TITLE:福井県消化管撮影研究会

平成26年度活動記録

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平成26年度開 催 日会  場内  容
第120回3月4日(水)福井県立病院 会員発表「症例検討」
症例検討Ⅲ
第119回11月29日(土)福井県済生会病院 特別講演 「Ba検査における粘液除去の必要性」
会員発表 「胃病変の描出方法 -イマジネーション力をつけましょう!-」 
第118回10月1日(水)福井県立会病院 学会報告 「日本消化器がん検診学会総会報告」
症例検討Ⅱ
会員発表 「胃癌取扱い規約の解説」
第117回8月6日(水)福井県済生会病院 会員発表 「ビギナーズセミナーⅠ~動画で学ぶ胃透視 接遇から機器管理まで~」
症例検討Ⅰ
第116回6月4日(水)福井県立病院 会員発表 「平成24年度胃がん検診結果報告」
平成26年度総会
 
 

第120回研究会

会員発表 「症例検討」

福井県立病院      谷嶋 良宣さん

今回は、読影用のチェックシートを用いながら、各症例でのX線画像、内視鏡画像、病理画像を提示して読影の方法を勉強しよう。
また、診断をつけるためには、逆にどのような写真を撮る必要があるのかを考えよう・・・との企画である。
肉眼型分類に従って症例の提示があった。

tanishima120.jpg

まずはType0-Ⅰの症例のX線画像をどのように読んでいくかを考えていく。
そのために、さっそく読影用シート(隆起性病変)に照らし合わせながら進めていく。
隆起の数は単発で粘膜集中はない。
隆起の立ち上がりはY-Ⅲと思われる。
正面形状は不整形。頂上形状は凹凸があり分葉化している。
隆起部分の粘膜模様は…という具合に読んでいく。
X線画像診断報告では、幽門前部~十二指腸球部の前・後壁に茎部を形成する直径30㎜程度の隆起性病変があり、頂点は不整形である。
肉眼分類はType0-Ⅰで、深達度はSMであると報告されていた。
続いて内視鏡画像が提示された。
内視鏡の検査報告では、幽門輪前部後壁~小彎にかけて広基性の0-Ⅰ型腫瘍を認め、pap中心の病変を考えるとの報告であった。
部分切除がされており、病理診断結果は、
Early gastric cancer, poorly differentiated adenocarcinoma, solid type
[ L, Post, Type0‐Ⅰ, 46×35㎜, por1>pap, pT1b2(SM2, 9430μm), med, INFb, ly0, v2, pNX, PM0, DM0 ]
Acute cholecystitis
であった。

 

続いてType0-Ⅱaの症例である。
再び読影シート(隆起性病変)に照らし合わせて進めていく。
X線画像では直径3㎝程度の低い隆起性病変で、範囲は前庭部小彎を含む前・後壁であると報告されていたが、内視鏡で胃角から前庭部小彎の前後壁に及んでおり、大きさも6㎝大であることがわかった。
扁平隆起の辺縁は分葉化しており、隆起の内部にびらん・潰瘍が認められる。
深達度はSMのType0‐Ⅱaでtub1であると報告されていた。
再度、X線画像を見直して、隆起辺縁の分葉状部分や、隆起内部の潰瘍が写し出されているかどうかを確認した。
このような症例では、隆起内部の性状までをも写し出し、また、0-ⅠなのかⅡaなのか隆起の高さが判断できる写真を撮る事が必要である。
幽門側胃切除がされており、病理診断結果は旧式での記載となっているが、
Early gastric cancer, well differentiated tubular adenocarcinoma
[ L, less, Type0 Ⅱa, 5.6×4.2㎝, tub1>pap, m, ul-, INFa, ly0, v0, n-, pm-, dm- ]
であった。

 

次はType0-Ⅱcの症例である。
再び読影チェックシート(陥凹性病変)にてX線画像を読んでいく。
胃体中部の小彎から後壁にかけて、F線近傍領域に単発の陥凹があり、陥凹の形状は不整形で深さは浅い。
陥凹辺縁は明瞭であり、陥凹面に大小不同の顆粒が認められる。
その他にもヒダの集中があるのかどうか、また、ヒダ先端の状態についても読んでいくが、そのためにも、陥凹の辺縁や陥凹面の性状までをしっかりと写し出す事が必要である。
陥凹性病変の場合は、面・境界・ヒダの3要素に分解してみると、それぞれの特徴が浮き出てくる。
そして、表面性状の表現に使われる4つの用語、境界所見に使われる6つの用語、ヒダの先端の表現に使われる4つの用語を組み合わせ読影していけば良い。
内視鏡では体下部小彎後壁に直径2㎝のType0-Ⅱc病変があり、中心部は褐色調であり陥凹内隆起が存在し、深達度はSMとの報告であった。
幽門側胃切除がされており、病理診断結果は
Early gastric cancer, poorly differentiated adenocarcinoma, solid type
[ M, Post, Type0‐Ⅱc, 37×24㎜, por1>sig, pT1a(M), UL(-), INFa, ly0, v0, pN0(0/39), PM0, DM0 ]
であった。

