胃の攻略法】
続いて横胃を攻略しよう!ということで、横胃撮影のポイント9か条の話から始まった。
これを頭に叩き込んでおきたい。
横胃を攻略する3つの方法が紹介された。
X線束の角度を変えての攻略では、X線束を斜入射することでバリウムによるブラインドや粘膜面の観察方向を改善することができる。
管球が振れない場合、体位を変えての攻略となる。
前庭部の撮影ではバリウムの重みを利用する、穹窿部では前屈位をとる、背臥位二重造影では上体を起き上がらせるなどの方法がある。
もう一つが胃形を変えての攻略である。
横胃の前壁撮影を攻略するには幅のある厚い枕が必要である。
胃を矯正するイメージで、厚みのある枕で上がっている胃を下に押し戻すようにすると良い。
ここで頭を下げすぎると力が分散してしまい圧迫効果が弱まってしまう。
両肩と左の頬をしっかり天板につけて3点を固定した状態で頭を下げるようにする。
両肩が浮かないようにしなければならない。
また、ヒップアップ法も効果的である。
下腹部を浮かすことで枕による圧迫が胃を延ばして、腸は足側と腹側へ逃げてくれるからである。
このようなテクニックを複合的に使えば、90%以上の人は逆傾斜15°で撮影が可能だとのことで、過度の傾斜をかける必要はないとのことであった。
次に、横胃の方を撮影した集検写真で、6年前と今年の写真を比較したものが提示された。
今年の写真では、上体を起き上がらせた体位を変えての攻略法や、枕を使用して胃形を変えての攻略法が駆使されていた。
特に前壁撮影では圧迫枕が効果的に使用されており、前庭部が伸びて描出範囲が明らかに広くなっていた。
圧迫枕を効果的に使うためのコツは、厚めの枕を入れて、両肩をつけて軽く傾斜をかけてから呼気吸気で前庭部のバリウムと空気が置換した瞬間に逆傾斜を強くしていき、息を吐くと前庭部が伸びてくるので、そこを狙って撮影する。
躊躇していると縮んでしまうので、タイミングを逃さずに撮ることだと説明された。
その後、集検で発見された横胃の進行がん症例が提示され、集検では特異度が重視されるようになってきており、決して進行がんは見逃さないという撮影が必要だと説明された。
最後に基準撮影法を理解し、その型を極めることで、目的にそった画像を敢えて型を崩した撮影法でできるようになる。
真剣に取り組んで教え上手な名人を目指しましょうと述べて締めくくった。
会場からは多くの質問が出て、活発に意見が交わされた。皆が横胃・牛角胃の撮影に日々苦労しているということであろう。
今日勉強したことを参考に、明日からの撮影に活かしていきたい。

文責N,Y 校正H,M

第135回研究会

平成30年度総会

平成29年度事業報告・会計報告

平成30年度事業計画案

会員発表 「平成28年度胃がん検診結果報告」OCR用紙を使用して

福井県健康管理協会   西村 宣広 さん

福井県立病院      飯田 圭 さん

nishimura135.JPG

OCR(Optical Character Reader)用紙とは、がん検診において読影医が使用するチェックシートである。
胃がん検診の用紙は、部位、彎側・壁側部、所見、診断基準、診断名、指示に分かれており、それぞれにチェックを入れて診断基準が3以上で要精検となる。
読影医二名でダブルチェックを実施しており、福井県の胃がん集団検診の要精検率は7~8%くらいである。
一番下には手書きで所見スケッチを記入するようになっており、スケッチ以外のデータは電算処理がされ、結果発送や統計などに活用するとのことであった。
今回は、各自OCR用紙を用い、症例を見ながらチェックして後ほど答え合わせを行おうとの試みであった。
平成28年度の胃がん検診結果報告について、胃がん検診を受診され、県立病院で治療を受けた5症例が提示された。

 

【症例1】68才 男性
まずは検診の写真が提示された。体部小彎のラインがやや不整かと思われるが、他に指摘できる所見は無いように思った。
会場の反応も同様であった。
その後内視鏡の写真が提示された。
慢性胃炎による萎縮が強い胃粘膜である。
胃角の小彎線上に不整な陥凹が認められる。
陥凹辺縁は棘状で、陥凹の深さは浅い。
陥凹の周囲は反応性に隆起しているように見える。
また、その下にも小さい陥凹性病変が認められる。

katada135.JPG

改めて検診の写真を見直してみると、胃角部にダブルラインのように見えるところがあるが、所見としてチェックできるほどの変化とは言い難い。
読影医は体部小彎の辺縁不整をチェックされていた。
ここをチェックされたので結果的には良かったが、胃角小彎線上の陥凹所見は残念ながらはっきりは指摘できなかった。
病変の下に見えたもう一つの陥凹所見は病変ではなかったようである。
胃角小彎線上のⅡcに気付いて、病変を写し出すにはどうしたら良いのかを考えさせられる症例であった。
この症例はESDが行われていた。