 

続いてはType1の症例である。
同様に読影チェックシートに従って読んでいくと、単発の隆起で粘膜集中は無く、隆起の立ち上がりは急峻である。
正面形状は不整形で頂上形状は凹凸があり分葉状である。
X線診断報告書には噴門部後壁に立ち上がりが急峻で不整形な隆起性病変があり、サイズは47×63㎜、深達度はMPのType1と報告されている。
内視鏡では噴門部大彎を中心にした隆起性病変。
分葉、球状で直径6㎝大。柔らかく可動性もよい。隆起の基部も太まりはなく、潰瘍もなく、tub1~papで深達度はM~SM浅を疑うと報告されていた。
X線画像では正面像だけでなく側面像も捉えて、病変部にバリウムを流したりはじかせたりすることにより、隆起の基部や正面の形状、分葉の状態までを写し出すことが必要である。
噴門側胃切除がされており、病理診断結果は、
Advanced gastric cancer, papillary adenocarcinoma
[ U, Gre, Type1, 70×42㎜, pap, pT2(MP), med, INFb, ly1, v2, pN0(0/68), PM0, DM0 ]
であった。

 

次はType2である。
X線画像診断では前庭部前壁に潰瘍を形成し、潰瘍をとりまく胃壁が肥厚し周囲粘膜との境界が明瞭な直径30㎜程度の隆起性病変があり、肉眼分類はType2、深達度はSSであると報告されている。
内視鏡では前庭部前壁に45㎜のType2が認められ深達度はSEと報告されていた。
再度、X線画像を振り返って、陥凹面の状態や陥凹内に隆起があるかどうかまで画像上に写し出す事が大切で、読影する場合も、そこまでしっかり読まなくてはいけないとまとめていた。
噴門側胃切除がされており、病理診断結果は
Advanced gastric cancer, papillary adenocarcinoma
[ L, Ant, Type2, 46×36㎜, pap>por1, pT4a(SE), med, INFb, ly3, v3, pN3a(10/54)+pM1(5/5), PM0, DM0 ]
Metastatic adenocarcinoma, liver
であった。

120kaijou.jpg
 

次はType3である。
X線画像診断では前庭部の前・後壁に潰瘍を形成し、潰瘍をとりまく胃壁が肥厚し周囲粘膜との境界が不明瞭な直径60㎜程度の病変があり、肉眼分類はType3で、深達度はSSであると報告されている。
内視鏡では胃角から前庭部小彎に不整潰瘍があり、8㎝程のType2で、深達度はSSで、tub1~papと報告されている。
幽門側胃切除がされており、病理診断結果は
Advanced gastric cancer, poorly differentiated adenocarcinoma, non‐solid type
[ L, Less, Type3, 90×85㎜, por2>por1>sig, pT4a(SE), sci, INFc, ly1, v1, pN2(4/40), PM0, DM0 ]
であった。
内視鏡ではType2と報告されたが、結果はX線診断の通りであった。
病変が大きくなると全体像が把握しやすいX線像の方が正確に読み取ることができる場合もあるようだ。

 

最後はType4である。
X線画像診断では胃体部大彎にヒダの太まり、胃壁の硬化・変形が認められるType4で、深達度はMPでサイズは硬化域の長軸は15㎝であるが領域の特定は困難であると報告されている。
内視鏡ではType4で、胃体部大彎のヒダは柔らかいが壁伸展はやや不良である。
粘膜面に明らかな癌の露出は認められないとのことであった。
化学療法後に胃全摘がされており、
Post‐chemotherapy state, few cancer tissue remaining, stomach
Metastatic adenocarcinoma, lymph node
となっていた。

 

最後に分化型・未分化型についての解説になった。
過去にもいろんな形で何度も繰り返されている話であるが、なぜ組織型鑑別が必要なのか?それは、それぞれの組織型に特徴的な発達・進展形式に伴う肉眼的変化の特徴を理解することで、X線画像に写し出されている所見と、組織型の特徴との一致点を見出すことができれば、良悪性鑑別の根拠となりえるからである。
従って、組織型の鑑別ができるような、肉眼的変化の特徴を写し出さなくてはいけない。
組織型の特徴を頭に入れておけば病変に出会った時、それを写し出すような撮影を行えば良いのであわてなくても済む。
冷静な判断で肉眼的変化の特徴をきっちりと写真に映し出し、良悪性の鑑別ができるような写真を撮ることが私たちの仕事である。しかし言うは易く行うは難し・・・。

症例検討Ⅲ

福井県予防医学協会      平田 智嗣さん

続いて平田会員による症例検討シリーズの第3弾である。2例の提示があった。
1例目は「異常なし」の症例であったが、どの写真でも幽門前庭部の膨らみが悪い所が気になったので、タイミングを計って前庭部と球部に空気の入った状態の写真を撮る必要があるのではとの意見が出た。
会場からは、胆嚢摘出の手術をされた方に前庭部の膨らみが悪い場合が多い気がするが因果関係はあるのかどうかとの質問が出たが明確な回答は得られなかった。

hirata120.jpg
 

2例目の症例は胃体下部小彎やや前壁よりにヒダの集中を伴う辺縁不整な陥凹が認められた。
枕を入れたやや腹臥位頭低位の写真が追加撮影されていたが、病変部にバリウムを薄く流しての撮影と、病変から椎体を外しての撮影が行われており、襞の走行や陥凹面の性状が非常に良くわかる写真であった。

 

最後に第117回での症例検討で、胃癌手術と同時に胆嚢と脾臓を摘出していた症例について、それはなぜかという宿題の解答が発表者より報告された。
胆石を合併している場合は胃癌手術と同時に胆摘を行う場合が多いが、胆石のない患者に胃切除後胆石が発生する頻度は10~30%であり、また、胆石があっても流出する場合や、無症状の場合が多く、現在は予防のために胆摘することはまずないとのことであった。
一部の進行癌で術後胆嚢炎予防のために胆摘を行うという考えもあるが、胆嚢炎の頻度が低いので行わないとの考えもあるようである。
脾臓摘出については、一部の進行胃癌に対して脾門リンパ節、脾動脈幹遠位リンパ節郭清を行うために脾臓摘出が行われているようであるが、脾摘によって膿瘍形成や出血などの手術合併症の増加や術後免疫能の低下が懸念される。
早期胃癌で胃全摘、噴門部胃切除を行う場合は脾門リンパ節転移の頻度は少ないので、通常は脾摘を行っていないようであるとの内容であった。
平田会員、3回にわたっての症例検討シリーズ、大変お疲れ様でした。

文責N,Y 校正K,K
 

第119回研究会

特別講演 「Ba検査における粘液除去の必要性」

        ①注腸検査における粘液除去(大腸洗浄法)について

        ②ピロリ菌除菌時代の胃X線検査手法について

倉敷成人病センター      鷲見 和幸 先生

倉敷成人病センター 鷲見 和幸先生

鷲見先生は胃X線検査に携わる中で、いかにしてバリウムを粘膜に付けるかという事が常に頭にあったが、注腸検査をやり始めてから完全に発想が変わったとのことで、胃の検査をする方は、ぜひ注腸をやってみて欲しいと述べられていた。
そんな話から始まった今回の講演の結論は、バリウム検査においては消化液を除去すれば、写真はおのずときれいになり、粘膜の描出もたやすくなる。・・・“ これに尽きる ” とのことである。
現在、女性のがん死亡率がトップである大腸癌を減少させていくために、注腸X線検査は今後も必要であり、その検査の精度を高めていく必要がある。
「福井県がん登録を利用した精検法の比較の報告」によると、注腸検査と内視鏡検査との感度を比較しても直腸・S状結腸ではほとんど変わらない。大きく違うのは深部結腸での感度であり、内視鏡では86%に対して、注腸では53.3%になってしまう。感度が低い理由の63%は描出不良であり、ここを解決すれば内視鏡に劣らない検査ができるはずであるということで、深部結腸の診断能の向上が課題となってくる。
先生の施設で、患者申告での便色と実際の便色の状態を比較したデータをみると、患者さんは実際よりも良い状態であると申告することが多く、便が無色透明になったとの申告があっても、実際には深部大腸にかなりの便が残っていることがわかった。その状態で注腸検査を行っても便が残っているところにバリウムを流し込んでいるわけで、これでは深部の感度が悪くて当然である。
注腸X線検査における前処置については、ブラウン変法(高張液投与法)と経口腸管洗浄法(等張液投与法)があり、ブラウン変法の場合は腸管内容物が完全に排泄されないために便秘の方には対応できない場合がある。それに対して、経口腸管洗浄法の場合は深部結腸の便残渣除去は改善されるが、粘度の高い残液により深部の造影効果が悪くなるという欠点がある。

119kai.jpg

前処置不良の場合、従来はバリウムでの残渣洗浄を行っていたが、バリウムが小腸に流れたり、腸管がひび割れたりして画像に悪影響を及ぼすことがあった。
そこで、先生が提唱しておられるのが、小腸に流出しても気にならない程度に抑えたバリウム濃度の洗浄液を使って、深部結腸に残存する腸内残渣をバリウムに混ぜ込んでから、それらを全て吸引する方法であり、これを前処置と検査の間の検査前処置と位置付けておられる。
大腸洗浄法を用いることで、深部結腸のFNP描出を上行結腸で95.68%、盲腸部で98.15%という高い割合で確認することができ、微細な粘膜病変の描出が可能になることで、de novo癌などの大腸粘膜由来の病変の早期発見や微細病変の鑑別診断に大きな影響を与えることが期待されると述べておられた。
また、洗浄液を温水にすることで、大腸の蠕動が抑制される傾向があるようで、最近は鎮痙剤を打たずに検査を行うことも増えているとのことであった。
続いて、先生の施設での大腸洗浄法を用いた注腸X線検査のルーチンの手順と先生が撮影された写真が紹介された。盲腸部のスポットに関しては虫垂入行部、バウヒン、終末部に病変が隠れていることが多く、しかも見落としやすい部位であるため、確実に何度も圧迫して確認する必要があると言われていた。
注腸X線検査手技のポイントをまとめると、 ① バリウムをひと塊で移動させることにより、空気圧を利用してバリウムを深部へ移動する。 ② 空気ではなくバリウムを奥に進めるために台は水平ではなく、台の起倒を利用する。 ③ 体位変換はバリウムのスピードに合わせてゆっくり行う。以上の3つを挙げられた。
残渣が無くなれば、後はテクニックの見せどころであり、圧迫筒や枕の使用、吸気呼気の使い分け、台の起倒と空気量の加減、バリウムの流動、病変部位に応じた撮影体位を用いて描出を行えば、精度の高い注腸検査が行えるとのことであった。