病理診断は以下の通りであった。
Early gastric cancer,well differentiated tubular adenocarcinoma,gastric ESD
{L,Less,Type 0-Ⅱc,11×10㎜,tub1,pT1a(M),UL(-),ly0,v0,pNX,HM0,VM0}
腫瘍は粘膜内にとどまっている。

 

【症例2】78才 女性
検診の写真が提示された。鈎状胃で素直な形の胃であるが、全体的に粘液が多くバリウムの付着ムラが目立つ。
前庭部の小彎ラインが不整で、隆起性の病変があるようにも見えた。
読影医は同じ部位をアレア不整でチェックしていたが、実際の病変はそこではないということで、もう一度検診の写真を見直すことにする。
はっきりとした指摘はできない。
精密胃透視が提示された。体下部前壁に不整な陥凹性病変が認められる。
陥凹の境界は明瞭で、陥凹の粘膜面には不整形の顆粒が認められる。
陥凹の周囲は隆起しているように見える。
続いて内視鏡の写真が提示された。
内視鏡では結構大きく見えて透視の写真とは印象が違う感じである。
陥凹周囲の隆起は一見、周堤のようにも見えたが、変形もなく硬さは感じられない。
結果はⅡcであった。
解答を知ってから再度検診の写真を見ると、確かに胃角上部の前壁に2か所のバリウムの溜まりがあり、一つは辺縁不整な陥凹だと言えるのではないかとの意見が会場から出た。
ただ、これだけでチェックするのは難しいとの意見が多かった。
2㎝近くある病変で、内視鏡の写真では陥凹も周囲の隆起もしっかりと見えているのに、検診の写真ではこの程度にしか写らないのかと思うと、改めて透視の難しさが感じられた。
高齢になると身体の動きが鈍くなり、ローリングもスムーズにいかない場合が多い。
そうなると粘液の除去も難しくバリウムの付着も悪くなることはわかっているが、どこで折り合いをつけるか悩むことも多い。
胃の状態は人それぞれであり、高齢者にはあまり無理もできないが、今回の場合、病変に気が付いていれば、もう少し工夫して病変をしっかりと映し出すことができたのではないか…と発表者はまとめていた。透視下での観察が重要であると感じられた。

病理診断は以下の通りであった。
Early gastric cancer,signet-ring cell carcinoma
{M,Ant,Type0-Ⅱc,19×14㎜,sig>por2,pT1b2(SM2,2260μm), UL-2o,sci,INFc,ly0,v0,pN0(0/42),PM0,DM0}
体下部、前壁に0-Ⅱc病変あり。
組織学的にsig>por2を認める。
腫瘍は粘膜下層深部までscirrhousに浸潤している。
癌巣内にUL-2oの潰瘍を認める。

 
135kaijou.JPG

【症例3】88才 男性 検診の写真が提示された。横胃で変形が強く、バリウムが十二指腸に流れやすく撮りづらい胃である。
前庭部の後壁大彎側寄りに隆起の中に陥凹がある病変が認められる。
術者は病変に気が付いているが、バリウムを付けようとして体位変換すると、どんどん十二指腸に流れてしまい、付着させるバリウムが少なくなってしまうという悪循環の中での撮影で苦労されたのではないかと思われる写真である。
精密検査の写真が提示された。前庭部の後壁大彎側寄りに隆起に囲まれた不整な陥凹性病変が認められる。
4㎝以上ありそうな大きな病変である。
病変の場所にバリウムを流すのが難しく、横胃で幽門が下を向いているためバリウムを溜めることもできず、病変の全体像を出すのが大変であったろうと思われる。
内視鏡の画像が提示された。明らかな進行癌とわかる病変である。
周堤に囲まれた不整な陥凹が認められ周堤は崩れている。
病変の位置は透視の写真では胃のねじれにより正確に指摘できなかったが前庭部の小彎であった。
2年前にも検診を受診され、要精検になっていながら精密検査を受けておられなかったのが残念な症例であった。

病理診断は以下の通りである。
Advanced gastric cancer,poorly differentiated adenocarcinoma,non-solid type
{L,Less,Type3, 37×35㎜,por2>por1,pT3(SS),sci,INFc,ly3,v1,pN3a(9/23),PM0,DM0}
前庭部、小彎にtype3病変あり。
組織学的にpor2>por1>tub2を認め、漿膜下層にscirrousに浸潤している。
免疫組織学的に腫瘍細胞は synaptophysin(-),chromograninA(-)
高度なリンパ管侵襲を認める。

文責N,Y 校正H,M
 
 

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Last-modified: Thu, 14 Mar 2019 15:52:04 JST (8d)