 
119kai2.jpg

次に、胃X線検査における背景粘膜診断についての話になった。背景粘膜診断とは胃粘膜表面像(胃小区)、ひだの形状、分布の3つで診断していく評価方法である。胃粘膜表面像は3パターン、ひだの形状と分布は4パターンに分かれている。これらを全て把握するのは難しいが、胃体部4分割評価法というものがあり、これを利用すれば比較的簡単に背景粘膜の診断が可能になる。
ただし、評価に用いる写真は適切に伸展させた二重造影像で、辺縁や粘膜表面において均一な造影効果が得られており、バリウムが目的部位に残っていない写真であることが必要であり、背景粘膜の描出能を高めるためには胃液の除去が絶対条件である。
胃液を除去するためには、胃液とバリウムとを十分に混ぜ合わせることが必要で、それには単純な3回転だけでは難しいとのことである。先生は最初の回転後に、胃液がどこに溜まっていて、バリウムをどこに付ける必要があるかを確認しているそうである。
台の起倒とハーフターン、45度ターンを組み合わせてバリウムを大きく動かすと、粘液がバリウムに混ざって除去され、粘膜にバリウムだけがきれいに付着した写真を撮ることができるとのことであった。
最後に、胃も腸も背景粘膜の描出には消化液の除去が不可欠であり、大腸は大腸洗浄法にて消化液を除去、胃は種々のローリングを駆使して胃液を除去することが大切であると話をまとめられた。
その後、会場からは、直腸、S状結腸へのバリウムの付け方について。自動注入器が無い場合でも同じようなことができるのかどうか。背景粘膜の評価をする時に身体の正面像ではなく、胃角正面像で評価すべきか。注腸の前処置はブラウン変法と等張液法とどちらが良いのか。・・・等のことについて質問がされた。
先生はスライドに使う写真には、できるだけ直近に撮影したものを使われるとのことで、今回も1週間以内に撮影された写真をスライドに使われており、チャンピオン写真を使うのは好きではないといわれていたものの、どの写真も非常にきれいな写真ばかりであり、逆にレベルの高さがうかがえた。
胃の粘膜を女性の肌に例えられて、下地も付けずに顔に直接ファンデーションを塗る人はいないように、胃も、しっかりと下地を整えてからバリウムを付けることが大切であると述べられた。実にうまい例えであると思っていたら、ファンデーションの材料にもバリウムが使われているとのことであり、それについてのスライドまで用意されていたようで、どんな疑問にたいしてもとことん追求していく姿勢が精度の高い検査につながっていくのであろうと思われた。
懇親会の席で言われていたが、疑問点を追求し、最善の方法を模索し、研究を重ねて作り上げた方法を惜しげもなく皆に伝えてくださるのは、全て“ 受診者にとってプラスになる ” ことだからですとの言葉が印象的であった。
非常に聞きやすい声のトーンとスピードで、話が非常に上手であり、先生の世界に引き込まれているうちにあっという間に時間が過ぎてしまった感じであった。
先生には、お忙しいところ福井までお越しいただいたことにこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

会員発表 「胃病変の描出方法 -イマジネーション力をつけましょう!-」

福井県済生会病院      坪内 啓正 さん

済生会病院 坪内 啓正さん

精密胃透視の依頼があった場合にどのように撮影しますか?ということを皆で考えて欲しいとの内容で発表があった。
症例は70才台の男性で既往歴はなし。ピロリ菌除菌歴あり。健診内視鏡にて胃体中部小彎に20㎜以下の浅い陥凹を伴う辺縁不整な平坦な隆起のⅡa+Ⅱc病変が認められたとのこと。
精検にてgroup5、高分化型腺癌を疑われて精密胃透視の依頼があり、この場合にどのような撮影方法で描出するかを皆で考えてみましょうとの提案であった。
この投げかけに対して会場からは、右側臥位から逆傾斜にしてから第2斜位にしていくことで小彎にバリウムが流れるのではないかとの意見が出された。
発表者はまず、胃の形を見てから軽度逆傾斜で小彎にバリウムが付着するようにシェイキングして撮影、次に腹臥位逆傾斜にてシェイキングを行い撮影、最後にローリングにて全体的にバリウムを付着させて周辺への広がり具合を確認しようと構想を立てた。
実際には、横胃でかなりバリウムが流れやすかったようで、最初に全体像を撮ることになったらしい。その後、小彎を中心にシェイキングを行って第2斜位、腹臥位等の写真を撮るも、粘膜面がなかなか写ってこず、どうにか病変部でバリウムがはじいた写真は撮れたものの粘膜の性状が写しきれず、小腸にバリウムも流れてしまった。
会場からは、精密胃透視であれば、最初に半立位でよく振って胃液を落とした状態にしてから、目的部位に少しバリウムを流した方が良いのではという意見が出た。
鷲見先生からは、シェイキングの様子を見るとバリウムの上澄みの胃液が多く含まれている部分が行き来しているだけである。また、前庭部には常にバリウムが溜まったままであるが、この胃形だとバリウムが全て流れてしまう。この場所はある程度の量のバリウムが無いと粘膜を洗えないので、空気量とバリウムを追加してから、腹臥位で枕を使用して第1斜位の写真を撮ってはどうかとのことで、発表者の写真よりもう少し頭側に枕を入れた方が良いとのアドバイスがあった。
会場からのゾンデを使わないのかという質問に対しては、ゾンデを使用することで時間もかかるし、患者さんへの負担も増える。ゾンデを使わなくても台の起倒を利用することで空気量の調節ができると述べておられた。
結果は16×22㎜の深達度smの早期癌で組織はtub2>1でESDを行った症例であった。

文責N,Y 校正K,K
 
 
 

第118回研究会

学会報告 日本消化器がん検診学会総会報告 『 「胃X線撮影法 虎の巻」 佐賀県医師会成人病センター 中原 慶太 先生 』

福井県健康管理協会      西村 宣広さん

6月に福井市で行われた日本消化器がん検診学会総会のランチョンセミナーで、佐賀県医師会成人病センターの中原慶太先生が「胃X線撮影 虎の巻」を講演された。
非常に良い内容であったのだが、会場が狭かったために講演を聞きたくても聞けなかった人が多かったということで、今回、この時の中原先生のスライドをお借りして、福井県健康管理協会の西村さんより講演の内容を話していただいた。

福井県健康管理協会 西村さん

虎の巻はSTEP1~STEP5までの5段階で構成されており、この段階を順次踏んで行くことによって最終的に良い写真が撮れるようになるという勉強法である。
STEP1は基準撮影法をマスターしてそれに準じた撮影を行うことであり、これによって最低限度の画質が得られることになる。
ただ、STEP1をクリアーすれば良いわけではなく、基準撮影法の弱点に留意し、標的部位の「造影効果」、「描出範囲」、「ポジショニング」の3つを「画質の三角」として、できるだけ盲点の少ない撮影を行うことが大切である。
「造影効果」では、高濃度バリウムの性能を最大限に引き出すコツとして、バリウム製剤の選び方から使い方の細かい注意点まで示されていた。
「描出範囲」では、二重造影部を広く出すための条件について、また、「ポジショニング」では、解剖学から考えたベストポジションについて説明がされた。
STEP2では、特異度が高い検査=がんが無いですよという写真を撮ることを意識しなければならない。
STEP3は、それぞれの胃形に応じた最適な応用撮影ができることである。特に撮影が困難な横胃の前壁撮影ではバスタオルのり巻き法を使用することで示現範囲を広げることができる。また、それぞれの胃形に適したバスタオルの使用法についてのコツが示されていた。
STEP4では読影能の習得を行う。読影能の3つの因子はS:SENCE、E:EXPERIENCE(経験)、T:THEORY(理論)であり、読影能を向上させるためには、胃がんの画像形態診断学を熟知するしかない。
そのためには勉強会に多く出て、画像だけでなくマクロやミクロまでの勉強を地道に重ねることが必要であり、近道はないとのことである。
最後のSTEP5では病変を的確に描写する追加撮影ができるようになることである。
このSTEP1からSTEP5までを積み重ねることで良い写真を撮って欲しいという思いを込めながら、中原先生は九州だけでなく全国各地で講演を行っておられるそうである。
「虎の巻き」は、一見、当たり前の事が述べられているように見えるが、このSTEP1から5までをきちんと守っているかどうかを自分自身に問いかけると、恥ずかしながら全く自信がない状態である。
1枚1枚の写真に手を抜かず、妥協することなく精度の高い写真を撮り続けるために、再度初心に戻って気合いを入れなければと考えさせられた内容であった。
会場からは、バリウムの調整を温湯で撹拌することについての効果について、バリウムと消泡剤やバリウムと発泡剤との相性について、消泡剤の量について等の意見が出た。

症例検討Ⅱ

福井県予防医学協会      平田 智嗣さん

前回の症例検討の続きを予防医学協会の平田さんの進行で行った。
症例6は胃体下部前壁・ヒダの集中を伴う陥凹性病変で潰瘍瘢痕(S2)であった。
症例7は胃体中部前壁に粘膜集中を伴うアレア不整な陥凹性病変が認められた。0-Ⅱc型の10×8㎜で深達度はT1aであった。
症例8は異常なし。
症例9は幽門前部後壁に円形の隆起があり、隆起の辺縁は平滑である。これは過形成ポリープであった。
症例10は胃体上部後壁に隆起性のBridging foldを伴う透亮像が認められる。25㎜大のGISTであった。
症例11は胃体下部前壁にヒダの集中を伴う陥凹性病変が認められる。0-Ⅱc+Ⅲ型の未分化型早期癌で深達度はT1aであった。
症例12は胃体上部後壁の粘膜集中を伴うアレアの不整な陥凹性病変が認められ、15×10㎜の分化型の0-Ⅱcで、深達度はT1aであった。

会員発表 「胃癌取扱い規約の解説」

福井県予防医学協会      片田 武彦さん

福井県予防医学協会 片田さん

翌週に富山県で行われる検診従事者研修会初心者コース読影基礎編で福井県予防医学協会の片田さんが胃癌取扱い規約の解説について講義をされる。
今回はその内容について、読影技術検定の試験対策に役立つ話も含めながら一足早く披露して頂いた。
まずは記載の方法についてであるが、
L,Less,Type2,50×20㎜,tub1>tub2,pT2,int,INFb,ly1,v1,pN1(2/13), pPM0(40㎜),pDM0(12㎜)
例えば上記のような記載があった場合に、その意味が理解できるようにと1つ1つの説明がされた。
肉眼分類については、規約の第13版では0-Ⅱaと0-Ⅰ型との区別は隆起の部分が正常粘膜の2倍を超えるか超えないかで行っていたが、第14版では正常粘膜から2~3㎜隆起したものを0-Ⅱaとし、正常粘膜から3㎜を超えるものを0-Ⅰ型とするように変更となった点に気を付けるようにとのことであった。
続いて組織型分類についての説明があった。複数の組織型が混在する場合はtub1>tub2のように量的に優勢な組織像から列記することとなっている。
また、印環細胞癌の組織像は特徴的であり、よく試験にも出るということで、覚えておくようにと強調されていた。
壁深達度についてはT分類の説明がされたが、残念ながら会場の都合により時間切れとなり、話の途中ではあったがここで講義は終了となった。
カルテなどに記載された胃癌患者の病像はこのようなルールに従って記載されている。
そのルールを理解して自分の行った検査結果の情報をフィードバックすることで読影力や撮影技術の向上に繋がることになり、胃癌取扱い規約を学ぶ目的はそこにある。そのためにもしっかり理解することが大切である。

文責N,Y 校正K,K
 

第117回研究会

ビギナーズセミナーⅠ 「胃透視の接遇と放射線機器管理について」

春江病院      前川 晃一郎さん

春江病院 前川さん

放射線機器管理
機器の保守管理の話となると、どうしても堅苦しくなってしまい敬遠しがちである。
そこで発表者は、様々な書籍や資料を検討した結果、皆の手元にある「新・胃X線検査法ガイドライン」の内容が一番分かりやすく良くできているからと、これを使って今回のスライドを作ったそうである。
まずは対策型検診においての機器管理についてである。
機器管理の目的は、受け入れ時、日常、装置保守管理時の全てにおいて、最終的には安全性・検査精度・検診効率の3つを求めている事になる。
大切な事は、事故発生時に速やかに対応を講じるために、管理責任者と担当者を定めてその役割を明確にしておくことであり、故障やミスによる再撮影や中止・中断などの報告があれば、原因追究を行い、再発防止について検討しなければならない。
また、すべてのスタッフへの教育が大切であり、マニュアルは簡素化して難しくしないことも大事である。
次に施設検診についての機器管理の話である。
始業・終業点検の目的は装置が安全に機能していることの確認である。通常は、約15分程度の短い時間に、視覚、聴覚、嗅覚などで簡易的に判断して、チェックリストに一つずつチェックを入れていくような形が多いと思われる。しかし、最も現実的で確実な方法は、昔から行われている、一定のファントムを透視・撮影し、透視時の管電圧と、撮影時の管電圧と管電流ならびに撮影時間を確認する方法であり、写真を撮って自分の目で確認して行う方法が一番良いとのことであった。
DRの保守管理で一番大事なことは、DRでの画像をそのまま読影端末に表示させることである。システムモニタと読影モニタの性能は全く同じではないため、いくつかのパラメーターをある程度把握して、読影用の端末で確認することが大切である。
モニタに関しては、グレースケール、アーチファクト、輝度均一性、最大輝度、輝度比、コントラストなどの評価を「医療用画像表示モニタの品質管理に関するガイドライン」に基づいて行って欲しいとのことであった。
また、精度を保つために、読影医師とコミュニケーションを図り、画質に関する診断精度の安定に努めることが大切で、日常の業務で忙しい中でも、必ず自分が撮った写真の画質の確認をして欲しいと述べられた。

 
第117回

胃X線検査の偶発症
偶発症については誤嚥、腸閉塞、腸管穿孔、過敏症などが挙げられる。
平成21年度の日本消化器がん検診学会のアンケートによると、約414万件の検査で誤嚥をおこしたのが779件であり確率は0.019%であった。ただ、女性に比べて男性の方が誤嚥を起こす確率はかなり高いので、高齢の男性が受診される場合は特に注意が必要である。
誤嚥の対策としては、やはり問診と誤嚥対策マニュアルを作成することであり、腸管穿孔についても問診にて憩室の存在や憩室炎の既往を確認できるチェックリストを活用する事が必要である。
また、飲水制限のある受診者についても問診時に確認すべきとのことであった。
これらを全て徹底して行っている施設ばかりではないと思うが、緊急時の対応マニュアルを作成し、万が一の時には速やかに適切な処置がとれるような心構えを身につけておく事が大切である。

 

放射線技師に必要な接遇
続いて放射線技師に必要な接遇の話に移った。
接遇は、相手に対して関心を持つことから始まる。さらに何を求められているかに気付き、おもてなしの心を持つことである。
とにかく第一印象が大切であり、出会いの0.6秒で決まってしまう第一印象を判断するのは見た目などの視覚情報であり、その印象の比率は見た目が55%を占めており、次に声が37%、そして言葉が7%とのことであった。
その他にも、あいさつ、言葉かけ、態度、立ち振る舞い、話を聞く、話をすることについて、それぞれのポイントが説明された。
特に消化管の検査では、受診者にリラックスしてもらい、言葉でうまく誘導して、相手にいかにスムーズに動いてもらえるかが非常に大切であり、そのためにも口調やイントネーション、表現の工夫が必要になってくる。
接遇の向上により患者満足度が向上すれば、治療効果にも影響し、それが職員満足度の向上、さらに病院評価の向上につながるのとのことであった。

春江病院 前川さん

個人的に大変興味を引いたのが、「医療接遇実践マニュアル(著:大島昭子)」から抜粋した話であったが、人は不特定多数の人に怒り(不満)をぶつけるのは、1人から22人へと口コミで広がるのに対し、良かった事を話すのは1人から5~6人へ口コミで広がるという調査結果であった。悪い事は良い事に対して4倍以上の数で伝わって行くが、良い評価を得るためにはかなりの努力が必要であり、そのせっかくの努力も一瞬の対応の悪さで無になってしまう怖さを感じた。
一番手軽に印象を良くすることができるのが笑顔であり、口元が変わるだけで顔の印象は大きく変わる。実際のある病院での話であるが、様々な患者さんから頂くお礼の文章の中で一番多いのが「あなたの笑顔に救われました。ありがとうございました。」というものであるらしい。この事実は、いかに笑顔が大切であるかを表していると思う。
日頃から上手な笑顔を作るためにトレーニングを行い、さらに笑顔+あいさつと言葉かけをすることで良い人間関係が築かれ、雰囲気の良い環境が生まれるとのことであった。

 

診療放射線技師の読影
最後は放射線技師の読影についての話であった。
技師が実施する「読影」とは、1.検査目的を読む、2.画像特性を読む、3。異常部位を読む、の3つがあげられる。医師がどのような画像を求めているのかを考えて、医師から言われなくても技師サイドで考えて、さらに一歩進んだ情報を追加提供する事も必要だと言われた。
最後に消化管撮影の精度を上げるために一番必要な事は、撮影技術の向上と画像の読影力を身につけることであると述べた。
そのためには自分の撮った画像について、医師とディスカッションすることを日々続ける事が大切であり、その熱意を持ち続ける事が必要であると話をまとめていた。 その後、会場より質問があり、誤嚥しないための方法や誤嚥した場合の対応について、また、問診での情報を把握する方法についてなどの話し合いがされた。

症例検討Ⅰ

福井県予防医学協会      平田 智嗣さん

福井県予防医学協会 平田さん

平成23年度消化管撮影技術向上セミナーで行った症例検討会の内容が納められたCDを使って症例検討を行った。
1例目は2か所の病変があり、胃体中部後壁の所見は粘膜集中を伴う陥凹性病変でヒダの先端は中断している。
15×10㎜の未分化型の0-Ⅲ型で深達度はT1aであった。
もう1つは胃体下部後壁小彎よりの粘膜集中を伴う陥凹性病変であるが、こちらは潰瘍瘢痕であった。
2例目の症例は胃体上部小彎に粘膜集中を伴うバリウム斑があり、15×10㎜の0-Ⅲ型の未分化型癌で深達度はT1aであった。
3例目は異常なし。
4例目は胃体下部後壁小彎よりのアレア不整を伴う陥凹で、30×20㎜の分化型のⅡcで深達度はT1aであった。
5例目は胃体上部小彎に粘膜集中を伴う陥凹性病変陥凹の内部は顆粒状の陰影が見られる。
45×30㎜の未分化型のⅡcで深達度はT1bであった。
最後に胃切除時に胆嚢や脾臓を取った症例があるがなぜか?という質問で締めくくられた。

文責N,Y 校正K,K
 

第116回研究会

会員発表 「平成24年度胃がん検診結果報告」

福井県立病院      谷嶋 良宣さん

福井県健康管理協会   西村 宣広さん

6月7日の日本消化器がん検診学会総会において胃合同症例検討会が行われるが、そこで発表される1症例を、今回、一足早く呈示してもらった。
集検の写真では、胃体中部後壁にヒダの集中を伴う不整な陥凹性病変が認められる。所見の部位は追加撮影がされている。1年前の集検では異常なしであった。
その後、有管法による精密胃透視の写真が呈示された。集検では病変が1ヶ所しか指摘されていなかったが、胃体中部の他に胃体上部にもヒダの集中を伴う陥凹性病変が写しだされていた。
両方ともに深達度はT1b2で、管状腺癌(tub1)のⅡcであり、体上部は10×7㎜、体中部は25×11㎜の病変であった。
病理所見は共に胃癌の特殊型の1つとされているgastric carcinoma with lymphoid stroma(胃リンパ球浸潤癌)と診断されている。
全胃癌の1~2%の頻度で発生する稀な組織型である。癌細胞よりもリンパ球の浸潤が多い癌であり、早期癌の段階では粘膜内病変は管状腺癌(tub1)からなり、上皮下浸潤巣で腫瘍組織内に反応性リンパ球が浸潤するのでSMT様の形態を示すことが多く、胃体部に好発し、男性に多く、予後が良好であるとの特徴がある。
今回の集検写真では、牛角胃であったため、体上部がバリウムによってブラインドとなっており、体中部のⅡcが無ければ、上部のⅡcは見逃されていたことになる。牛角胃であっても体上部までしっかりと写し出すなど、常にブラインドの無い写真を撮ることの大切さを感じた症例であった。

 

続いて平成23年度の胃がん検診にて要精検となり、県立病院にて精密胃透視を行った11例中、結果のわかっている8例の症例が呈示された。

第116回

症例① 集検の写真では、前庭部前壁大彎寄りに隆起性病変が2ヶ所認められた。その後の精密胃透視を見ると、病変は2ヶ所ではなく1ヶ所で、もう1つの隆起のように見えた所見は、生理的な湾入が圧迫時に透亮像のように見えたものであった。
円形でSMT様の隆起があり、はっきりしないが、隆起の中に浅い陥凹があるようにも見える。側面像を見ても隆起の表面はよくわからない。
内視鏡で見ても、隆起の表面に浅い陥凹があるように見えたが、結果は1型であった。22×19㎜で癌は固有筋層まで浸潤していた。
症例② 集検の写真では胃角部大彎の隆起性陰影を指摘されて要精検であったが、結果は胃体上部大彎側の22×17㎜のⅡcであった。深達度はT1b2である。
精密胃透視の写真では、体上部大彎側にわずかな辺縁不整とラインの硬さが認められる。集検で指摘されていた所見はポリープであった。
他部位指摘で早期癌が見つかった症例であった。
症例③ 集検の写真では胃角部後壁に中央に不整な陥凹のある隆起性病変が認められる。
精密胃透視の写真では、隆起のなかに見えていた陥凹の所見がはっきり見えずⅡaかと思われたが、内視鏡では隆起の中央に陥凹の所見が見える。結果はⅡa+Ⅱcであったが、さらに別の場所にⅡa病変がもう1つあった症例であった。
症例④ 集検では前壁レリーフ集中にて要精検となった症例である。しかし病変は後壁の前庭部から胃角部にかけて38×36㎜という比較的広い範囲のⅡcで、深達度はT1b2であった。
後から集検の写真を見直すと、病変が写っているようにも思えるが、十二指腸に流れたバリウムのようにも見えてしまう。粘膜の不整に撮影者が気付いて、流し撮りなどの追加撮影を行っていれば、病変が確実に写し出されていたと思われる症例であった。

第116回

症例⑤ この症例も集検の写真をよく見れば所見は写っているのだが、撮影者が気付いていないために説得力にかける写真であった。
胃角部から前庭部にかけての前壁に不整な塊状の隆起があり、42×35㎜のⅡaと診断された。腫瘍は粘膜内に限局しており深達度はT1aであった。ESDが施行されている。
症例⑥ 体上部後壁大彎側寄りに隆起性病変が認められる。隆起の表面の性状は、画像ではあまりわからないが、内視鏡で見ると陥凹の周りに周堤が認められる。
32×30㎜の2型で漿膜まで浸潤しているT4aであった。残念ながら2型の特徴が写し出されていない写真であった。
症例⑦ 体中部前壁の70×54㎜と範囲が広いⅡcで、深達度はT1b2であった。集検では第2斜位の写真でヒダの集中を伴う陥凹所見が写し出されていた。
症例⑧ 集検の写真では体中部から胃角部にかけての小弯線が固いラインで変形している。大彎側には強い湾入が認められ、全体的に非常に変形の強い胃の形である。
結果は胃体下部から体上部にかけての小彎中心に116×82㎜という非常に広い範囲の3型であった。腫瘍は漿膜面に露出しているとのことであった。

平成26年度総会

平成25年度事業報告・会計報告

平成26年度事業計画案

その他

 
文責N,Y 校正K,K
 
 
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Last-modified: 2023-05-17 (水) 13:59:31